メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

日本映画スチル写真の美学@東京国立近代美術館フィルムセンター

2013-06-06 23:55:55 | アート&イベント
銀座一丁目駅で降りて、徒歩5分くらいかな?
フィルムセンター内に喫茶はないとのことで、ランチは斜向かいのファストフード店に入った。

BLESS COFFEE

「カフェ丼」+ドリンクセットを注文。サイトには紙の箱に入ってる写真が載ってるけど、プラ容器だった。
日替わりで2種類選べて、鶏肉や野菜がのったやつにした。こうゆうお店でご飯ものは嬉しい
デザートにコーヒーゼリーまでついてくる
意外とご飯が多くて残してしまった/謝


日本映画スチル写真の美学@東京国立近代美術館フィルムセンター

以前、『ぼくの伯父さん』『スチル写真でみる日本の映画女優』など観に行って、
その時も映写機とか見たんだっけ? あれ?「たばこと塩の博物館」と勘違いしてるのかな?
てか、「たばこと塩の博物館」は、墨田区横川に移転・リニューアルのため、2013年9月2日より休館だって/驚

展示は7階。これぐらいの高さなら大丈夫だった。行きの地下鉄でちょっと胸がムカムカしてたけど
順路に沿って、日本の映画の歴史がざっくり分かってとっても勉強になる。

フランスの映画の発明者・リュミエール兄弟が撮った明治の風俗映像(もちろんサイレント)には、
家族で縁側でご飯を食べている様子、芸妓さん?が髪を整える様子など貴重な記録ばかり/驚

日本ではじめに人気を集めたのは、歌舞伎の女形による踊りや、演目の映像。
でも、西欧から「不自然」「アップにできない」みたいな理由で、女優さんが起用されるようになる。

向島に撮影所があったとかで、『カチューシャ』などが人気を呼んだ。

関東大震災の様子が生々しく撮られた記録映画では、燃え盛り倒壊する家々
荷車に家財道具を乗せて逃げ惑う人々、川沿いに群がる人々などが克明に残っていた。

日本映画の特徴は、なんといっても「弁士」さんの存在。俳優より人気のある人もいたそうな。

定期的に映写機から流れる映画も面白かった。全8分。

蒲田映画の『虞美人草』も人気。

トーキーの出現
「小唄映画」で朗々と歌うテナー歌手の映像も流れていた。

「傾向映画」
1920年代後半の世界大不況期を中心に、商業映画の中で社会の矛盾を訴える内容のプロレタリア映画。
日本での代表作は鈴木重吉「何が彼女をさうさせたか」など。

「小市民映画」
昭和初期(1930年代前半)に流行した小市民(すなわち安サラリーマン)の生活と生活感情を描く日本映画の一傾向とその作品群の総称。
小津安二郎の『生れてはみたけれど』(1932)ほか、成瀬巳喜男、黒澤明、マキノ雅弘、溝口健二らの監督、田中絹代などのスターも紹介
『丹下左膳』シリーズは大人気を博した。

「円谷の特撮」
精巧な模型で戦争映画を撮影している写真。

榎本健一(エノケン)、古川ロッパらコメディ映画も盛んに撮られた。

玩具フィルム
家庭で楽しむ「レフシー」「パテベビー」なんてのも現れた

プロパガンダ
第二次世界大戦中は、ニュース映画、戦況を伝える記録映画が主流となり、娯楽は厳しい検閲を受けた。
日本の戦前映画は、この時にほぼ失われ、今ではスチール写真でその存在を知るのみとなってしまった。

国産のカラー長編も撮られるようになる。

コマ撮りアニメーション
「なまくら刀」と「浦島太郎」は、ほんとにゆる~くって笑っちゃう
大藤信郎らの素晴らしい才能も生まれた。丁寧な手作業によるアニメ製作風景の映像もあり。

日本も1957年から「ワイドスクリーン」になり、スチール写真もワイドに変わる。

ロビーカード
映画館で上映予告映画を宣伝する為に、観客の待合所などに貼られていたもの。
人口着色が特徴。真っ青な空、真っ赤な服など強調することで、よりアピールできた。
「総天然色」てうたってるところもいいね

スチル写真
スチルカメラマンという職人さんがいて、映画が撮られる前や撮影中に宣伝写真を先に撮ってしまうため、
脚本などからイメージを膨らませて、その映画のもっともインパクトのある一瞬を切り取って観客に訴えるセンスと技術が必要不可欠だった。
小津さんは、自分で役者の配置や、構図などもきっちり決めてしまうから、カメラマンとしてはかえって物足りなかったという
監督の「カット!」の声の後すぐにそのセットと衣装のまま撮ってライブ感を出す時もあれば、
自らセットを用意して、本編には出てこない俳優の構図や表情で、複雑な関係性やテーマを表現した。

