メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1995.12~ part1)

2013-06-08 12:39:09 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
今回はベージュのノートからご紹介。
まだまだコメディ映画を漁りつつ、SFにもハマり、ミュージカルの名画にも出会った♪

  

photo1:悲惨な事件後、見事に復活しただけでなく、優勝を果たしたセレシュの記事。感動したなあ
photo2:東武美術館ってあったっけ?と思ったらなくなっちゃったんだね
photo3:アステアとジュディのヒット作。ジュディ、太ってなんかいないじゃん。

若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『SLAUGHTERHOUSE-FIVE』(1971)

原作:カート・ヴォネガット・Jr. 監督:ジョージ・ロイ・ヒル
出演:マイケル・サックス、ロン・リーブマン ほか
新しいノートの最初を飾るのは、なんとも不思議で可笑しくて、悲しくて、クレイジーな戦争SF映画。
どこにもないね、こんなの。'70代だから撮れた作品。この原作者と監督に注目。
このドレスデンと爆撃は事実だろうか? 1945年2月、突然白い光を見てガラスに囲まれた異星に来ちゃう展開がスゴイ。
相手は四次元で姿は見えないけどショー好き。もし地球人が他の知的生命体を見つけたらきっと同じように歓迎するだろうね。
ほどよく親切に、ほどよい残酷さで。

異星人いわく「世界の終わりは地球のせいじゃなく、宇宙を吹き飛ばす兵器のボタンを誤って押した奴がいた」から。
「人生の良い時だけを見よ」「世界は瞬間の集合でできている」

本当ぶっ飛んでるよ、まったく
言ってみれば、これは最高に運がいい男の話で、ボーっとしながらも笑みを絶やさない彼は人に好かれるものね。
白い光を見て不思議がる愛犬スポットの名演技はサイコー!こんな作品に出逢えた私は幸せだ。


『陽気な幽霊』(1945)
監督:デビッド・リーン 出演:レックス・ハリソン、コンスタンス・カミングス ほか
原作者のノエル・カワード作には他に『逢びき』、出演作には『80日間世界一周』『ハバナの男』『夕なぎ』がある。
『インドへの道』『アラビアのロレンス』等で有名なD.リーンによって映画化。
ちょっと気取って礼儀正しいイギリス英語のイントネーションとユーモアが楽しいゴーストもの。テクニカラー。
人の体を別の人がスゥッと通り抜ける映像技術を活かして、中年バツイチ夫婦の愛情、嫉妬、駆け引きを描いた
“コメディファン必見”とうたったクラシック映画。

考えてみればとんでもなく怖くて悲しい「友引」の話。それを皮肉ってパロディ化するところがイギリス流のユーモアかな。
ハンサムできちっとした紳士なのにけっこう浮気者のハリソンが好演。
表向きは幸せで平穏な結婚生活だが、大尉と妻の浮気、夫の女遊び等でボロが出てくる、出てくる。
「紳士ヅラしてほんとうは退屈な男」「こんな家から離れて、人生を思い切り自由に楽しむんだ!」とかイギリス人の本音もチラリ。
妙なポーズや、童謡を歌ったり、今作はあの霊媒のおばさんが美味しいところをさらってる。
元々は舞台劇だそうで、舞台セットでポルターガイスト現象を作り出すのは苦労だろうね。


『カレル・ゼマンの彗星に乗って』(1970)
 
原作:ジュール・ヴェルヌ 監督・脚本:カレル・ゼマン 出演:フランチシェク・フィリポブスキー ほか
SFカルトファンの間では幻の名作らしい。クラシックながら不思議な魅力とスタイルの1作。
パリ・ファンタスティック映画祭特撮賞受賞、テヘラン国際児童映画祭グランプリ受賞、これは聞き慣れないけど
確かに子どもから大人まで楽しめるファンタジア、スペインのお気楽ムードの中にも、
イギリス的な風刺も効いてて、T.ギリアムも影響を受けてるかな?

薄みどりや、真っ赤、セピア色に染まる画面が幻想ムードを盛り上げる。
アニメとの合成もキレイでなんでもありだから、船を爆破させて帽子だけが飛びあがるなんて粋なシーンも一丁上がりって感じ。
やっぱり恐竜シーンがイイネ。草を食べているのはよく動く模型で、恐竜は実は別の惑星から隕石の落下でやってきた説を基にしている。
どこに行っても国境などをめぐって戦争好きの人間たち。やっぱり外からの脅威しか団結する道はないのか?


ソビエトSFファンタジー大全集 第1弾『不思議惑星キン・ザ・ザ』(1986)
 
監督:ゲオルギー・ダネリア 出演:スタニスラフ・リュブシン ほか
ロシアのSFコメディ映画。ロシア人だってこんなぶっ飛んだユーモアを持っている
宇宙人は皆フルメタルのUFOでやって来て、オートメーション化した都市型惑星に住んでいるというイメージを
見事に打ち破って現れたのは、薄ら汚いオヤジと、アホギリギリの異文化。
観終わってもしばらくこのカルチャーショックは残りそう。
すっかりパッツ人の仲間入りして、上司に「クー」と挨拶してしまいそう。

途中で突然キン・ザ・ザ語の簡易な訳なんか出てきて教養番組みたいになったり、パッツ人は檻の中でしか歌えないとか、
黄色いステテコ、赤いステテコで格を表したり、下の者は鼻に鈴をつけて頬を叩いて手と股を広げる挨拶も変だし、
2人の男が小さなプールの中でじゃれているのを見て「遊んでいるのか?」「いやマジだ」ってセリフも笑える。
どこの星にも人種差別が存在する。その滑稽さを皮肉る。これは案外真面目なメッセージを持つ風刺コメディなんだ。
ちゃんと欲の深い信用できない奴らでも見捨てないからエライよ。


『カビリアの夜』(1957)
 
原作・脚本・監督:フェデリコ・フェリーニ 出演:ジュリエッタ・マシーナ、フランソワ・ペリエ ほか

「カビリアは、真に愛してくれる男を純粋な心で待っている・・・」(F.フェリーニ

ずっと観たいと思っていたら図書館でバッタリ。『道』に続いて愛妻マシーナを主演に
娼婦が真実の愛を探してゆく姿をじっくり描いてゆく。
アカデミー外国語映画賞、カンヌ主演女優賞を獲得。
ニーノ・ロータの寂しげなメロディが作品を見事に盛り上げている。
オスカー役のF.ペリエのいかにもイタリアの優男ぶりがどこまで信じられるか、本物か、嘘か!?
観客もヒロインとともに喜び、悲しみ、疑い、祈る。

75万リラも貯めたらもっと実用的な使い道があるだろうけど、結局は結婚相手を見つけて養ってもらいたいってのが
女の本音なんだろう?ってところを鋭く突いている。
牧師がしたり顔で言うセリフ「結婚して子どもをたくさん産んで聖なる務めを果たしなさい」
どこの国、どの宗教も、女性に課す義務は同じなんだね。
ところで地の底から這い上がったカビリアは、あの後どう生きたのか? 結論は出していない。
小柄だけどドスのある威勢のいい声をして、いつもイキイキとした目をしたマシーナの独特な魅力と名演技が詰まっている。
私たちは偉大なる名監督を失ったけれども、彼が遺した名作はこれからもずっと大勢の人の心を動かすことだろう。


『星の王子さま』(1974)
原作:アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ 監督:スタンリー・ドーネン
出演:スティーヴン・ワーナー、リチャード・カイリー、ジーン・ワイルダー ほか

「大切なことは心の中にある。本当に大切なことは目に見えないんだ」

人生の意味を探究する小さな王子の物語を、『雨に唄えば』『パリの恋人』等の名匠ドーネンが製作したミュージカル
観念的で詩的な童話、世界で広く深く愛されている名作だけに映画化するには難題な原作を
アニメや撮影法を工夫してファンタジックに描いている。テグジュペリが描いた挿絵をそのまま使っているのがイイ。

大勢の中から選ばれた王子役のスティーヴン少年が素晴らしい
本当に小麦畑のようにフワフワの金髪、マシュマロのような頬、緑色のガウンもピッタリ似合って、長くて難しいセリフもペラペラ。
彼を囲むベテラン俳優陣もイイ。R.カイリーは『ミスター・グッドバーを探せ』の父役。彼も歌えるんだ/驚
王子さまがハトに連れて行ってもらういくつかの星の変な人々のエピソード部分は、多少原作から離れていて、
大人社会への皮肉がいまいち伝わってこない。

サイケなクネクネダンスを踊るボブ・フォッシーは、有名なダンサー兼振付師で『オール・ザット・ジャズ』の人。黒尽くめでキメまくっている。
で、やっぱり今作で1番良かったのは、J.ワイルダーをキツネにキャスティングしたことだな。
そういえばモクモクフワフワの髪が野生のキツネに見えなくもないものね
♪どんどん近付いて、友達になるよ と歌う彼のイノセントで無邪気なイメージがピョンピョン跳び回るキツネにピッタリ!
でも全く初めてこの物語を観る子どもたちが、妙にセクシーな薔薇の女性や、ヘビ男、跳びまわるキツネ男をどう思うか、ちょっと心配。
ミュージカルの不自然さを嫌う人が多いのも分かる気がするけど、ま、それは別にして・・・
クルクル回る星の3つの火山を掃除する王子さまのシーンなんてどうやって撮ったのか不思議!
ストーリーのラストは、パイロットが無事、家に帰ってゆくシーンだけど、原作者のテグジュペリはそのまま二度と帰らなかった
心の中に美しい夢の世界を持っていた彼は一体どこに消えてしまったのだろう? 原作者を映画化した作品もぜひ観たい。


