メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1996.5~ part1)

2013-06-25 14:07:19 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
今回は薄いベージュ色のノートからご紹介。

  

photo1:出ました『キングダム』シリーズ。本家ですv
photo2:けっこう美術館も行ったみたい。
photo3:伊豆高原にある日本唯一の「ねこの博物館」にも行ってきた
(なんか増えてる!「まぼろし博覧会」「怪しい少年少女博物館」


若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『THE KINGDOM 第1章』(1995)

監督:ラース・フォン・トリアー 出演:エルンスト・フーゴ・イエアゴー ほか
期待の新作。“『ツインピークス』のヨーロッパ版”と言われたら黙っちゃおれない。
デンマーク作品ってのは他にあまり観たことないから国の情勢やらも全然分からんけど、こんな番組が流行るなんてあなどれない。
病院業界に不信感が強いのか、それとも単なるサスペンスなのか、ブラックコメディ部門には入らないと思うが。
これからどう展開していくのかちょっと気になってきたけど、終始セピア色なのが独特の重ったるく湿っぽい雰囲気。
出てくる人物が皆生気がなくて妖しいし。


『THE KINGDOM 第2章』
1章より断然面白くなってきた。2巻で完結かと思いきや、まだまだ先があるらしい。次の発売の知らせはないけど。
お腹から男の頭が産まれるシーンは強烈
相変わらずうっとうしいくらいセピア色だけど、次の展開がとっても気になる。


『神経衰弱ぎりぎりの女たち』(1988)
監督:エドロ・アルモドバル 出演:カルメン・マウラ、フェルナンド・ギリェン ほか
『KIKA』から観て同じ監督の第2弾。初期作品で好評を呼んだ“女”がテーマで撮られたものらしい。
牛みたいな独特な顔をした女優が再び使われている。
今作にはイタリア美人がたくさん出ているわりに話の筋が散漫でよく分からん。


『ドライヴィング・ミス・デイジー』(1989)
監督:ブルース・ペレスフォード 出演:ジェシカ・タンディ、モーガン・フリーマン、ダン・エイクロイド ほか
当時とても話題作ですでに何回かテレビ放映もされ、評判も良かったけど、なぜか観る機会がなかったが、
イメージ通りやわらかな感動に包まれるハートウォーミングドラマ
時代設定が'40代後半から'70代激動の時代で人種差別問題がいまだ強い南部が舞台なのも興味深いし、
歳を重ねてゆくことを気難しい元教師のユダヤ女性と初老の黒人ドライバーのやりとりを通して淡々と伝わってくる。

もうすでにタンディもこの世にいないのは寂しいかぎりだが、80歳にしてオスカーをとって認められ、
バリバリ現役のうちに亡くなるのは俳優人生としては大往生だろうと思う。
いまや老人ホームていう便利で安全な施設があるため、自分の生まれ育った家を手放すという人もいるだろう。
思い出の記憶だけがココロのどこかに積み重ねられていくんだ。
貧しいユダヤの娘から、息子や夫らの成功で大金持ちの暮らしになったことを恥ずかしくさえ思っているデイジー。
偏見はないといっても私たちは必ずしもそうでないとは言い切れないんだ。


『ピーターズ・フレンズ』(1992)

監督・出演:ケネス・プラナー 出演:エマ・トンプソン ほか
シェイクスピア劇のリメイクに熱心かと思いきや、こんな等身大の男女を自然体で描いて
ホッと感動させることもできる監督兼俳優、マルチなプラナーの才能に感服
大学の仲間って小中高の友だちとはまた違った間柄なんだよね。
男女がケンカしあって恥を共有して、かつ人間的に理解されてる関係がとってもうらやましい。
HIV感染の話には意表だし、現代が反映している。

C.ローパー、B.スプリングスティーン等'80ヒットが私たちの世代の心を優しくくすぐる。
'70ほどは過激じゃなかったけど、これはこれなりに良かったかななんて思う。
30代って仕事もようやく安定してきて、家族を持って落ち着きたくなる微妙な年代なんだな。
変わった部分あり、変わらない部分もあり、でもやっぱりずっと通して語れる友達ってイイな。