スチルカメラマンの全盛期は過ぎ、写真家が撮るようになる。
『さくらん』では蜷川実花さんが撮り、写真集として出すことも増えた。

お目当ての森雅之さんや、久我美子さんの写真も『羅生門』『浮雲』『挽歌』などなどいろいろあった



4階の図書室
ここも一般客が入れるというので覗いてみることに。最初に受付をして番号カードをもらい、
必要な筆記用具以外の荷物はロッカーに預けるシステム。
普通の図書館と違って、1室のみの半分は閲覧席・検索席で、2段ほどの低い本棚に、
『キネマ旬報』など邦画・洋画の雑誌を年代ごとにまとめた雑誌製本のバックナンバーがハンパない
学生時代に毎月のように買ったり、立ち読みした『スクリーン』もズラリ
1950年代~2012年まで。でも、途中'80年代とか抜けてたけど、どこかに保管してるのかな?
何冊かパラパラと見てみたら、今やクラシック映画スターの若い頃の写真もたくさん。
リズ、BB、CC、ジュリー・アンドリュースもマリリンも若い
『シナリオ』なんてゆう雑誌製本のバックナンバーも揃ってたな。

その後、銀ブラ。

松坂屋は閉店セール開催中だって。2013年6月30日(日) まで。
それに代わって、GUやユニクロなどが建ち並んで、時の移り変わりを感じる。


銀座 博品館
  
以前、なにかの番組で紹介されていて、場所柄、海外の観光客も多く「超楽しい」みたいにゆってたから気になって行ってみたw
最高階の8Fは劇場で、5、6階はレストラン、おもちゃや、パーティグッズ、文具類は1~4F。
いきなり「太陽の塔」の模型(1万円超え)を発見(なんてリンクだw

 
外国人向けな変T、2Fのぬいぐるみ&キャラクターもかなりの充実っぷり、テトぐるみも発見v


外に出たところには、2000円前後のぬいぐるみなどの商品の自販機があってビックリ



気になる看板もあったw


帰りは内幸町駅から地下鉄に乗った。隣りはすぐ有楽町駅だけど、ここら辺は高層ビル街なんだね(一生縁がなさそうな界隈
今日も1日、脚が棒になるくらい歩いて、充実した1日でございました~。


 

追。
きょうのにゃんこ。
窓に映ったほうで、こっちを見てるw
もう1人は、ちょっと離れた別テリトリーのコ。


コメント

内田百『東京日記 他六篇』(岩波書店)

2013-06-06 19:30:59 | 
『東京日記 他六篇』(岩波書店)
内田百/作 川村二郎/解説

先日『ノラや』(中央公論社)を読んで、すっかり魅了された内田さんの文章の世界。
友だちが教えてくれた、内田さんの旧友が亡くなった話が収められているのは本書かと思ったが違ったかな?

内田さんの文体の最大の魅力は、なんといっても旧仮名づかいにあるから、
図書館で借りる際にも、もっとも発行年が古いものを選んだが、それでも1993年で、
巻末に弟子の中村武志さんさんが、師匠があれほどこだわっていた仮名遣いを現代の諸事情により、
文庫にかぎって一部新仮名遣いに変えざるを得なくなって、非常に恐縮すると共に謝罪しているあとがきが身につまされた

「幸いにして、霊界で師にお目にかかることを得れば、まず新漢字、新仮名づかいに
 勝手になおしたことをお詫びし、ひたすらにお許しを乞うつもりである」


【内容抜粋メモ】

「白猫」
旅館の隣りに泊まった不思議な男女。旅館内を縦横無尽に跳びまわる白猫


「長春香」
英文科生徒で独逸語を習いに来た女性・長野初。
いろいろ厳しい注文にも関わらず真面目に勉強していたが、9月1日に起きた関東大震災と、それに続く大火で消息が途切れ、
心配して初の自宅を訪ねると焼け跡に曲がった花瓶を見つけて持ち帰る。途中、累々と焼死体が転がっていた。
もう初も生きてはいまいと諦め、仲間同士で追悼会を営み、酔った勢いで位牌まで闇鍋に入れてしまうシーンにはビックリした


「柳〓校の小閑」
盲目の筝師匠の愛弟子とも言える女性・三木から「また稽古をつけてほしい」と頼まれる。
身の回りの世話をする手引役の伊進に小言を言って気まずくなった後、伊進は病気になって亡くなってしまった。
英子という弟子にも教えていて、あまりに集中していないことに怒り
琴爪をした手で打って知らずに怪我をさせていたことが仲間内でも噂となる。
あと少しで難しい1曲が終わるというところで三木はぱったりと来なくなり理由も分からないまま時が経つ。
後で再会し、見合い話があったけれども断っってしまい、ゴタゴタしていたとのこと。
三木もまた大震災で軍港の町で焼け死んだか、崖崩れに巻き込まれてしまったか消息不明となる。
師匠はもやもやした思いも長年ののちには落ち着いていたが、その後、三木に教えていた「残月」を誰にも教えていない。

