元総務事務次官で参議院議員に転身した議員の公設第1秘書大久保俊治を汚職事件の容疑で追及していた警視庁捜査2課の刑事で、かつて代議士の秘書を務めていた父親が代議士の指示を受けて行った不正を一身にかぶって自殺したことから警察官を志した園崎省吾が、検察庁からの圧力で警視庁としては手を引いた後も上司の黙認の下で相棒と2人で潜行捜査を続けていたところ、妻がひき逃げされて意識不明の重体となり、千葉県警捜査1課の刑事から殺人未遂の容疑をかけられ…という展開のサスペンス小説。
一貫して園崎の側からの語りになっていて、真犯人は誰か、園崎がやった可能性はないかという疑問は呈されることはなく、その意味でメインの「謎」はないのでミステリーではなく、また警察組織の構造・力関係についても若干の言及はあってもその特殊な組織の論理のようなものが前面に展開されるというものでもないので「警察小説」の印象もそれほどはなく、警察を舞台としたサスペンス小説と位置づけるべきかと思いました。そういう点でもシンプルな構造での敵との戦いの物語で、わかりやすく入り込みやすい作品です。
笹本稜平 光文社文庫 2022年7月20日発行(単行本は2019年10月)
「小説宝石」連載
一貫して園崎の側からの語りになっていて、真犯人は誰か、園崎がやった可能性はないかという疑問は呈されることはなく、その意味でメインの「謎」はないのでミステリーではなく、また警察組織の構造・力関係についても若干の言及はあってもその特殊な組織の論理のようなものが前面に展開されるというものでもないので「警察小説」の印象もそれほどはなく、警察を舞台としたサスペンス小説と位置づけるべきかと思いました。そういう点でもシンプルな構造での敵との戦いの物語で、わかりやすく入り込みやすい作品です。
笹本稜平 光文社文庫 2022年7月20日発行(単行本は2019年10月)
「小説宝石」連載
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