ソビエトSFファンタジー大全集 第3弾『テイル・オブ・ワンダー 放浪物語』(1983)
監督・脚本:アレクサンドル・ミッタ 出演:タチアナ・アクシュタ ほか
やってくれるなあ~ロシアも! 丁寧に付いてる英題からして大物だもの。
MPもこうゆう中世劇が好きみたいだけど、清く貧しい姉と弟の姉弟愛から壮大なパロディまで
ひと息に突っ走っていく様は思いもよらない展開で、なんかとてつもない悲しさすら覚えるよ。観客すら置いていかれた感じで。

10歳も離れていたら姉弟以上の愛で結ばれるかのような終わり方だけど、
この時代の人は皆人工呼吸の訓練を受けているらしい。溺れた以外にも効果あるのね。
腑に落ちないところもあるけど、やっぱりスゴイよ。
スゴイSFは、コメディに通じるものがあるんだって気づかせてくれた。


『ファントマ 危機脱出』(1964)
監督:アンドレ・ユヌベル 出演:ジャン・マレエ、ミレーヌ・ドモンジョ ほか
カッコイイねえ、この青く塗ったユル・ブリナーみたいなダブルスーツ着ちゃってるクールな奴。
悪役にしておくのはもったいない。八十二面相?銀行じゃなくて?
いろんな顔に変身できるマスクを持っているところが唯一彼の強みで、SFの部分で、所詮は生身の人間。
妙に人間臭さが漂ってくるのもフランスならでは。
銭形風警部のひょうきんさといい、バックに流れる軽快な音楽といい、完全にウケを狙ってて、
ヘタなコメディ映画より笑えるなあ、SFって。

これって人気TVシリーズにもなったのかな? これだけのキャラが揃っていたら文句なしだもんね。
刑事のマスクを取っても青い顔のマスク。そうとう蒸れて息苦しそうだけど、クールな表情は崩れない。
手許のボタンでセキュリティシステムの素晴らしさを見せ付けるのはいいけど、
ボタンに思いっきり説明のラベルが貼ってあるんじゃ、他人にもすぐいじられちゃうんじゃない?
この1作で秘密のほとんどを自分から喋っちゃったし、この後のネタはもつのか???


『ドリームデーモン』(1988)

監督:ハーリー・コックリス 出演:キャサリン・ウィルホート、ジェマ・レッドグレーヴ ほか
なかなかの掘り出しモノ。古い館は『サイコ』、悪夢に引きこまれるヒロインは『エルム街の悪夢』に通じる上、
これは幼い頃に父親に虐待を受けて事故死した現場にいた少女が成人して失われた記憶を取り戻すという
心理学的な要素も絡み、数々の幻想的で効果的な映像が凝っている。
キョーレツなのは、マスコミのイヤラシイ男。どっかで観たことあるんだよな、同じような役で。いるだけでホラーだもの。
ヒロインの悪夢が現実とリンクしてて、しかも霊界?や別の少女の記憶とも結びついちゃってるアイデアが斬新。

普通の家や地下室、大きいから日本人にとってはそれ自体が迷路のようだけど、
幻想の階段やエレベータなんかとつながっていて、なおのこと出られないパズルのよう。
シュールレアリスムな奴ら~顔にパンチを食らって穴が開いて、グチャグチャしたものをいつも食べてて、
もう1人は顔が不気味にデフォルメされて、本当この2人のキャラはキョーレツ。

人はどうして夢を見るのかな?
体は眠っているのに勝手な仮想現実を作り出す脳のメカニズムって本当にミステリー。
その世界はどんな世界中の名監督でもかなわない映像体験のワンダーランドなんだ。


『if...』(1968)

製作・監督:リンゼイ・アンダーソン 出演:マルコム・マクドウェル、デヴィッド・ウッド ほか
なるほど、これはかなりショッキングな社会派作品。主演のマルコム以外はスタッフ全員が新人ていう
イギリス・ニューウェーヴによる'60代の学園紛争を、じっくりと、斬新なアイデアをとりまぜて撮り上げた1作。
モノとカラーを使い分けて、穏やかなクラシック(聖歌?)をBGMに冗談とも現実とも言えない
イギリス名門パブリックスクール内での学校生活。

「体罰死事件」で校内暴力が社会問題として大きく取り上げらている現代の日本でも、ここまでは理不尽に厳しくはないよね
たしか英国の義務教育は、小さい時から寮生活をして、上下関係、協調性を学んでいくんだとか。
英国の発展にこうしたエリート教育が必要だとしても、決して人道的とは言えないな。
イギリス英語は、どーしてもMPのパロを思い出して笑っちゃうんだけど、彼らも名門大学出身者。
学校のパロが多いのも鬱憤晴らしも含めてMPスタイルでの強烈な社会批判なワケだ。

厳しすぎる、理不尽で、暴力的、こんな学校じゃ子どもの心に憎しみを植え付け、人間不信にさせるだけ。
トイレに頭を突っ込まれたりなんて、協調性を学ぶどころか弱い者イジメが当たり前になってる。
ミックはすっかり体制への憎しみを育てて、戦争武力フリーク になってしまった極端な例。
'60代の学園紛争は、ヒッピー思考の裕福な若者らによるラヴ&ピース、非暴力、学校の占拠のようなものだったみたい。
今の学校が平和なのは彼らの反逆のおかげなのか?
とすると、ここまで派手にやらなきゃ世の中の古い仕組みは変わらない、強行作戦も時には必要だってこと?!

映画は単なる娯楽から、その国の実体を外に伝え、告発するドキュメンタリー要素をも持つようになって
ニュースより強いメッセージを伝えることもできる。
当時、問題の真っ只中にいた学生や、関係者、親たちが今作を観たショックは大きかったろうね。

他に印象的なのが、男女がまったく遮断された環境にいるということ。
好奇心旺盛な子どもから大人の一歩手前の男子も、かなり禁欲的生活の中に閉じ込められている。
紅一点の女性スタッフに興味が集中しているのは笑えたし、雑誌のポルノ女優に妄想をふくらませているんじゃ逆に良くないよね。
その女性スタッフが生徒のいない部屋でまっぱで歩き回って解放感を楽しんでいるシーンも可笑しい。

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notes and movies(1995.12~ part2)

2013-06-08 12:39:08 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part1からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『宇宙大征服』(1967)
監督:ロバート・アルトマン 出演:ジェームズ・カーン、ロバート・デュヴァル ほか
『MASH★』を撮った同監督とは思えないシリアスなヒューマンドラマ。
これって月面着陸が実現したより後? ロケットや雰囲気がかなりリアルで実際のと大差ないところを見ると、
この時点でかなりロケットや宇宙旅行が現実のこととして理解されてたのか。
ほんの30年前の話で、その昔、石や矢で獣を追いかけていたニンゲンが
アッという間に星から飛び出す技術を持ったなんてまったく信じられないね。
たった独りきりのシェルターでたった4時間の睡眠でさえ不安にさせる宇宙の孤独。
本当に勇気あるよ、最初の飛行士は。今のほうがより設備が便利で居心地はいいだろうし。
成功させるまでの家族、友人のドラマ。緊張感あふれるリアルなフライトの様子は見応えあり。
J.カーンとR.デュヴァルは、この後『ゴッド・ファーザー』で再び共演することとなる。


『PAPERHOUSE』(1988)

原作:キャサリーン・ストー著『マリアンヌ・ドリームズ』 監督:バーナード・ロス
出演:シャルロッテ・バーク、ジェーン・バーティッシュ ほか
こんな素晴らしい作品がホラーの棚の1番下のホコリに埋もれてちゃいけないな。
ジャケがちょっと薄気味悪いサコホラー臭いものだから誤解されちゃうけど、実は全然違う。
心理学的で、ファンタスティック、感動でいっぱいになる。世界中の人に観てもらいたい。原作を読んでみたい。

ラストまでビックリの連続で目が離せない。西イングランドのロケがとにかく素晴らしい。
絵も夢も心を投影させるというけど、等身大の友人であり、恋人でもある少年少女は、自分の分身でもある。
知らないヒトや場所を見る超自然な力ともとれるけど、本当に不思議な話。
私だったら現実になってしまう消えない絵をどう描くか?と、つい想像してしまう。


『レポマン』(1984)
監督:アレックス・コックス 出演:エミリオ・エステベス、ハリー・ディーン・スタントン ほか
ユニヴァーサルもいろんな映画に投資しているんだねえ。たしかにたくさんの中古車が登場するほかは低予算だけど、
アメリカン・ニューウェイヴがSFを撮るとこうなる。軽いノリのロックンロール付き映画。
作品が終わったのに、テープがあと1分くらい余っちゃってるのはどーゆーこと!?