『欲望の法則』(1986)
監督・脚本:ペドロ・アルモドヴァル 出演:エウセピオ・ポンセラ、カルメン・マウラ、アントニオ・バンデラス ほか
一貫して“女”をテーマに描き続けているというこの監督の初期注目作品は、もろ男、それもゲイを扱っているのが面白い。
『トーチング・トリロジー』にも通じる純愛、後半はサスペンスも盛り上がる。
なかなか人間関係をつかむまで複雑なんだけど、ティナが面倒をみている女の子の存在もイイ。
いつもゲイ映画に感心するのは俳優が皆ハマっちゃってること、これってけっこう難しいと思う。
これから性も選択できる時代にどんどんなっていくだろうし、愛し合っている姿は美しいもの。
「また同趣味の映画を観せたいと思います」ってラストの挨拶がイイね。


『オンリー・ユー』(1994)

監督:ノーマン・ジュイソン 出演:ロバート・ダウニーJr.、マリサ・トメイ ほか
永遠のロマンス映画『ローマの休日』のエピソードまで混ぜて情熱の国イタリアを舞台に
“運命”という常套手段をうまく使っている。
タイトル曲が最初に使われ(サッチモ)、コテコテのラブストーリーかと思いきや、
運命を追い掛け回して空回りするコギャル的なノリが笑える。

『チャーリー』で一回り大きくなったダウニーがロマンスものでひと息ついて
前の軽いフットワークでヒロインに恋慕する活きのいい奴を好演。
トメイの超モデルルックスで着る赤、白、黒のドレスと靴がキレイ。
イタリア人って本当に皆こんな親切なのか?
「アメリカ人は働くのが生き甲斐、イタリア人はシエスタに、食べ、遊び、恋をする」
そーか、親戚、友人との浮気でなきゃ思いやりがあるって考えなのね。開放的。


『今そこにある危機』(1994)
監督:フィリップ・ノイス 出演:ハリソン・フォード、ウィレム・デフォー ほか
同僚のオススメがなかったらきっとずっとタッチしなかったろう社会派ドラマ。『JFK』系。
オリバー・ストーン監督ならどう撮ったかな?「すっごい面白いよ!」て言うほどじゃなかった
スゴイといえば、こんな真正面から大統領が国家的陰謀に関わった悪い奴として描けること。
今の日本でも難しいだろうね。FBIやCIAていう大統領をも正す機関があるのはエライけど、
この巨大組織もXファイルを筆頭に暗部が暴かれ始めている。
本当の主人公はやっぱり国民で、裁くのはマスコミの力が最強だって結論かな。
銃撃戦を切り抜けて、ヘリに命からがら乗り込むアクション映画お得意のシーンは合成が見えてる。
大統領にたてつく激しいセリフのクライマックスはさすが戸田奈っちゃんオススメ。
あとは霧の中。これがまさにXファイルズ。


『黙秘』(1995)

原作:スティーブン・キング 監督:テイラー・ハックフォード
出演:キャシー・ベイツ、ジェニファー・ジェイソン・リー ほか
『ミザリー』で熱演したベイツにキングが惚れ込んで、彼女のために書き下ろしたという異色サスペンスの映画化。
久々に見せてくれたS.キングの濃密で極上のサスペンス。
キングが惚れただけあってベイツの存在感と、リーの演技力だけで2時間たっぷり見せてくれる。
殺ったか殺らないか?! 最低の旦那と、執拗な警官の悪の化身みたいな憎々しさがよりストーリーを盛り上げる。
キングは飲んだくれの下層労働者を描くのが好きだよね。
重大な問題である“子どもに対する父親の性的暴力”“妻への暴行”等は、目をそむけられない社会問題だ。
鏡に向かっているのに後姿が映るシーンは恐い。
ベイツが娘を想う不幸な母親役に徹し、メイクで20年前と後が全く違って見えるところがスゴイ。

コメント

notes and movies(1996.5~ part2)

