本日の午後は「ラファエロ ルネサンスの天才芸術家」(深田麻里亜、中公新書)の序章「才能と野心」、第1章「聖母子画 フィレンツェからローマへ、躍進と様式の変化」、第2章「教皇居室の装飾 変化する制作スタイル」までを読み終わった。全体の半分ほど。
あくまでも教科書的な入門書として読んでいる。図版がカラーなので見やすい。
第1章の結語部分は、以下のとおり。
「ラファエロの聖母子像は、政策の経緯や背景が明瞭でない作品も多い。しかし、長い年月を超えてなお彼の作品が親しまれるのは、穏やかで優美な画面がキリスト教徒の敬虔な信仰心に寄り添うものであり、同時に、母子の情愛という普遍的な情感を作品に投影できるからではないだろうか。」
わたしは中世のヨーロッパ各地で広まり、根づいた「マリア信仰」がラファエロの絵画によって、どう進化したのか、そこらへんの問題意識を自分がもっていることをあらためて気がついた。多分これは他の著作を漁る必要があると思う。
第2章の結語は次のとおり。
「ローマでのヴァティカン宮殿の仕事を経て、ラファエロは一地方出身の画家から、名実ともに大画家となった。その変化のプロセスを、教皇居室の装飾、そして自画像の変遷から辿ることができる。控え目で柔和な面持ちの若い画家は、多くの仕事と弟子に囲まれ、重責に誇りと苦労を秘めた、孤高の芸術家、そして監督者へと変貌をとげていくのである。」