上から逆に出てくるラストのフリップに♪レポレポマーン とシャウトするテーマソングと
芸が細かいところに気を遣っているみたいだから2度3度味わったほうが味が分かるかも。
あの『アナザー・プラネット~』みたいに。
「社会が悪いんだ」「いや、おまえがただのパンクだからだ」て冷静な答えは笑える。

H.D.スタントンってこうゆう一風変わった小品が好きだね。何をやっても溶け込んじゃってる演技力と存在感はスゴイ。
浮浪者のセリフで「ヒトはどこから来たか。未来からだ。南米で何千人もいっぺんに消えてくヒトたちは
どこへいったのか。過去へだ。なんでタイムマシンとUFOは一緒だ」なんてのは面白い。
いい緊張感が味わえただけで主人公は満足しているみたい。とってもみんな短気なんだもの。
いわゆるアメリカ英語の俗語の使い方がいろいろあって勉強になる。生きた英語ってやつ?


『ザ・ラットルズ』(1978)
 
監督:エリック・アイドル、ゲイリー・ワイズ 出演:エリック・アイドル、ニール・イニス、ジョン・ベルーシ、ジョージ・ハリソン ほか
この大傑作を、大晦日の5時間半ぶっ通しの「ビートルズ・スペシャル」の後に観たから2倍の面白さ
ついさっき見た偉大なるバンド、4人の天才たちの成功と解散までをじっくり味わってからの、このラットルズだもの。
エリックの才能と、目の付け所の鋭さに改めて脱帽。MPもビートルズに劣らぬ世界中の注目と人気を集め、
似てなくもない軌跡をたどっている若さのパワーと才能の開花って素晴らしいって感動しちゃう。

出演メンバーがこれまたスゴイ! J.ハリソンはもちろん、SNLの面々(絶対に交流あると思うな)、
J.ベルーシ、D.エンクロイド、M.ジャガー、P.サイモンのなりきり長々インタビューなどなど。
なによりM.ペイリンも友情出演しているのがMPファンにはサイコーに嬉しい
まだ1回しか観てないけど、これは完全永久保存版。なんてったってレンタルショップでもいつもレンタル中で、
やっと借りれて、でもタイミングとしてはちょうど良かったv

サイケデリックなアニメ「ピギー・ツアー」は本物のアニメーターに頼んだのかな?
そーいや女王陛下はソックリさんだけど、E.サリバンのフィルムは本物で「ラットルズ」のところだけすごくうまく入れ代わってたw
「ベッドイン」ならぬシャワーを浴びながらの会見シーンもあり。ギルダ・ラドナーも通行人役で出てる!
このサントラ盤もある 絶妙にオリジナルをアレンジしてて、なんのパロか分かる曲作りも上手いし、エリックの歌声も改めて聴きたい!


『FAWLTY TOWERS 危ねえホテル』(1975~1979)

製作・主演:ジョン・クリーズ ほか
J.クリーズが「空飛ぶサーカス」終了後に作ったコメディ番組で高視聴率の人気番組だったというビデオ版。

●第1話
クリーズのカラーがこれでよく分かる。ハイテンポでぶっ飛んだ奴と、紳士面のやりとり、シチュエーションコメディが好きなんだな。
MPの枠から解放されて、自分のスタイルで作った番組も当たるなんてほんとスゴイ
今はもっぱら俳優路線だけど、ハイテンションでノリまくっている頃。

●第2話
ヒトラーのモノマネの上にバカ歩きまで披露
「日本製かね?」「カナダだよ」「カナダ人がそんなに利口とは」

●第3話
このBBC提供のビデオシリーズは4、5巻ある。他のもぜひチェックしたいところ。
それぞれのキャラがハッキリしてて、舞台もホテルと限られているから分かりやすい。
とにかく1番バズル・フォルティの人格がキレてる。次から次へとよく動き、よく喋る!これぞコメディアンの真髄。
個人的にはマニュエルのバカさ加減が好きだな。あのお得意な“HE?”ってゆうリアクションはイイ。
「猿飼って調教したほうがマシじゃないの?」てw 毎回の話の運びのパターンが少しだけ見えてきた。


『メル・ブルックスの命がけ!イス取り大合戦』(1970)
製作・監督・出演:メル・ブルックス ほか
名パロディ監督M.ブルックス作品は、ほとんど観て、未鑑賞の今作に期待大だったけど、
ちょっと違うドラマ性の強いシチュエーションコメディだった。
ナンセンスが好きなわたしとしては、もっと無意味な遊びがほしかったところ。
ギャグでよかったのは、夢中になってイスを取ろうとして綱渡りをこなしてしまうってやつ。
人間本気になればすごい能力が隠れているものねw


『OLD YELLER』(1957)
監督:ロバート・スティーヴンソン 出演:ドロシー・マクガイア ほか
Good Old Days といった感じのディズニー製作らしい。家族の絆と訓示に満ちたお話。
「大草原の小さな家」風の舞台に、サファリパークのようにあらゆる動物と会える。
開拓時代ってこんなに自然に近くて、動物とも近い生活を送っていたのか?とビックリ。

せっかく主人公の犬の死で盛り上げた締めくくりを父の名ゼリフでまとめるつもりが
「いい日もあれば、悪い日もある。いい事を見つけていくのが大事だ」だけじゃ寂しい
泥棒をしたイエラーをとりにきた保安官がトカゲ?と食事と交換、兄の見ている前でわざとトカゲを放してあげたり、
やたら“男らしく”と連発しているセリフも不自然。この時代(まあ今もだけど)はこんなものだったのかねえ。
アライグマや、賢い動物たちの可愛い演技があるから許しちゃう。
♪デニス・ムーア を思わせる男性コーラスのテーマ曲が印象に残る。


『永遠のエルザ』(1972)
監督:ジャック・コーファー 出演:スーザン・ハンプシャー ほか
世界的ヒット作『BORN FREE~野生のエルザ』と間違えてレンタルしたと後で気づいた
その続編で、エルザの二世たちの物語り。こちらも実話だそう。
なるほど、ワイド画面だとアフリカの壮大で美しい自然の風景に臨場感がある。
撮影の苦労の甲斐あって、3頭の兄弟妹らの自然な動き、ヌーの群れ、
渡り鳥の大群などの野生の動物たちや、狩りのシーンなどはスゴイ。

印象的なのは、あとが絶たない最強の敵、ハンターらがチーターなどを撃つ銃声から
一転して、パリモードらしき見事な毛皮のコートを着たモデルにターンしたショット。
これは単に野生動物の自然回帰と、人間ドラマだけでなく、痛烈に保護を訴える作者の気持ちを映し出している。

ライオンも小さい頃から飼いならそうと思えばできるんだね。犬ともあんなに仲良くじゃれて遊んでいたし/驚
それを見て銃を振り回してたキャンプ中の夫婦がビックリした気持ちも分かるけど、
もっとお互い平和で穏やかに共存していけるのかも。初作が観たい。


『カサンドラ』(1987)
監督:コリン・エッグルストン 出演:テッサ・ハンフリーズ ほか
アボリツァ賞だかなんだかを受賞したっていうジャケでつい借りたけど、盛り上がりもサスペンスも感じさせない話。
悪夢でのシーンには映像の美しさが見られるけど、プロットがあまりにありふれている上、
結局、父母が誰でどれが本物の親かは分からずじまいで後味がスッキリしない。
犯人が狂っているっていうのは安易な方向だし。
もう殺人サスペンスものはあらゆる手が尽くされているだけに、もっとストーリー展開に工夫がほしかった。
と、こんな批評家みたいな悪口は言いたかないけど、ま、双子の超自然的なテレパシーを利用したかったんだよね。
このヒロインどっかで見たことあるんだけど、特にメモりもしなかった。
今回2~3本のコメディの他は外したなって感じで残念。


『マルクスの二挺拳銃』(1940)

監督:エドワード・バズル 出演:マルクス兄弟、ジョン・キャロル、ダイアナ・ルイス ほか
♪As if I didn't know、♪Ridin' the Range、♪You can't argue with love、♪From the land of the sky-blue Water

マルクス兄弟の面白さがたっぷり詰まったヒット作。GO WESTものは多数作られヒットした中でも
グルーチョとチコの喋り、ハーポのハチャメチャぶり、ストーリー、歌、ギャグが
完璧なタイミングと、ハーモニーでまとまっている。
いきなり、あのシリーウォークで登場するグルーチョが嬉しい。ダンスシーンもキュート
「(お金を)数えるなよ」「足りないよ」「だから数えるなと言ったろ」

タンスの一方を閉めると、もう一方が開いちゃって、グルーチョが♪あたしゃアラバマからやってきてええ~て歌いだす。
この歌、MPでもあった。彼らもマルクスのファンだもんね
「インディアン語喋れるのか?」「インディアナ生まれだからな」
ハーポのハープ名演奏では、ジャズっぽくなるところがいつもイイ

