伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

純情期

2009-01-02 01:10:48 | 小説
 ふだん化粧っ気のない保健体育・生活指導の齋藤瑠璃子先生の白く肉感的な太ももを目にしたことを契機に瑠璃子先生の美貌と魅力に気付き虜となった中学2年生の主人公日高優作が、瑠璃子先生の気を引くために瑠璃子先生が顧問の体操部に入部し、妄想とモーションを繰り広げる青春小説。
 ラブコメと呼ぶには下半身の妄想が暴走し過ぎで欲求不満むき出し青春小説というところでしょう。中学生時代に女性教師をはじめ年上の女性に憧れることはわかりますが、ここまで直接的な性欲だけで終始するかなぁという気はします。
 作りが優作と瑠璃子先生のことにだけ向いていて、後の展開はほったらかしになるのが、カラッとした感じとスッキリしない感じを残します。瑠璃子先生を襲った強面の瀧口らがどうなるかの方は、まぁどうでもいいんです。でも、優作の親友で彼女の家の借金苦を聞いて街金に乗り込んで火炎瓶を投げて捕まった之を、ただ掻き回しのネタ扱いで解決せずフォローしないでぶん投げるのは、ちょっと酷い。こういう重めのテーマを単にストーリー進行の材料として扱って放置されると、作者の姿勢に疑問を感じます。お笑いネタにするならせめてきちんと之を救い出すのが作者の務めじゃないでしょうか。そうしてくれないとコメディとして気持ちよく読み終えられません。それから同級生の佐倉にも欲情したとまどい(201~202頁)も、その後全然フォローされてません。瑠璃子先生と優作以外の登場人物は、いかにもストーリー作りの道具って感じがしてしまいます。


小川勝己 徳間書店 2008年8月31日発行
コメント
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