朝はどんよりと曇り、午後からは気持ちよく晴れた。昨日と同じような天気である。湿度は昨日よりも低く、体感的にはより快適。
残念なことに、台風14号の影響が明日には出てくるという予報である。
★書を読むや颱風の夜の白き燈に 山口誓子
★颱風に吹かれ吹かれつ投函す 石田波郷
★台風や四肢いきいきと雨合羽 草間時彦
第1句、平板な句に思えたが、「白き燈」で引っ掛かった。橙色の電球ではない。蛍光灯なのか。白い灯りは眩しくて、読書には疲れる。だが台風が外で暴れている夜には、頼もしい明るさであるということなのだろうか。不安で読書が進まなかったというよりも、「白き」という表現で緊張感のある読書が想像される。漫然とした読書よりは充実した読書だった可能性もある。山口誓子が亡くなったのは1994年だから蛍光灯はとっくに普及している。しかし颱風という表記は1950年代以降に変わっている。そのころは蛍光灯は普及していない。時代的にちょっと合わない。ただし颱風という表記にこだわったのかもしれない。
第2句、大事な手紙なので、あえて台風で荒れている中を投函しに出かけたという設定。字が雨で滲んだり、封書が汚れていたり、差出人や集配の人の状態が察せられる郵便にはいろいろなドラマが感じられる。何事につけ、「モノ」には人の行為が匂ってくる。それを感じられる人間になりたいものである。今ではメールで済ませてしまうが、きっとそのメールにもさまざまなものが貼り付いている、と信じたい。
第3句、災害時などにさまざまな防護をしてから対策にあたる人々がいる。私もその末端の一人であった。その装備を身に着けると体がしゃきっとする。体が生き生きとしてくる。緊張感が高まるのである。雨合羽と長靴とヘルメットとゴム手袋、これだけの装備でも身が引き締まる。漫然と着こなしたのでは事故のもとである。
メールは味気ない。手紙の良さを信じてがんばる友人がいる。