(延々とノートにはギャグが思い出せるだけ書いてあるけど省略しますw
 馬車で移動しながら歌う♪Ridin' the Range が大好き グルーチョの合いの手が絶妙。
 このシーン、曲は何度聴いても泣けてくるんだ/嬉

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notes and movies(1995.12~ part3)

2013-06-08 12:39:07 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part2からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『セリア』(1988)
監督:アン・ターナー 出演:レベッカ・スマート ほか
子どものイノセントな視点による世界では、全てがおとぎ話のつづきみたいだ。
父が隣りのアリスに言い寄ったり、普通にちょっと考えると怖いかもしれない出来事も
あっさりと描く女流監督の切り口の鋭さは『PAPER HOUSE』と同様に佳作。
セリア役のレベッカが、トム・ソーヤーの女の子版のように活発でスカッとする演技。
理不尽なリーダーの写真の顔を青く塗るなんてセンスある。
子どもの意見だってバカにできない。


『ドリーム・チャイルド』(1985)

監督:ギャビン・ミラー 出演:コーラル・ブラウン、イアン・ホルム ほか
現代も年齢に関わりなく、その不可思議なストーリーと美しい挿絵で世界中に愛されている童話、
『不思議の国のアリス』が基。フシギと完全な映画化はされていなかった。
NYの「ルイス・キャロル生誕百年パーティ」に招かれたアリス。
彼女が思い出す幼き頃と、ドジソンの思い出、そして“ティーパーティー”や悲しむウミガメ、
イモムシ等の童話キャラクターと、10歳のアリス、老いた彼女の世話をする孤児ルーシーと、
米記者の若き恋も交えて、ちょっと違った角度から描いている。'30代の雰囲気がイイ。

キャロル役のI.ホルム、幼いアリス役のA.シャンクリーもさることながら、
英国女性らしい厳格さとユーモアにあふれた'80代のアリスを演じたコーラルが素晴らしい。
原作を再読し、天才童話作家のプライベートな部分も知りたくなった。


『浴室』(1988)
原作:ジャン・フィリップ・トゥーサン 監督:ジョン・ルボフ
出演:トム・ノバンブル、グニラ・カールセン ほか
バスルームの居心地の良さに、そこに居坐ることになるまでの過程ではなく、
その「平穏な日々を危険にさらす」必要を感じて外に出てからの話。
“浴室世代~サル・ド・バン・ジェネレーション”なんて言葉を生み出したほどフランスの若者の心をつかんだ作品。
きっと原作本のほうが面白いと思う。先に映画を観たのはまずかった。
小説「シルシー」を映画化したようなものだもの。

主人公の男がどうやらかつて有名なテニスプレーヤーらしい設定が面白い。
フランス人プレーヤーがなかなかトップ10に入らないのは何事にも観念的思考が入り込んでくる国民気質のせいか?
あんな様子ではとてもワールドツアーしていくことは出来なそう。

「この街は1年に3ミリずつ沈んでいる。だから(階段から飛び降りる遊びを)一緒にやろうヨ」その気持ちも分かる。
超シンプルで非人間的で、無機質。パスカルの言葉にキーがありそう。忘れちゃったけど。
同作者の『ムッシュー』も気になる。


『五月のミル』(1989)
監督・脚本:ルイ・マル 出演:ミシェル・ピコリ、ミシェル・デュショソワ、ミュウミュウ ほか
先ごろ世を去った名匠ルイ・マル作品。人間臭さプンプン漂うピコリを中心に
母の葬儀で久々集まったブルジョア家族の様子をフランス五月革命('68)を交えて描いた。
人の持つ暗い部分、明るい部分をちょうどよく引き出していて、遊びのジョークもイイ。

孫娘が祖母に「地獄に行ったらウインクして」と囁いたり、
開いた口に土が入るからと一生懸命閉じようとする、その足元を覗くミル。「数年後が楽しみだ」
クレールがレズビアンで女友だちとアランの仲を嫉妬し「邪魔かしら?」「いや、なぜ?」「邪魔者だから」
ピルやらの事をいちいち子どもが聞いたり、それぞれ秘密の関係があったり、
「3人も子がいて、料理してばっかり」とカミーユがキレちゃったり
こーゆー家族いるよなあ。さすがルイ・マル。


『SF/ボディ・スナッチャー』(1978)

監督:フィリップ・カウフマン 出演:ドナルド・サザランド、ブルック・アダムス、ジェフ・ゴールドブラム、レナード・ニモイ ほか
まさにSFの真髄。原題は体がすり替わる何者かの侵略ってとこかな。
何度もリメイクされた3作のうちの2作目。適材適所のキャストが豪華。
ニモイがフツーの人でドラマやっているのは珍しいと思ったら、やっぱり宇宙人だったw

効果音もバツグン。特殊メイクや鞘から花びらと複製人間が出てくるリアルな映像は『エイリアン』も真っ青!
別の惑星の寄生植物が雨と混ざって降ってきて、他の植物に寄生する前フリも効果的。
臭いをかいだか、根から養分となるDNAを吸われたか原因は不明だけど、
本人が眠る間に鞘から複製人間が生まれてすり替わっちゃう恐い話。

感情がないから愛や憎しみ、個人的欲望もなくなればきっと平和になるだろうけど、やっぱりそれじゃ植物と同じで人間じゃないな。
エゴで汚れた世界。自分が自分でなくなって『カメレオンマン』のゼリグみたく、
周りに溶け込まざるを得ない現代人の社会からの疎外感すら訴えているような作品。
D.サザランドだからなおさらキョーレツなラスト。
こんなに増えて、地球を乗っ取ったら、その後どうしようってのか?
それは本能で別の惑星の侵略に取り掛かるのか。誰かさんみたいに。


『カストラート』(1994)

監督:ジェラール・コルビオ 出演:ステファノ・ディオニジ ほか
兄弟2人の俳優はもちろん、脇を固める『MINA』の女優に、『妻への手紙』の女優、
そして忘れてならないのは天使のような病弱の少年。
体中を補強の鎧に包まれながら、少年とは思えない苦痛と慈愛を知っている。
この美しい少年、そしてカルロの声を演じたソプラノ歌手、彼女なしにはクラシックの美しい感動は得られない。
ファリネリは実在の人物?この中世の時代にこれだけ高尚な音楽が存在し、人々が楽しんでいたなんて
ロックンロール世代の私たちには到底想像しがたい世界。クラシック音楽とは一体何なんだろう!?
そこに命はおろか魂まで売り渡した音楽家、それを描き上げた映画を観る私たちのなんとも不可思議な感動!
フランスだろうか、広々とどこまでも続く5月の暖かな、自由な、草原のような丘々を
であてもなく駆けてゆく姿を追うカメラワークが素晴らしい。
「お前に与えられなかった平凡な生活を返そう」


『Life on the Ege』(1989)
監督:トム・バーマン 出演:ジュリエット・ルイス ほか
今までかつてこんなに下品で不潔で汚い映画があったろうか 前頁作品との2本立ては、キョーレツなチョイス。
この監督、今作が初作らしく『キャプテンE.O』てのを撮ってヒットしたらしいけど、
どうにも食後には決してオススメできない。今やアイドルスターのルイスが出演しているのにはビックリ!
とってもunusualだけど、これが私たちのいう進化した文明社会をデフォルメしてるって意見を否定はできないから怖い・・・
オーブンで背中を焼かれて、顔もドロドロのフレディみたくなって、ナイフを刺されても死なないオヤジはスゴイ(こんな役楽しい?!
「暴力で解決しない。何事にもタイミングが肝心だ」と教えも受け、ちゃんと昇進したお父さん。
妙なほど戦時中のアメリカの理想的な家族の図を守り抜いている根性がエライ。


『キートンのエキストラ』(1930)

監督:エドワード・セジウィック 出演:バスター・キートン、アニタ・ペイジ ほか
キートンが喋った歌った踊ったなんという驚き。ミュージカル映画で一世を風靡したMGMの力はスゴイ。
バスターがMGMと契約を交わし、初めて出演したトーキー映画。
とにかく当時はフィルムから音が出るだけで大喝采の時代。出る人、出る人、みんな歌って踊らなきゃならなかった。
サイレントの王様もさぞかし困惑・混乱・工夫して苦労したに違いない。

美しい踊り娘にバスターが歌と踊りを教えるシーン♪Free and Easy は注目。
同じステップの繰り返しながら結構さまになってる。
サイレント時代の作品にあったシュールさはないのが寂しいけど、最初の緊張感の中では上手くやってるって感じかな。
ドタバタのスラップスティックも残して、トーキーとなるとドラマ性が強くなるし、言葉で笑わせなきゃならない。
何か面白いことを言わせなきゃって力みがある。野太く渋い声はバスターらしいとしても、
やっぱり、放り出された後みたいな表情と仕草のはかなくコミカルな美しさはサイレントに生きてるって思っちゃうのはファンの僻みか。


『クール・ランニング』(1993)

