先ほど上田秋成の「雨月物語」所収の「仏法僧」を読み終わった。秀吉の甥で、関白の地位にありながら高野山で切腹を命じられ、一族郎党惨殺させられた秀次の話、ということで昔から血なまぐさい場面が語られるのかと思いこんで、これまで読まなかった。
そのような思いはまったく的外れであったのは、とても恥ずかしい限りである。高野山を訪れた父子が、山中で一夜を明かしたときに、亡霊となった秀次一行や連歌師の紹巴が現れ、酒宴を開く場面に遭遇するという物語である。
しかし秀次が「二人(父子)も修羅に連れ来たれ」と二人を連れて行こうとするが「いまだ命つきざる者なり、例の悪行なせさせ給ひそ」と諫められ、父子は助かる。この場面はこの物語を書いた上田秋成の、修羅道に落ちた秀次の造形を示しているようだ。
文庫本2頁をA4に拡大コピーして読んでいる。文字が大きいとやはり読みやすい。理解も早い。視力は大切にしたいものである。
午前中は神奈川大学のみなとみらいキャンパスで「欧米美術紀行」(講師:中村宏美氏)の連続5回の講座の第1回目「アテネ」。ざっとギリシャ文明の歴史と、陶器に描かれた絵や文様、建築の解説。概要は既知であるが、年寄りには何回聞いても新鮮に聞こえる。
講義では各種展覧会のチラシも参考に配付してもらえる。今回は、
「パリ ポンピドゥーセンター キュビズム展 美の革命」(~1.28 国立西洋美術館)、
「永遠の都 ローマ展」(~12.10、東京都美術館)、
「モネ 連作の情景」(~1.28、上野の森美術館)、
「ゴッホと静物画 伝統から革新へ」(~1.21、SOMPO美術館)
の4つの展覧会のチラシ。
いづれも興味があるが、「キュビズム展」と「ローマ展」をとりあえず見に行く候補に上げてみた。
学食で昼食後、近くの喫茶店で「雨月物語」の「仏法僧」を半分ほど読んだ。久しぶりに横浜駅まで歩いてから書店を一回りしてバスにて帰宅。膝の具合は良くはないが、悪いなりに落ち着いている。3年前に戻るのは半ば断念した心境。