精神障害(うつ、適応障害等)の労災認定について認定基準の考え方と裁決例等を説明し、判断をするにあたっての感覚(相場感)をつかむ(2ページ)ことを推奨する本。
第1編の設例を用いた説明はわかりやすく、第2編の多数の裁決例の紹介が売りの本だと思います。ただし弁護士の関心からいうと、第2編の裁決例の事実認定とそこからの判断のロジックはもう少し深掘りして欲しいと思います。
特に労災の原因と主張される具体的できごとが単体では心理的負荷が「強」と評価できないときに複数の「中」を全体的に評価して「強」と認定する場合の考え方は、81~82ページで説明されていますが、そのような評価がなされた裁決例(124~125ページ、180~181ページ、201~202ページ)でそう評価した具体的な根拠やロジックの説明がないのが残念です。207~211ページの2つの裁決例で説明を加えようとしていますが「統一的な判断基準を読み取ることはなかなか難しい」(211ページ)と書いているように、説明が難しいのでしょうけれども。ただ、元労働基準監督官で現在弁護士の著者が説明困難だとすると、ふつうの弁護士にはとてもわからないということになってしまいます。
中野公義 日本法令 2024年8月20日発行
第1編の設例を用いた説明はわかりやすく、第2編の多数の裁決例の紹介が売りの本だと思います。ただし弁護士の関心からいうと、第2編の裁決例の事実認定とそこからの判断のロジックはもう少し深掘りして欲しいと思います。
特に労災の原因と主張される具体的できごとが単体では心理的負荷が「強」と評価できないときに複数の「中」を全体的に評価して「強」と認定する場合の考え方は、81~82ページで説明されていますが、そのような評価がなされた裁決例(124~125ページ、180~181ページ、201~202ページ)でそう評価した具体的な根拠やロジックの説明がないのが残念です。207~211ページの2つの裁決例で説明を加えようとしていますが「統一的な判断基準を読み取ることはなかなか難しい」(211ページ)と書いているように、説明が難しいのでしょうけれども。ただ、元労働基準監督官で現在弁護士の著者が説明困難だとすると、ふつうの弁護士にはとてもわからないということになってしまいます。
中野公義 日本法令 2024年8月20日発行