監督:ジョン・タートルトーブ 出演:リオン、ダグ・E・ダグ ほか
やっぱりジャケットのうたい文句より観た人の評判のほうが信用できる。知人のオススメ。
新作の時から気にはなってたけど、今回が初見。W.ディズニー製作。
ノリノリのレゲエに乗って、常夏のジャマイカンムードを満喫
でも彼らが活躍するのは氷点下25℃のカナダ、カルガリー冬季オリンピック
実際にボブスレーに出場したジャマイカチームの実話に基づいて撮った作品だってゆうからさらにビックリ。
ブラックムーヴィブームが高まる中、こんなに楽しくて泣ける、感動のコメディ映画がいっぱいできればいいね。


『ブルックリン横丁』(1945)
原作:ベティ・スミス 監督:エリア・カザン
出演:ドロシー・マクガイヤー、ジェイムズ・ダン ほか
長編小説を1冊読み終えた感じ。『若草物語』や『にんじん』みたいな家族のあったかさを思い出させてくれるような
バイオレンスに性描写が日増しに過熱しているハリウッド映画に慣れて荒んだ感情を柔らかく解きほぐして心が洗われる逸品。
原作も読みたい。50年も前のモノクロながら、訴えかけてくる映像と美しいメッセージは決して色褪せることはない。

デートを申し込まれたフランシーが弟に「私キレイ?」「まあまあだよ」「優しいのね」「よせよ気味悪い」なんて何気ない会話もイイ。
「何かにさよならを告げたみたいで寂しい気がする」
いろんな思い出をいっぱい作って、厳しい現実と向き合いながら大人になっていくことを楽しいと感じられるなら素敵だよね。

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notes and movies(1995.12~ part4)

2013-06-08 12:39:06 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part3からのつづきで、ベージュ色のノートのラスト。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『キャスパー』(1995)
監督:ブラッド・シルバーリング 出演:クリスティーナ・リッチ、ビル・プルマン、エリック・アイドル ほか
話題のS.スピルバーグ製作総指揮作品。にしてはストーリー構成の弱い腑抜けた感じがあるけど、子ども向けにはgood。
褒めるべきはキャストとCGのオバケと特撮だね。変幻自在、透明にもなるし、物質の通り抜けもOK。
そんなオバケたちの表情豊かなディズニー風の動きが見物。
キャストの中には、C.イーストウッドや、メル・ギブソンが突然現れたり、
ゴースト・バスターズの格好でD.エンクロイドがちょい役で出たりの大サービス。
でも!なんといってもわれらがE.アイドルが'95も元気に楽しく映画で演じているのがファンには泣くほど嬉しい
ディズニー系でJ.クリーズも出てるし、お互い負けられないよね、俳優としても。


『ネル』(1994)

監督:マイケル・アプテッド 出演:ジョディ・フォスター、リーアム・ニーソン ほか
ジョディが舞台を観て惚れ込み、自ら製作にも初挑戦、主演して、オスカーにノミネートされた力の入った1作
1作毎に違った魅力を出して意欲的な彼女が、今作では製作者としても大きなステップを踏んだと言える。
「野生少年」の話は実話でトリュフォーも映画化しているが、マスコミで世界に知られ、研究された結果、
成果は得られないまま死亡してしまったらしい。

日増しに電化製品によって高速に便利になってゆく世の中に、現代人の心は自然回帰を求めていることを鋭く見抜いたテーマ。
ロケ地はどこだろう? こんなに自然が美しいこと、そして多様な情報を伝えるメディアがこれほど残酷になり得ることを忘れていた。
ジョディのどこまでもピュアな演技の美しさはいつまでも心に残るだろう。
「ネルはネル。小さな世界にいるけどひとり。誰の助けも要らない」
「ひとりだけの生活、どう思う? 狂ってしまうかい?」
「人生は々円をたどっているようなものね。他人と距離を置いて、傷つかないかわりに寂しいわ」
子守唄のようなネルの言葉が耳に残る。


『ジャングル・ブック』(1994)
監督・脚本:スティーブン・ソマーズ 出演:ジェイソン・スコット・リー、リナ・ハーディ、ジョン・クリーズ ほか
こちらも自然回帰と保護を訴える子ども向け映画だけど、こーゆーのを観て育った世代には
コンピュータもイイけど、動物や緑をいたわる心も育んでいってもらいたいもの。
ディズニーにも同作アニメがあって、もとは少年少女向けの冒険物語らしいけど、
野性味あふれるリーを起用して、ターザンの現代版みたいなロマンス、カルチャーギャップ、
そしてかつてインドを占領していた英国軍の歴史も見逃せない。
そして!J.クリーズがアイドル同様、ますます元気に演技とボケをかましてくれてるのがサイコー

「僕は人間でも動物でもない。人のルールは意味もなく殺すことだ」
決闘を観戦する表情豊かな猿の撮影をはじめ、芸をするオラウータンやクマ、ゾウなどの
動物シーンは大変苦労がいるだろうけど、かえって悲しい思いがした。


『イン・ザ・スープ』(1992)
監督:アレキサンダー・ロックウェル 出演:スティーヴ・ブシューミ、シーモア・カッセル ほか
いつか隣りのマドンナを天使として出演させる映画を撮りたい。構想と脚本はあるが金がない。
「大切なのは絆、信頼だ、いいロマンス映画をつくれよ」
こんな突拍子もない事が本当にロックウェルの身に起こったのかしら?
としたら今作は彼の映画作り最初の意気込み、序章であり、先ごろ話題を呼んだ『FOUR ROOMS』他、これからが楽しみ。
彼が言うところのルノワールの絵画みたいな映像というのが所々モノクロになったり、色が褪せた感じがまたイイ。
どう見ても異国っぽい雰囲気のブシューミ、カッセル、ジェニファ・ビールス(彼女が好んで出演するアートフィルムは好き)が適材適所。
「違った、新しい映画がとりたい」新鋭の一風変わったイマジネーションの世界を観てほしい。


『終電車』(1980)
監督:フランソワ・トリュフォー 出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジェラール・ドパルデュー ほか
「1942年9月パリ。仏は独に2年もの間、占領下にあり、占領区と非占領区が南北に分かれていた。
 占領区は11時以降外出禁止でパリ市民は終電車を逃すと大変だった。
 人々は食糧を買うのに列を作り、寒さのため劇場に出掛けた・・・」

2大スターの共演による単なる三角関係のロマンスだけでなく、仏の歴史を舞台に、
劇場と芝居に魅せられた人間の情熱と、レジスタンスの若者の活動も描いている、2時間が長く感じられない作品。
ドヌーヴに「映画に帰れ」というセリフはキツイ。事実、映画向きだもんね


『巴里のアメリカ人』(1951)

監督:ヴィンセント・ミネリ 出演:ジーン・ケリー、レスリー・キャロン ほか
先日この世を去ったジーン・ケリーの最高傑作 これで栄華を誇ったMGMミュージカルを代表するダンスの名手である、
フレッド・アステアと2人共に天に召されてしまった。だが映画は永遠だ。
アステアの優雅で上品なステップと対照的な、ケリーのもろアメリカンって感じで、肉体派な躍動感溢れる
コミカルで、ディズニーアニメのような動きは、裸一貫から築き上げたキャリアという雰囲気。
力強さ、スピード、腕をダラリと下げてタップを踏む独特なスタイル、その完成された形が今作にある。

このストーリーを最初からダンスで物語ってゆくジェリーの17分にもおよぶ圧巻の空想シーン。
主に噴水を舞台にロートレックのカンカンのシーンが印象的。
色彩鮮やかにめまぐるしく変わる衣装とシーンの数々。ポスターにもあるノースリーブのドレスのリズと、
赤いチェックのジャケにカンカン帽のケリーのモダンバレイとダンスの融合が素晴らしい。
彼女を抱いて回っているうちに花束に変わるシーンなどは哀愁に泣ける。
ラストまで一気にセリフは一切なし。サイレントに戻ったようなすべてダンス、ダンス、ダンス
そして静かに階段を降りてゆく美しいロングショットで締められる。
他にもたくさんの歌と楽しいダンスシーンが詰まっている。
名曲を無数につくって世界中に愛されているガーシュインという人物も興味深い。


『ミセス・ジュリーの不倫な関係』(1978)

監督:ハイ・エイヴァーバック 出演:シビル・シェパード、チャールズ・フランク ほか
とってもフシギだけど、シビルって人気モデルから女優になって、クールビューティを生かしたマドンナ役で
ぴったり合っているにも関わらず、とってもコメディも向いているんだな
『ワン・モア・タイム』や、大ヒットした『ブルームーン~』でも、
高嶺の花に留まらず、自分に正直で、恋愛にしても、いかにもハンサムな
浅黒く日に焼けたヤンキータイプはインチキ臭いってゆっちゃうような役だし。
実生活では双子のママで、バリバリのキャリアウーアン。本当に憧れる素敵な女性

なんだか安っぽいモーテルなのが気になるけど、浮気現場のメッカらしくて
ちょっとした騒ぎで皆いっせいに逃げ出すシーンは笑える。
ノーメイクでもつややかな肌、長い金髪、ライトグリーンの瞳、シビルの完璧な美しさを見ているだけで満足。
年齢を重ねても美しさは変わらず、もっとコミカルで多彩な作品に出演してほしい。


『イースター・パレード』(1948)

監督:チャールズ・ウォルターズ 出演:フレッド・アステアジュディ・ガーランド ほか
観た後は素晴らしく美しい夢から醒めた感じ。モノクロが主流だった、しかも戦後まもなくの今作に
触れた人々の驚きと感動はいかほどだったか想像できるようだ。
ダンスのキングとクイーン、アステア、ガーランド、アン・ミラーという豪華な顔ぶれ
とにかく目を見張る美しい衣装、セット、ダンスのコンビネーション。
主役の2人とももうこの世にいないのがフシギな気がする。
自由で豊かなアメリカを象徴するMGMミュージカルとスターたちは幻だったんだろうか?

