Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

再び中桐雅夫「海」

2016年09月21日 23時26分59秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
 2014年3月18日に中桐雅夫の詩「海」を取り上げた。あれから中桐雅夫の詩をいくつか追いかけてきた。まだいくつか取り上げようとしたものもあったが、理解できない詩もある。とりあえず2年半かかった中桐雅夫の「荒地詩集」に掲載された詩を何十年間ぶりで目を通した。読んだことすら忘れた詩もあったし、頭の片隅に少し記憶していた詩もあった。どこかで戦争体験にこだわり、そして「死」の匂いのする詩がわたしの頭に残っていた。
 再度出発点となった「海」を掲げてみる。いつまでもこの詩の印象から逃れられない私の鑑賞だとおもう。
 ひとりの詩人の時間の経過に沿って、戦後の社会との対応関係を押えながら語り尽くすということはとても私の力量ではできないことでもある。自分の限界を突き付けられたと思っている。しかし強く心にひかれ、そして心に残っている詩であることは確かなことである。

 海

根府川と真鶴の間の海の
あのすばらしい色を見ると、いつも僕は
生きていたのをうれしく思う、
僕の眼があの通りの色なら
すべての本は投げ捨ててもいい。
沖の方はパイプの煙のような紫で、
だんだん薄い緑が加わりながら岸へ寄せてくる、
岸辺にはわずかに白い泡波がたち、
秋の空の秋の色とすっかり溶けあって、
全体がひとつの海の色をつくっている、
猫のからたのようなやわらかさの下に、
稲妻の鋭さを隠している海、
ああ、この色を僕の眼にできるなら、
生きてゆく楽しさを人にわかつこともできるだろう。

希望が過ぎ去るように早く、その色は消える。
生きていたころのMの眼が
ちようどこんな色だったが、それもいまでは
泥土にうがたれた穴でしかない。
死は何と早く人と人とを引き離すものだろう、
前に君のことを思い出したのはいつだったかも想い出せないが、
ミイトキイナというビルマの地名を覚えているのは、
十何年か前、そこで君が戦死したからだ。
君が死んで、戦闘が終わった時、連合軍はビラを撒いた。
「諸君はよく勇敢に戦った、われわれ連合軍は
諸君に敬意を表せざるを得ない。」
そうだ、東京にいたころも君は勇敢な男だったが、
イラワジ川につかったまま二ヶ月も戦い続け、
ふくれあがった皮膚はちょっと指で押しただけで、
穴があいて、どろどろに腐ったウミが出てくる
そんな戦いにどのような賛辞が許されるだろう。

イラワジ川の水の色がどんなたったか、
僕は知らない、知ろうとも思わぬ。だが、
蜜柑の皮をむきはじめると
蜜柑のうえに涙が落ちた、君の好きだった蜜柑、
いちどきに十以上も食べた蜜柑。
僕の心はこわれかけた目覚し時計のように鳴りだし、
湘南電車はそれよりももっと鋭い音を発して
僕の心をえぐった。
いま過ぎたのがどこの駅か、
僕は知らない、知ろうともせず蜜柑の皮をむいていた。



本日の講座「倭国の中の邪馬台国」

2016年09月21日 20時30分01秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等


 本日の講座は国立歴史民俗博物館の仁藤敦史教授による「倭国の中の邪馬台国」。三国志偽書東夷伝の禹貢篇の解釈から、当時の中国東北部から朝鮮半島付近に精力をはっていた公孫氏と魏・呉両国との国際関係から東夷伝倭人条を読み解くという方法論での講義であった。
 盛りだくさんの話で理解しきれていないことの方が盛りだくさんのようである。あらためて資料とレジュメを時間をかけて読みなおさなければこれ以上を記載する自信がない。時にはこのような刺激も楽しいものである。

台風は去ったが天気はすっきりしない

2016年09月21日 11時10分31秒 | 日記風&ささやかな思索・批評
 静岡県から急に南下した台風16号は温帯低気圧となり、本州の太平洋岸を北東に去って行った。東北や北海道に波浪以外の影響はないように思える。
 明け方5時には横浜市域の大雨・強風注意報も解除になった。気温は10時現在で横浜は20.9℃と涼しいが、久しぶりに太陽を見た気分である。本日明日と最高気温は22℃ほどの予報。本日は曇だが、明日の午後は再び雨が降る予報になっている。
 半ズボンから長いズボンに本日から切り替え。23日以降27℃を超える予報だが、このまま長ズボンで過ごすか、半ズボンに戻すか、悩みどころ。ゆったりした半ズボンをはき慣れているので、長ズボンがきつく感じる。

 本日は午後から本郷台駅近くの会場で講座。

横浜市に出ていた避難準備情報はすべて解除

2016年09月21日 01時18分32秒 | 天気と自然災害
 横浜市から出ていた避難準備情報は23時前にすべて解除となり、避難所も閉鎖となった。ただし、大雨(土砂災害)警報と、洪水・強風・波浪注意報はそのまま継続している。1時現在横浜市域では雨は止んでいる。
 全国的には人的被害も出ているし、土砂災害・河川の氾濫なども多く報道されている。さいわい横浜市内での被害は出ていないようだ。

 現在横浜は外に出ると寒い位である。昨日の最高気温は20.4℃と10月下旬並みであったとのこと。現在は15℃あるだろうか。半袖では外を歩くのは躊躇する。
 秋の虫の声も微かにしか聞こえない。コオロギの声だけが聴こえる。

【追記】2時50分過ぎに大雨警報と洪水・洪水・注意報は解除となり、現在は「大雨・強風注意報」となっている。