Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

今日の俳句 (100313) 松島

2010年03月13日 20時49分19秒 | 俳句・短歌・詩等関連
松島にて
★春日の出島の形の雲流る
★朝日さすまずは島からはだれ野へ
★遠目にもかすむ形は松の島
★田は海にさらに迫りぬ小糠雨
★小糠雨海より島が生まれ出づ
★島ひとつ田んぼ二枚の春の海
長谷川等伯展
★暗室に浮かぶ乱世の萩薄

 松島は海の際まで田がある。高さ3mほどの防潮堤がかなければ、隔てるものは畔一筋でしかない。
 田が海に迫っているのか、海が田に迫っているのか、人の歴史か、自然の造作か、受け取る感覚自体には差は無い。
 松島海岸を発つ前は雲間から朝日が射し、日矢も輝いた。松島に生える松は、島の起伏に沿って同じ高さにそろっている。松林の形をたどれば島の形が浮かび出てくる。
 松島を発ったのは朝9時、途中から小糠雨の中を単線で石巻を経由して女川へ。
 海が田の際まで迫るが波はまったくない。凪いだように、静かにたたずんでいる。ところどころにホタテの貝殻が糸に束ねられて白く放置されている。松島ならではの光景らしい。
 小糠雨に目を奪われて、近くの田に目が慣れていると、霞む奥から不意に小さな島が、田の鼻先に現れる。そんなことを繰り返すうちにいつの間にか海岸を離れ、石巻に。これから先の海岸線はリアス式。
 しかし静かな海の様子は変わりのないまま、女川に到着。
 春の雨の中、歩き回ることはあきらめ、港を見、昼食をとった。ここも先の津波が街中へ広がったという。駅前の町営の塩分の強い温泉につかり帰途に着いた。