最初J.ケリーを予定していたというエピソードは有名。
おもちゃ屋のくだり等、ケリーが演ったらどうなっていたかなどと想像するのも楽しいが、
リッチなスターダンサーという設定はアステア向き。どこまでも繊細で上品な動きの1つ1つ、
甘いマスクと歌声はまさにアステアだけのone & only な魅力

田舎から出てきたっていうジュディのコミカルな演技が初々しい。
♪雨の日は恋におちやすい って歌がgood。
顔を浅黒く塗ったアステアがスローモーションの特撮でモダンなダンスを披露するシーンには当時の観客はビックリしたろうね。
その上品な2人が歯を黒く塗って浮浪者になり♪大通りを歩いていこう と歌い踊るシーンも楽しい
いつもお客を逃しちゃうフランス料理店長のくだりもgood。

グラビア美人が勢ぞろいしたシーンも圧巻だが、アン・ミラーの白から赤のグラデーションのドレスと
色香があふれんばかりの魅力も見どころのひとつ。
子役のイメージが強く、ギャップに苦しんだというジュディのプライベートと重なる部分もあって感慨深い。
彼女の感情豊かな歌声と魅力は永遠にスクリーンと人々の心の中に生き続けるに違いない。


『ファニー・ボーン』(1994)
監督:ピーター・チェルサム 出演:オリバー・ブラット ほか
フシギな映画。
詰まるところストーリーは単純かもしれないけど、いろんな要素が予想もつかないところに割り込んできては消えてゆく。
つまり、人を笑わせることって難しくって、それを職業にしてるって皆命懸けてるんだよね。
喜劇王ジェリー・ルイスがどこに出ていたか分からなかったけど、たぶん芸を披露している出演者は全員現役。
兄弟のエキセントリックな芸はもっともっと見てみたいし、特にトム・ウェイツにソックリなジャック役の
「ラジオ」って芸は本物で、可笑しい。彼の狂気と天才芸で2時間引っ張ってる感じ。
ブルース系の音楽の使い方もイケル

死体置き場から死体を盗んでマジで遊んでる感覚が怖い。そこまでやらなきゃダメなのかって感じ。
「本当に醜く、痛みを伴わなければ笑いはとれないと知ってしまった」
ベガスのネオンにグルーチョの顔も見えるから、きっとスラップスティックの大ファンなんだろうね、監督は。
♪英国人は昼間愛してくれない なんてドギツイ歌もあり、オバケ屋敷で死体とピッタリ治まっている兄弟に
ギャーと怖がるシーン、独特の間のとり方で今までになかったタイプ。
「コメディアンには体で笑わせる者と、ジョークで笑わせる者がいる」


『エド・ウッド』(1994)
監督:ティム・バートン 出演:ジョニー・デップ、マーティン・ランドー ほか
R.コーマン、A.ウォーホルほかB級映画監督は数多けれど、これを観るかぎり彼の作品はスゴそうだ。
これだけ多種多様の娯楽大作があふれている中で、こうして伝記映画や伝記小説がヒットして、
リバイバル・ビデオまで出て注目されているのにはワケがありそう。
それだけ現代の若者にマニアックなものに対する興味と余裕があるってことなのかな。
ノリノリのジョニデが一皮むけた軽く爽やか演技なのに対して、
オスカーをとったらしいランドーのベテランの重みが見どころ。

E.ウッドそのものより、この2人の年齢を超えて映画を愛する友情物語。
全篇モノクロでハリウッドの看板からズゥーーーっと街並みへカメラを引くあたりも凝ってて
往年の恐怖映画の興奮が感じられる。でも結局'78に54歳で亡くなったのね。
今頃有名になってもちょっと遅いけど、1本くらいは実際の作品を観てみたい気もする。
このチャチさで世界に通用するって信じてたってことのほうがスゴイかもしれない。
4日間の撮影で撮り直しもなく「Perfect」て言い切っちゃうんだもの。


『裸の銃を持つ男』(1988)

監督:デビッド・ザッカー 出演:レスリー・ニールセン ほか
大人気シリーズとなったコメディ第1弾。現在も着々と続編が撮られていて、
久々スッコーンと抜けたナンセンスパロディって感じ
とにかく理屈なんか要らない、面白けりゃイイじゃんって根性がイイ。
しかし、今裁判真っ最中のO.J.シンプソンが思いっきりマヌケな演技していてビックリ。
ところでnaked gun てどんな意味なんだろね?


『裸のガンを持つ男21/2』(1991)
監督・脚本:デビッド・ザッカー 出演:レスリー・ニールセン、プリシラ・プレスリー、ジョージ・ケネディ ほか
こちらが同スタッフで撮り上げた第2弾。1作目のパロまで丁寧に入れてもらっちゃって・・・
どことなくP.セラーズのPPほか数々のギャグと同じ香り。こうしてコメディも代々受け継がれてゆくんだな。
「セリフ一行の出演者たち」「スタッフお気に入りのエキストラ」の紹介まである芸の細かさ
フウ・・・1本にこれだけギャグを詰め込むのも大変だろうね。

(ギャグを全部メモったのか?ってほど記録してる自分にも感心してしまったw


『読書する女』(1988)

原作:レイモン・ジャン 監督:ミシェル・ドビル
出演:ミュウミュウ、マリア・カザレス、パトリック・シェネ ほか
さすが芸術の都フランスの作品、奥が深い。単純明快なストーリー重視の映画に慣れてると
斬新な構成と感覚に映画の本当の素晴らしさを改めてしみじみ思い出させてくれる。
映画も読書も恋愛も人の心を大きく豊かに育ててくれるものなのね。

「戦争と平和」や、なんて題だったか、ヒロインが暗誦した著書は面白い。
「なぜ職業にしたのか?」「人と話すため。好きな言葉を分かち合いたいから」
とっても私的で描写的だけど奥深い仕事だ。
仏映のセリフは時に難解なパズルみたいで好意なのか悪意なのかまるで分からない。

盲目の友人に読んだ本はまたこよない美しさ。
「僕は歩けるが海の美しさが見えない。僕は見えるが海にいけない。2人は初めて理解し合い暗い海に入っていった」
「私は朗読家になる。世の中には本を読めない人がたくさんいるもの」
たった1.5時間の中に素晴らしい書物への愛情があふれている
書物の多くは人と人との愛情について書かれたものだった。


追。
1995.12.5 パソナに登録したって書いてあって、初仕事の様子も書いてあった。
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Dream Power 2012 ジョン・レノン・スーパー・ライヴ

2013-06-08 11:56:58 | 音楽&ライブ
Dream Power 2012 ジョン・レノン・スーパー・ライヴ

“昨年12月8日のジョン・レノンの命日に日本武道館で行われた。
 世界の子どもたちに学校を贈るチャリティ・コンサート。
 オノ・ヨーコの提案で2001年から始まり、
 これまでに世界28カ国・117校の学校建設を支援した。”


ずっと気になっていたイベントではあったけど、
去年の年末に地上放送でOAされて予録したのを、やっと初めて見てみた。

ジョンのオープニング映像と、日本語メッセージから始まって、

1.ROY(THE BAWDIES)×NAOKI(LOVE PSYCHEDELICO) ♪Dissy Miss Lissy

2.杏 ♪I want to hold your hand 女優さんだと思ってたら歌手活動もしてるんだ/驚
  透き通った声でソフト&スローなアレンジ

3.藤巻亮太 ♪Stand by me レミの 分からなかった!ヘアスタイルのせいか?
  2012年からバンドは活動休止中なんだ

4.LOVE PSYCHEDELICO ♪Kiss Kiss Kiss おお!ヨーコの歌できたか/嬉 英語の発音がキレイ。

5.松下奈緒 ♪LOVE 「ゲゲゲの女房」で知った彼女の演奏は初見。

6.THE HUMAN BEATS(キヨサク(MONGOL800)、Mummy-D(RHYMESTER)、箭内道彦、亀田誠治) ♪Nowhere Man
  ラップまで入ってかっちょイイ

7.絢香 ♪Don't let me down ロック魂を感じた

8.吉井和哉 ♪Working Class Hero をなんとアコギ、「ジョン・レノンについてゆけよ」て和訳で!
  D.ボウイのカバーが好きだけどね→♪Working Class Hero/Tin Machine

9.flumpool ♪Revolution 初見のバンド。若くて実力派。

10.斉藤和義 ♪Imagine キヨシローさんverの和訳で。ヨーキンさんがこないだしきりに羨んでいたポジションの人
  私はなぜかいつも中村一義さんと混同してしまうんだけど

11.宮田和弥(JUN SKY WALKER(S))×奥田民生 ♪Come Together 常連のタミーは直球の曲できたか。
 

12.ショーン オノ レノン ♪Yer Blues この曲、ブルーズィで大好き。

「僕はアメリカで生まれましたが、心はいつも日本人の気持ちです」って嬉しいね。

ラストはヨーコも参加して、みんなで♪Power to the People を合唱!

