文化財や寺社建築、宮廷・内裏、さらには民間建築も含め、木造建築物の修理、改築、移築などの歴史を解説した本。
私としては、木造建築物の修理・保存の技術・技法の発展と現状みたいなものを期待して読んだのですが、建築における修理・メンテナンス・長寿命化をめぐる思想の変遷・発展史を語る本でした。
Ⅱ部とⅢ部の関係が、Ⅱ部は建築メンテナンスに関わる考え・思想の歴史的な検討、Ⅲ部はメンテナンスのテーマ別の検討ということなのだとは思いますが、どちらも受け継いだ事例、受け継がない事例を挙げて似たようなことを論じているように見えました。多数の事例を紹介していることは勉強になりますが、読み物としてはもっとメリハリをつけて欲しいなと思いました。
また建築関係の専門用語が多く、巻末に用語集と解説図があるのはありがたいのですが、それに出ていない用語が多く部外者は挫折しやすいと思います。
著者の主張は、古い木造建築を維持するに当たっては建築時を復元することを至上とするのではなく、事情に応じて寛容な対応がなされるべきであり、現にこれまでの修理等はそのようになされてきたというところにあります。今流行のSDGsのうさん臭さを指摘し「ある種のファシズムとさえいえる」(307ページ)とまでいう頑固さは、筆の走りなのか著者の本質なのか…
海野聡 岩波書店 2024年7月26日発行
私としては、木造建築物の修理・保存の技術・技法の発展と現状みたいなものを期待して読んだのですが、建築における修理・メンテナンス・長寿命化をめぐる思想の変遷・発展史を語る本でした。
Ⅱ部とⅢ部の関係が、Ⅱ部は建築メンテナンスに関わる考え・思想の歴史的な検討、Ⅲ部はメンテナンスのテーマ別の検討ということなのだとは思いますが、どちらも受け継いだ事例、受け継がない事例を挙げて似たようなことを論じているように見えました。多数の事例を紹介していることは勉強になりますが、読み物としてはもっとメリハリをつけて欲しいなと思いました。
また建築関係の専門用語が多く、巻末に用語集と解説図があるのはありがたいのですが、それに出ていない用語が多く部外者は挫折しやすいと思います。
著者の主張は、古い木造建築を維持するに当たっては建築時を復元することを至上とするのではなく、事情に応じて寛容な対応がなされるべきであり、現にこれまでの修理等はそのようになされてきたというところにあります。今流行のSDGsのうさん臭さを指摘し「ある種のファシズムとさえいえる」(307ページ)とまでいう頑固さは、筆の走りなのか著者の本質なのか…
海野聡 岩波書店 2024年7月26日発行
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