神奈川新聞に次の記事がネットに掲載されていた。
「-施設名公表の医療機関のみ協力金 ワクチン個別接種で横浜市-」
「新型コロナウイルスの高齢者向けワクチン接種を巡り、横浜市は31日の市会常任委員会で、個別接種を行う医療機関が施設名を公表した場合に限って協力金を支給する考えを明らかにした。予約や問い合わせが殺到して通常診療に支障が出たことから非公表に切り替える医療機関も相次いでおり、市議からは「(協力金支給は)公平性を含めて検討を」との声が上がった。
全額国費で賄う考えで、さらに接種1回あたり3千円を上乗せする方向で国と調整しているという。市は、いずれの協力金についても「基本的に(施設名の)公表を承諾しているところに出していきたい」と強調。かかりつけ患者に限らず広く高齢者の予約を受け付けていることが支給の条件と説明した。」
質問した市議が誰なのかはわからないが、強い違和感を持った。
第1に、市の予約システムにいくら電話をしても繋がらないので、多くの高齢者は公表されている病院や非公表でも口コミを頼りに連絡をしている。その病院は大量の電話に追われ、受付だけでも通常診療にも支障をきたしていると悲鳴が上がっているのである。
第2に、公表を取りやめた病院も集団接種会場に参加しているの医療スタッフがある。彼らは通常診療の他に、協力をしているのである。その上に、自分の病院でも接種をしなくてはいけないのである。限られた少人数の医療スタッフで対応しようとしている病院では、三週間後2回目の接種をすることを考えると、接種できる人数はさらに少なくなる。
第3に、本来はかかりつけ医が普段接している患者を中心に接種をすることで、事前診断や問診の質を向上させようというのが、大きなメリットである。小規模の病院がかかりつけの患者に接種対象を絞ることに、悪意はないのではないか。
以上の観点からは「公正性」が損なわれるとは考えられない。まして協力金の支給に差を設けるということが協力金なるものの主旨からいっていかがなものか、疑問を持たざるを得ない。かかりつけ医がいつも診察している患者に接種をすることが「協力」ではないという理屈はどこにあるのだろうか。
記事だけで判断するのは危険であるが、市議の質問の主旨も、市の答弁の内容も現時点では精査はできないのが残念であるが、今の市民の、特に高齢者のおかれている現状からは信じられないやり取りに感じた。医師会の意向も踏まえたうえでの、市議の質問・市の答弁と思うが、その背景にはどのような議論がなされているのだろうか。