 


楽屋にはけてきたヨーコの第一声は、
「大丈夫だった? 1回目の時はミュージシャンもあんまし上手じゃなくて、どうなるんだろうって思ったけど、
 外国の方もすごい!って感激してくれて、最近はみんながジョンの歌を上手に歌ってくれてるからとっても感激してます。
 世界平和を私たち自分の力で成し遂げましょう」

早口で澱みなく喋る感じが、若い頃のフィルムで観た姿とまったく変わってなくて、
歯に衣を着せずに、素直な感情をストレートに発言するロック魂も変わってない

実際、こうして、世界中によく知られた曲をカバーするって難しいよね
追悼ライブってゆうことで、不必要なほどアレンジしてもしらけるだろうし。

ヨーコは、このイベントにポールらをわざわざ呼んだりしないのは、
あくまで日本人アーティストによる、日本発信の活動だからだとゆっていた記憶がある。なるほど。


【ヨーコのインタビュー】


Q:平和な世界を実現するためには?
A:想像することからなんでも始まる。意外と簡単なことなんです。

ツイッタでも日々、彼女の発言にはいちいち刺激をもらっている。やっぱすごい人だな

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イラスト版 健康ライブラリー『精神科・心療内科の上手なかかり方がわかる本』(講談社)

2013-06-08 11:14:39 | 
イラスト版 健康ライブラリー『精神科・心療内科の上手なかかり方がわかる本』(講談社)
渡辺登/監修

とても分かり易くて気に入っている「イラスト版 健康ライブラリー」シリーズ。
今回は、病院にいつかかるか、どこに行けばいいか、各科の特徴と違い、治療内容などなど、
内科・外科と違って、まだまだ分からないことが多いココロの病になった場合、まず読みたかった1冊。

とはいっても、病にかかってる本人は症状がしんどくなってから気づくものだし、
まだまだ「精神科」という名前だけでタブー視されている現状もあるから、なおさら最初の一歩が難しい。

今さらながら読むと、最初は自分も分からずに、いろんな機関や人に問い合わせたものだなあとか、
実際に治療に入ってからも、疑問を持つことが多くて、主治医と衝突したりしてたなあとか思い出す。
今だってまだまだ分からないことだらけだけれども、こうした本を読むことで、また頭の中が少し整理された気がした。
それにしても、病院の時間帯や、設備、立地状況などの都合に病人が合わせている現状など疑問も多い

【内容抜粋メモ】

現在(2011年)、ココロの病で治療を受けている人は320万人を超えている。
平成8~20年までで約2.4倍に増加。日本だけでなく、他の先進国にも共通。
背景には、産業社会から情報社会への変化、成果主義の導入、雇用の不安定、対人関係の希薄化など。
受診に抵抗がある人、自覚がない人など潜在的な患者を含めると200万人を超える。
WHOによれば、うつは今後も増加し、2030年には最も多くの経済的損失をもたらす疾患になると予測されている。

患者が寝椅子に横たわり、真情を吐露する方法「自由連想法」は今は行われていない。
(私のイメージはまさにコレだった!映画や海外ドラマの影響だな

通院の事実、治療内容は「守秘義務」によって職場や家族にさえ本人の承諾なしに漏れることはない。

●治療を受けるタイミング
「心理的苦痛を感じた」「心身を消耗して生活に支障をきたした」「周囲を悩ませてしまった」等が医師の助けが必要となるタイミング。
食欲・睡眠欲は、人が生きる上で欠かせない生理的欲求。1ヶ月で5%の体重増減、月経不順などもめやすの1つ。
気分の落ち込みは誰にでもあるが、それが2週間以上続いた時
動悸・めまいなど自律神経に乱れが出た時。


●相談できる窓口はいろいろある
精神科ソーシャルワーカー、作業療法士、臨床心理士、看護師、医師、保健師、精神保健福祉相談員、ソーシャルワーカーなど。
・保健師:専門医の紹介など情報提供が主な仕事(最初は定期的に相談可能な人かと思ってた
・臨床心理士の資格を持つ医師もいるが人数は少ない。

医師が治療の司令塔で、その他が生活上の問題解決も含め「チーム医療」する。
(まだまだチームってほど連携してる感じじゃないなぁ・・・

「リエゾン医療」
心身とも損なった場合、身体診療科+精神科が協力して患者を全人的に診療する。
アメリカでは50年以上の歴史があり、日本でも近年取り組まれている。

●夜間受付もある
総合病院、大学病院、クリニックでは、受付時間が異なるので、自分の生活スタイルに合わせて選択することが重要。

●救急もある
夜中に発症、強い症状に襲われた時、自傷行為、他人への暴力の危険がある場合など。


●治療費は?
「通院精神療法」
通院精神療法の医療費は、5分以上、30分以上で診療報酬が上がる仕組み(そーなの?!驚
一般的には初診は30分以上枠、再診は5分以上枠に入る。

20歳未満なら、初診から1年以内に実施するたび2000円が加算される?(この辺はよく分からん???
初診が5000円、再診が4000円て書いてあるけど、そんなにとられたっけ???

「特定療養制度」
200床以上の病院では、紹介状がないと別途負担金を支払う。
その他は同じ診療行為ならどこでも費用は同じ。

自由診療は10割負担。初めての入院時は、約30万円/月(保険適用)。食費は全額自己負担で2~5万円。


●治療期間のめやす
だいたい週1回のペースで開始。病状で変わる。
薬の効果が現れるまで1~2週間かかるものもある。
パニック障害は3~6ヶ月の薬物療法+行動療法、症状が消えてからも1~2年続ける。
いずれも段階的に薬を減らす「再発防止」の期間が必要だからじっくり腰を据えた治療と考える。

●入院について
精神科への入院は、本人の同意が必要「任意入院」
医師が判断して本人が拒否しても保護者の同意を得て入院させる場合もある「医療保護入院」
入院は命の危険がある場合の緊急対応。入院が長期化すると社会復帰が遅れる危険性がある。余裕が出たら通院に切り替える。


●病院の選び方
肩書き、知名度、経験の多さより、通いやすい距離や診療時間、波長の合う医師がいることを重視する。

スタッフの数、ベッド数で呼称が決められている。
総合病院:体の病気もある時。精神科の常勤医がいない場合がある。精神科のベッドは少数。
大学病院:専門医が多い。得意分野が違う。
精神科病院:医師の総数は多くない。入院してじっくり治す。社会復帰支援を受けやすい。
クリニック:ベッド数が19以下。夜間・土日診療があって通いやすい。

●科のいろいろ
日本の医療制度では何科でも標榜できるので、受診に抵抗の少ない名前にする場合も多い。
意外にも、心療内科の7~8割は精神科医が治療している(別に不定愁訴は診てくれないけどなぁ

精神科:軽症の心身症・うつ。
心療内科:軽症の心身症・うつ。体調不良が気になる時。
メンタルクリニック:精神科への抵抗感をやわらげる名前にした。
神経内科・脳神経外科・内科:認知症、腫瘍、脳梗塞など、神経の病気がある場合。


カウンセリング
ココロの奥底に潜む葛藤や悩みをじっくり話したい場合。
1回1時間程度で、料金は5000円~1万円。程度により数回で済む人から10年以上通う人もいる。

●専門とする病気などでチェック
薬で治したいか、話をして治したいか考える。

【治療方針】
認知行動療法
・電気けいれん療法
・職場復帰支援プログラム

【専門外来】
・女性外来:思春期、更年期、老年期まで女性の心身の揺らぎに対応。女性スタッフも多い。
・もの忘れ外来
・摂食障害外来
・発達障害外来
・アルコール外来
・ストレスケア病棟:日常的なストレスから解放されて、ゆっくり療養できる病棟!