「今はつてだにおぼろ夜の月日ばかりはめぐり来て」

●気になる言葉
晴眼=目が見える人のこと
歔欷(きょき)=すすり泣くこと。
六ずかしい


「青炎抄」
これまた夢日記みたいな短編が連なった不思議な話ばかり。
昔、世話をしていた女中が瀕死だからと見知らぬ男が何度も訪ねてきたり、
「“もる”(雨漏り)ほど怖いものはないというお婆さんの話を聞いた虎と狼が一目散に逃げた」ってゆう落語みたいな話や、
なにか事情があって殺人をしてしまった知人を知らずに訪ねてしまい、告白を聞いてしまう話、
美人で気の利く女中に郷里から男が訪ねてきて、見合い話を持ってくるが断るとしつこく家にあがってきて話がもつれ、
女中は男がいなくなった翌朝ふいに姿を消し、庭の柘榴の下枝にその男がぶら下がっていた話、
盲目の主人のもとに来た派出婦(一般家庭からの求めに応じ、出向いて家事などをする女性)の話など。


●気になる言葉
抽斗(ひきだし)
草臥(くたび)れ休み←学校にこんな休みがあったのかな?
愚図愚図する
機み(はずみ)
嫣然(えんぜん)=にっこりほほえむさま。美人が笑うさまについていう。


「東京日記」
こちらも不思議な短編集。
用事があって丸ビルに行ってみると、がらんとした跡地になっていて、誰も気にしていない様子。
でも日を改めて行ったら、ちゃんとビルはあって、そこに勤める知人も「昨日は都合で休んだ」というばかり。
死んだ甘木さんが何年か前に死んだ時のままで寝ているところを見た話とか、
初めてトンカツ屋に連れて行ってもらったら、お客の顔が獣に変わっていたり、
盲学校で手をつないで踊っている輪の中に、なぜか山羊が混ざっていたり(可愛いかも
夜や昼間にも往来に馬が突然現れて危険だって噂が流れる話とか、
日比谷公会堂の一番後ろの席からヴァイオリン奏者を見ていると奏者も楽器も
“音の工合によっては幅広になったり、厚くなったりして、仕舞にはやわらかい餅を見ている様な気がした”てw
同窓会で隣りの席の男に職業を聞くと「僕は君、実は泥坊をやっているよ」てゆうのも可笑しいw

タイトル通り、“本郷から小石川に帰るのに、真砂町から春日町へ・・・”なんて、
今でもなんだか目に浮かぶような地名や景色がその都度書かれていて面白い。

●気になる言葉
餉台(ちゃぶだい)
飛行機の査証=ビザ
肉叉(フォーク)


「南山寿」
ちょっと著者の自伝的要素もある作品。トラブルがあって大学を辞めてから、奥さんも亡くなって(これはほんと?
所在ない感じになったところに、馬と接触しそうになった女性を助ける事件があって、彼女は偶然にも教師仲間。
それが縁で家にも遊びに行ったり、外で食事をする仲になり、まだまだ動けるうちに次の仕事や、
再婚などのこともうっすら考えている著者。女のほうも夫と離縁して、そのつもりな雰囲気を醸し出している。

しかし、著者が辞めた後に入った新卒教師の男が、最初は授業の仕方について教えてほしいと急に訪ねてきてから、
女性と一緒の時は必ず同じ店に居合わせては腰を落ち着けて、妙な勘ぐりをしたりするまったく気分の悪い奴で、
しかも「大学にちょくちょく先生のところの女中が来る」などと嘘か本当か分からないことを言い出す。
子連れの女中も、なぜか気を利かせたようにぷいっと家を出てしまうが、そのすぐ後に女性が来て掃除などしてくれる。


●気になる言葉
余っ程
糟糠の妻(そうこうのつま)=貧しいときから一緒に苦労を重ねてきた妻。「糟糠」は酒かすと米ぬか。貧しい食事の形容。
転手古舞(てんてこまい)
去就=どう身を処するかの態度。進退。


「サラサーテの盤」
これは以前も書いたからリンクのとおり。でも、やっぱり読んでしまう。何度読んでも味わい深い逸品。


【川村二郎さんによる解説メモ】
スタティック=静止しているさま。静的。
永井荷風『日和下駄』:“街歩きの愉しみを心得た趣味人の漫文”だそうな。読んでみたいかも。
漫文=1.思いつくままに書いた、とりとめのない文章。2.こっけい・風刺をまじえた、くだけた文章。
万物照応

内田さんは少年時代から琴も習っていて、音楽愛好、特に絃楽器への愛着があるそうな(なんでもこなすねえ/驚
文章の中にときどき出てくる“散らかった気持ち”“片づかない相手”などの言い方がとても気に入っている。

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