伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

ルポ新大久保 移民最前線都市を歩く

2024-02-15 22:53:34 | ノンフィクション
 著者が大久保2丁目、百人町に居住して生活しながら見聞きした外国人、日本人住人や商店主、従業員らの話や生活状況などを綴ったノンフィクション。
 著者自身は長らくタイに居住してきて東南アジアや南アジアの下町が住みやすいと感じているもので、基本、アジアからの移民に親和的ですが、元週刊誌記者・ジャーナリストのためか、外国人を嫌い交わらない日本人の実情にも度々触れる配慮をして、よくいえばさまざまなことがらや人々に目を配り、悪くいえば八方美人的な書きぶりです。
 大久保、新大久保は、韓流ブームの聖地、コリアンタウンという印象が強いですが、そうなったのは2000年頃からと古い話ではなく、しかも2011年の福島原発事故でそれまで外国人の中で多数派だった中国人・韓国人が避難して、入れ替わりにベトナムやミャンマー、インド、ネパールなどからの移民が増え、国際色豊かになっているとのことです。
 外国人に対して不安や不気味さを感じる日本人が多いと思いますが、外国人から見ると「日本は、実はこわい国だ。ヤクザでもない一般人が、いきなりブチ切れて怒鳴ってきたりする。ささいなミスで激怒し、肩がぶつかっただけで睨まれる。僕も10年のタイ暮らしから帰ってきたばかりの頃は、本当にこわかった。日本人とは、なんと好戦的な人々かと思った。立場の弱い外国人はとくに、日本人のパワハラの餌食になりやすい」(260ページ)というのは目からウロコです。


室橋裕和 角川文庫 2024年1月25日発行(単行本は2020年9月、辰巳出版)

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