Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

長崎忌

2019年08月09日 20時26分13秒 | 俳句・短歌・詩等関連

★原爆忌腕鈴なりの電車過ぐ       隈治人
★首上げて水光天に長崎忌        五島高資

 第1句、わたしのもつ歳時記には秋の「原爆忌」の項に入っている句である。たぶん句の出来た背景には長崎があるのであろうと理解している。原爆の日、しかし人びとは勤めに、通学に満員電車やバスに乗って職場や学校に出かける。
 追悼の日の在り方を作者なりに、そして読者なりに考えてみる。この俳句が出来た時期はいつ頃なのだろうか。それによっても喚起されるイメージはいろいろである。

 第2句、「水光」は水面に太陽などの光が反射して輝くようすをいう。「首上げて」がどういう状況なのか、ちょっとわからないが、私は「祈りの場で背をまっすぐに正したとき」という場面を想像している。人間、敬虔な祈りの気持ちになる時というのはあると思う。その対象がどのようなものかは人それぞれで、自然や観念の創り出した神であったり、あるいは亡くなった家族であったりいろいろであろう。そこに長崎忌という季語が配された。
 忌日、それも多くの死者を出した原爆投下の日。「水光」が原爆の閃光なのか、希望の光なのか、鎮魂の思いなのか、閃光ではないと思っている。



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