本日の講座は「「沖縄1972年」考 返還・復帰・再併合」の第4回目。「「ヤマト」からみた1972年」というテーマで大嶺隆氏。氏は国の立場で国と県とをつなぐための機関であった(財)沖縄協会の職員として1977年から2002年まで在籍していたとのこと。この時の政府と沖縄県知事の動きを紹介してくれた。
氏は1995年の米兵による沖縄の少女暴行事件が、特別に大きなインパクトを日本政府に与えたこと、それを契機に当時の大田昌秀知事の提起した「国際都市形成構想」を大いに評価している。大田知事が稲嶺恵一知事に敗れるという波乱で頓挫して骨抜きになってしまったこの構想を、沖縄の自己決定権を前面に立て、沖縄への自由貿易地域制度導入など一国二制度ともいえる「構想」として紹介。この構想を新たな視点で求めるという提起で講演を締めくくった。
大田昌秀知事以降の稲嶺恵一・仲井眞弘多・翁長雄志・玉城デニー知事の施策と「沖縄の自己決定に基づく国際都市形成構想」への評価をもう少し詳しく聞きたかった。残念ながら時間切れでもあったし、氏が沖縄協会を退職されたこともあるのだろうが、詳しくは展開されなかった。
しかし前回の経済的な側面から見た沖縄の振興策の問題点や今回の講演内容と、私にはとても惹かれる内容が含まれており、有意義な講座であったと思う。さらに行政の末端にいた私としては、具体的な都市計画など地方自治体の関与する業務からの視点を提示されたと思う。これもまた今後に活かせる内容だったと思う。
来週は「復帰50年、沖縄の今」というテーマでの講演である。これもまた興味深い。
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