中堅飲料メーカー月夜野ドリンクの知的財産部に所属する藤崎亜季が、3巻で問題となった小規模の食品メーカー今宮食品が月夜野ドリンクの看板商品の「緑のお茶屋さん」が今宮食品の特許を侵害していると主張し始めた事件はパテント・トロール(特許を利用してトラブルを起こし大金をせしめようとする特許転がしの会社)「総合発明企画」が背後で糸を引いていたものと知り、総合発明企画と戦うという知財部お仕事小説。
3巻から引き続く藤崎亜季の大学時代の知人・元彼瀬名良平との対決から始まりますが、率直に言って、戦闘系の話は悪役が小粒だと興ざめします。4巻の早い段階で選手交代して、比較的まっとうな裁判所と特許庁での攻防に切り換えたのは正解でしょう。
ライバル企業が使いそうな技術領域で「うまく引っかかってくれればいいなと」「手広く権利を確保し」ライバル企業のライセンス要請を受けて「契約すればなにもせずとも利益が転がり込むし、しなければライバル商品が生まれない」(238~242ページ)というのを、それがビジネスだと位置づけています。まさに、知財部のお仕事らしい話ですが、その大企業の知財ビジネスのために、よりよい商品が世に出るのが阻まれ、消費者がそれを享受できない、社会の進歩が遅れるという側面もあるわけです。あくまでも大企業の知財への利害に沿った視点で語られるこの作品では触れられることはありませんが。
奧乃桜子 集英社オレンジ文庫 2024年7月23日発行
1巻は2023年9月1日の記事で紹介
2巻も2023年9月1日の記事で紹介
3巻は2024年9月22日の記事で紹介
3巻から引き続く藤崎亜季の大学時代の知人・元彼瀬名良平との対決から始まりますが、率直に言って、戦闘系の話は悪役が小粒だと興ざめします。4巻の早い段階で選手交代して、比較的まっとうな裁判所と特許庁での攻防に切り換えたのは正解でしょう。
ライバル企業が使いそうな技術領域で「うまく引っかかってくれればいいなと」「手広く権利を確保し」ライバル企業のライセンス要請を受けて「契約すればなにもせずとも利益が転がり込むし、しなければライバル商品が生まれない」(238~242ページ)というのを、それがビジネスだと位置づけています。まさに、知財部のお仕事らしい話ですが、その大企業の知財ビジネスのために、よりよい商品が世に出るのが阻まれ、消費者がそれを享受できない、社会の進歩が遅れるという側面もあるわけです。あくまでも大企業の知財への利害に沿った視点で語られるこの作品では触れられることはありませんが。
奧乃桜子 集英社オレンジ文庫 2024年7月23日発行
1巻は2023年9月1日の記事で紹介
2巻も2023年9月1日の記事で紹介
3巻は2024年9月22日の記事で紹介
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