Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

自句自解(18) 蕾

2010年03月19日 08時01分06秒 | 俳句・短歌・詩等関連
葉一枚舞う月光の白さかな
長き影写す白壁糸瓜垂る
台風来る湯船の波紋静かなり
二色の伸びの遅速に曼珠沙華
晴天に黄菊の蕾せりあがる
萩の風体に満たし子等帰る

 一句目、初秋にはじめて枯れ葉を認識した一瞬。病葉のような葉だったとおもう。月光に照らされ白い不器用な舞人に見えた。
 三句目、天候の荒れる日の夜などは風呂に入り静かにしながら、荒れる自然の息吹にじっと耳を傾けることが好きだ。あるいは夜具に包まりながら、そのような音を全身で受け止めることがある。
 外の荒れた風雨に比して、家の中は妙に静まり返っているものである。自分が一番内省的になる時かもしれない。こんな時間がもっともうれしい。
 四句目、赤と白の曼珠沙華の花が時間差をもって次々と咲く。団地の一角にも群落がある。色の違いと共に、様々な表情の花が目を楽しませてくれる。
 最後の句、萩の花を揺らす風の中、騒がしかった子供たちが夕刻近くになって家路に着く頃を詠んだ。萩の花が子供の声を溜めるように吸収し、次第に周囲の音が、風の音や豆腐屋の笛の音が聞こえるようになった。