伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

情報公開が社会を変える 調査報道記者の公文書道

2024-02-14 23:00:32 | 実用書・ビジネス書
 23年間毎日新聞社に勤め調査報道に携わり現在はフリーのジャーナリストとして原発事故関係を追い続けている著者が、自分の経験に基づいて情報公開請求の方法論等を解説した本。
 役所がどんなことをどのように隠し、情報公開請求に対してもどのような手口で公開を免れようとするか、どういうところに役所の嘘の綻びがありどんなきっかけでそれを見つけ見抜けたかなどの経験談が興味深く読めます。
 他方で、著者がテレビ・ラジオ局の記者の研修会で講演した際、「若い記者たちの反応は芳しいものではなかった。彼らが欲していたのは『簡単に特ダネになる情報公開請求のやり方』であって、『どのような公文書を情報公開請求すべき』あるいは『情報公開請求によってどのような公文書が手に入る』といった、調査報道の基礎となるメソッドではなかったのだ」(26~27ページ)と嘆いているように、この本を片手に楽々情報公開請求ができるという本ではありません。役所と対峙するときに役所に騙されずに頑張るにはこういう心構えでこういうことを疑っていく姿勢が必要だなとか、そういう志向の本だろうと思いました。


日野行介 ちくま新書 2023年11月10日発行

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