●医師で選ぶ
医師
精神科医:医師免許があれば誰でも志せる。
精神保健指定医:精神保健福祉法に基づく資格者。患者の行動制限の判断をする。隔離・身体拘束など。
精神科専門医:日本精神神経学会が認定。
心療内科専門医:日本内科学界認定内科医の資格者。
(この辺も素人にはよく分からん

●その他の関連機関
ココロの病は治療にある程度長い期間が必要で、一進一退を繰り返すため、通いやすさは重要なポイント。
症状が強くて家から出られない場合は、保健師の自宅訪問相談も可能。

見つからない時はこちらを利用可能
保健センター:保健師などがいる。数が多い。
保健所:地域の精神保健福祉活動をおこなう中心的な行政機関。
精神保健福祉センター:都道府県に1ヵ所程度。専門的な相談窓口。詳細な情報が知りたい時は電話で問い合わせる。

・かかりつけ医
・産業医:従業員の健康管理のために職場に配置。
・スクールカウンセラー:平成7年から配置されはじめた。不登校・いじめ問題などに対応。
・電話相談窓口
・EAP:従業員支援プログラム。企業の委託で外部の医師やカウンセラーが相談に応じる。
・各種NPO

人に隠しながら治療を続けるという引け目から解放されるだけでも大きなメリットがある。


●子どもの窓口
子どものうつも近年増加しているにも関わらず、「児童精神科」を標榜する医療機関は少ない。

・学校の保健室・相談室
・教育相談所
・小児科
・児童相談所
・保健所

から「児童精神科」につなげてもらう。


●受診前の準備
・無理のない範囲で症状の経過をまとめておくと言い忘れを防げる
・家族が同行する場合は、話したいことがあっても患者の後ろで一歩ひいて話す。
 一般に先に本人だけ受け、その後、本人の同意があれば家族が加わる。
・精神科の診察は、患者を「全人的にとらえる」ことが基本。

初診は40分くらい
研修医・臨床心理士が担当。症状を知ること以外にも、医師と患者の信頼関係を結ぶことが重要。
診察の中心は問診。最初に用紙にあらましを書くところも多い。
再診以降は、薬の効果や症状の変化が話題の中心となり、5~10分が普通(これが短いと思うなあ・・・


●話すこと
辛さや不安の感じ方は人によって違うため、他人と比較しても意味はないので、「以前の元気な時の自分との変化」を話す。

・「主訴」いちばん気になる症状「眠れない」などを話す。
・受診の動機、医師に望むこと、発病の原因を自分なりにどう思うかなども話すとよい。

●体の不調も訴える
ココロの病が体の不調として現れる:自律神経症状:うつ、無気力など
体の機能がうまく働かず、ココロの不調を招く:疲労感、頭痛など

→脈拍など全身をチェック、脳の画像診断、甲状腺ホルモンの低下、心電図、血液検査なども行う。


●医師から質問されること
患者は筋が通っていると思い込んでいても、医師が「腑に落ちない」と疑問を抱いた時に質問が投げかけられる。
それに答えることで患者自身が隠れていた問題点に気づき、「期待に応えようと頑張りすぎた」など自己理解を深める。
遺伝による「なりやすさ」の素質+その後、本人が負担と感じる刺激にさらされ続けることで発病に結びつくという説。

・生育歴、家族関係、生活、職業歴、性格など
・犯人探しではなく、全体像の把握が主要目的。
・親の育て方が原因のすべてではない。
・本当の契機は、いくつもの要因が複雑に絡み合っている。

→薬物治療、休養、家族療法などを医師が提案する。


●診断について
精神科にも「インフォームド・コンセント」が導入され、告知されるようになった。
診断には、WHOによるICDや、アメリカ精神医学会によるDSMが基準となる。
注意:初診時の診断はとりあえずくだす仮説で確定ではない。その後の経過で病名が変わることもある。

短い診療時間でも、得られた体験の「満足度・安心感」が重要
診察への満足度が低ければ、次回の診察で疑問や希望を伝える。
どうしても波長が合わない場合は病院を移ることも考える。


●治療の流れ
患者1人1人に個別の治療プランが立てられる。医師に寄り添われ、生き方に無理があったことに気づく。
うつの場合、基本は休養。ぐっすり眠れるようになることが成功のめやす
治療目的は、心身の鎮静、休息の後、患者本人が本来もつ力で社会生活が営めるように足ならしすることにある。
症状の一進一退に一喜一憂せず、腰をすえて治療する。

薬物療法
副作用は飲み始めがいちばん強く、次第に軽くなる傾向。
不快な副作用も含めて、患者からの情報提供が大事。
自己判断で服薬をやめず、不安を率直に伝える。
注意:服薬をやめる→「離脱症状」が出る→治療期間が長引いたり、悪化を招く要因に。

●薬の種類
抗不安薬:量を守る。長く常用すると依存性がある
睡眠薬:量を守る。長く常用すると依存性がある。突然やめると不眠が強くなる「反跳性不眠」
抗精神病薬
抗うつ薬
・その他

・ある特定の病気だけでなく、ほかの不安障害にも用いられる。
・「半減期が長い薬」:長時間、体内にとどまる。
・「半減期が短い薬」:すぐに効いて短時間で代謝される。
 慢性的な不安には「半減期が長い薬」、時々不安になる場合は「半減期が短い薬」を使う。


精神療法
「薬物療法」は症状の改善に有効だが病の要因を取り除くことは出来ない。
逆に、軽症でなければ、「精神療法」だけで改善させるのは難しく、治療に時間がかかる。
自分がいま抱えている葛藤に気づき、自分の能力をのびやかに発揮できる生き方へ、思考や行動を変える。
「苦しみには苦しむ理由があった」と、つまづきを成長に結びつけようとする意欲が必要

「精神療法」は、ただの会話ではなく、患者のココロの成長を支える治療法。
医師は「受容し、支持する」という作業を診察で繰り返し行っている。

言語的・非言語的コミュニケーションを使って展開する。
・支持法:元気付けなど
・洞察法:屈折した行動パターンなどに気づき、不合理を改善
・訓練法:物事の捉え方・くせに気づく。
・表現法:不満・恨み・恐怖など感情を自由に表現することで、ココロの緊張をとりのぞく


●精神療法の種類
認知行動療法、集団精神療法、森田療法、芸術療法、家族療法など。
実施している医療機関が限られるものもある。
注意:医師が行う場合のみ保険診療となる。臨床心理士には認められない。

カウンセリング
精神療法は、症状を精神的な「障害」ととらえ、医学的に診療する。
人がそれぞれもつ「独自性・成長する可能性」を伸ばせるよう援助する→自分への理解・受容が深まる。
注意:「暗転」:自分の欠点に気づくと症状が強まることもあるがカウンセリングの過程で生じることで悪化ではない。


職場復帰支援プログラム
心身が軽くなり、「退屈感」を覚えたら、足ならしをはじめる。
仕事と治療を両立させた人より、休養と治療に専念した人のほうが回復は早くて確実。
週2~5日のペースで3~4ヶ月ほど通う。

・リハビリ:SST(社会技能訓練)、作業療法など
・デイケア、ナイトケア

希死念慮
「消えてしまいたい」「生きるのに疲れた」などは、うつ初期段階のSOS。
自殺の危険が強いのは、うつ初期と回復期。
日記や私物(写真など)を整理する行為にも気をつける。

治療の効果をチェックするテストでは17点で「治療の効果が出始めている。経過を見守る」という結果だった。

セカンドオピニオン
不安や疑問は率直に主治医、スタッフ、看護師らに伝える。
それでも納得出来なければ、ほかの医師の助言を求める。
その際には、主治医の紹介状が必要。保険診療で1通1500円。

●日常生活の注意点
心身が疲れきっているのに、さらに頑張って、達成感でストレスを発散しようとしてココロの病になる人は少なくない。
まずは自分の疲れを自覚すること。

・ひとりで背負いすぎない
・医師に相談
・負担を少しずつ手放す
・思いきって休養する


●使える制度はすべて使って肩の荷をおろす
「これ以上、職場に迷惑をかけられない」などの「義務感・責任感」ではなく、活力がわき、退屈感が出てきたら復職を考える。

傷病手当金
フレックスタイム:残業は避ける。時短勤務・在宅勤務・リハビリ出勤など。
家事を家族に頼る
家事援助サービス
介護サービス
訪問医療、訪問看護:訪問看護は保険診療の対象で、自立支援医療ならより負担軽減。

自立支援医療
精神行会社保健福祉手帳
精神障害者障害年金
生活保護

制度はすべて自分から申請しないと受けられない「請求主義」。(病院などで案内ぐらいして欲しいよね
判断の根拠は、病名ではなく、社会生活の制約や持続期間から判断される。


診断書について

診断名や経過を厳密に書くわけではなく、患者と相談の上、不利益とならないよう書いてくれる。
「安静に要する期間」はあくまで目安。その都度、書き直してもらえる。
注意:職場に出す場合、制度の申請に必要な場合など、目的や提出先によって項目や内容が変わるので、
主治医に目的と提出先をはっきりと伝える。


自助グループ
最大のメリットは「ピアカウンセリング(共通の悩みをもつ者同士が相談・問題解決すること)」
同じ病気を抱える患者さん、支える家族の悩みなどを話し合い、支え合う。
同じ病気の患者さんの話を聞くと気持ちがかえって辛くなるという人は無理して参加しない。

●家族の対応
本人と家族の間には、病に対する認識にへだたりがある。
無理になにかさせようとしたり、干渉するのではなく、活動エネルギーが高まるまでじっくり待つ。

安易な元気づけはしない
気分転換に連れ出そう、質問攻めは、家族が世話をすることで安心したいという「おためごかし」←この言葉初聞き
「もっと前向きに」など指導、説教をしない。

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