男社会の警察で6か月前に県警本部長となり「女性の視点を一層反映した県警プロジェクト」の推進を図る深沼ルミA県警本部長の引きで2か月前に監察室長に就任した姫川理代が、新人女警青崎小百合巡査が駅前交番で相勤の年野健警部補を射殺してその後拳銃自殺したという大スキャンダルの真相を探り、事件をめぐる警察内の力関係駆け引きに参加していくというミステリー仕立ての警察小説。
ミステリーとしては、布石とその回収はたぶんきちんとなされているとは思いますが、第一感を懸命に否定するエピソードを作者が並べるのにしかしどうかなと疑いを持ち続けていたら結局第一感に戻るというのはとても後味が悪く、どんなに説明されてもやられた感がなく鮮やかさを感じません。
作者が警察官出身(の覆面作家)というだけあって、警察の組織の体質とその中での力関係駆け引きの描写は迫真のものと感じられます。ただ前例のない他県警がやっていない/できていない政策を推進するということは、政策は予算の取り合い、優先順位決定の問題である以上、どこかにしわ寄せが行くのは当然のことで、終盤での姫川理代の動揺/憤激は主人公の理解の程度/底の浅さあるいは器の小ささを感じさせ、違和感がありました。
女性の警察官の主人公の名前が姫川っていうの、どうなんでしょう。誉田哲也の姫川玲子シリーズに「敬意を表して」っていうことになるんでしょうか。どちらかというと仁義なき戦いのイメージを持ちましたが。
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古野まほろ 角川文庫 2021年12月25日発行(単行本は2018年12月)
ミステリーとしては、布石とその回収はたぶんきちんとなされているとは思いますが、第一感を懸命に否定するエピソードを作者が並べるのにしかしどうかなと疑いを持ち続けていたら結局第一感に戻るというのはとても後味が悪く、どんなに説明されてもやられた感がなく鮮やかさを感じません。
作者が警察官出身(の覆面作家)というだけあって、警察の組織の体質とその中での力関係駆け引きの描写は迫真のものと感じられます。ただ前例のない他県警がやっていない/できていない政策を推進するということは、政策は予算の取り合い、優先順位決定の問題である以上、どこかにしわ寄せが行くのは当然のことで、終盤での姫川理代の動揺/憤激は主人公の理解の程度/底の浅さあるいは器の小ささを感じさせ、違和感がありました。
女性の警察官の主人公の名前が姫川っていうの、どうなんでしょう。誉田哲也の姫川玲子シリーズに「敬意を表して」っていうことになるんでしょうか。どちらかというと仁義なき戦いのイメージを持ちましたが。
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古野まほろ 角川文庫 2021年12月25日発行(単行本は2018年12月)