2013-06-25 14:07:18 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part1からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ニードフル・シングス』(1993)
原作:スティーブン・キング 監督:フレイザー・C・ヘストン
出演:マックス・フォン・シドー ほか
こちらも同僚のオススメ。またもやS.キング。よくもまあ次から次へとこんなに面白い作品が生み出せるものだ。
今作は彼にしては珍しい宗教がらみの基本をおさえたホラー。
教会の十字架が雷で落ちてきた時は、てっきり『オーメン』みたく神父を串刺しにすると思った(シドーだけに
モダンホラーの天才もこれらのスタンダードにはドキドキして観ていたんだろうな。
大ベテランシドーの悪魔?がカッコイイ。舞台劇並みのスケールのある役者さんだけにこの役を楽しんでいる感じ。
でも悪魔でさえ自分で手を下せず、人から人へのほんのイタズラが拡大して結果的に大暴動になる。
日頃積み重なる憎しみって怖いね。コレクター心をくすぐるなんて本当に汚い。
ウィンドウから欲しい物ズバリが目に入っちゃって、記憶がビリビリっとよみがえるシーンなんかさすがキング作品。
「銃が人を殺すんじゃない。人が人を殺すんだ」
大統領暗殺からナチスにいたるまで関わってたらしいってゆう新聞の切り抜きからの推理は奇抜。


『フライド・グリーン・トマト』(1991)

監督:ジョン・アヴネット 出演:キャシー・ベイツ、ジェシカ・タンディ、メアリー・スチュワート・マスターソン ほか
とってもイイお話。殺人事件から始まって、最愛の人を亡くして結ばれた女2人の友情、
そして「エ」っていう結末まで、このストーリーの作者はスゴイ腕の持ち主。
'30代の黒人差別がキツかった南部と現代の舞台が絶妙に絡んで、私たちもスーっとおばあさんの物語に入ってゆく。
タンディの語りなしには語れない逸品。

カモのジョークを話すルースのシーンは泣ける。その間に変わってゆくエヴリンの様子も笑える。
「今まで鏡を見るたびイヤな女がいたけど変わったの」「一番大切なことを思い出したわ。それは友だちよ」
タンディとベイツのやりとりも楽しいし、2人のメアリーの演技も素晴らしい。
4人の女優がそれぞれの持ち味を最大限出して、タイプの違うキャラクターを印象付けている。
ビッグジョーほか黒人キャストも素晴らしく、私たちを一気に'30代の南部へとトリップさせる。
今と同じくらい問題はたくさん抱えていたけど時間がもっとゆったりと流れていた時代
タンディのセリフにある通り「思い出はいつまでも心の中にあり、あの人たちは記憶の中に住み続ける」
たとえ一生の終わりに手許に残ったものが数枚の写真だけだったとしても。


『ローレル&ハーディ傑作短編セレクション』
出演:スタン・ローレル、オリヴァ・ハーディ ほか
同僚に頼んで録画してもらったこの2本。ファンなら涙が出るほど嬉しい名選
この企画たてた人は目のつけどころが違うね。
無声映画が漫才コンビの吹き替えで品がなくなってるけど、まあ、これはこれで許すとしよう。

世紀の対決 The Buttle of the centry

かの有名なパイ投げ大混乱のシーンあり!これだったのかあ。
ボクシングシーンから始まって、町中へ。この突然のつなぎがスゴイ。
ローレルが若いねえ。104本も撮ってたなんて、やっぱこの2人は大人気コメディアンなんだ。

偽女房 My Wife
妻に逃げられて遺産をくれる叔父の前でスタンに女装させ(志茂田景樹ソックリ)ダンスパーティへ。
背中に宝石が入って、取ろうと奮闘する人が笑える。

山羊の失恋 The Angora Love
ペット屋で逃げたヤギがスタンに部屋までついてきて、下に恐い大家がいて、2人のドタバタで怒りまくる
眠る前に運動したり、臭うヤギを洗ったり、2人のマヌケぶりはどこかほのぼのしてる。


『バスター・キートン傑作短編セレクション』
出演:バスター・キートン ほか
これがまた観たいと夢にまで想ってた名作ぞろい バスターがノリまくってた'20代の初期作品。
自演自作のアイデア満載。次から次へと飛び出すアクションギャグをクールになんでもなくこなしちゃうのがキートン芸。
美しいストーンフェイスにシュールなギャグ。とにかくバスターの面白さがいっぱいの3作。

キートンのマイホーム

この作品も有名。結婚した2人が組み立て式のマイホームを建てていると、
恋敵が番号を書き換えたから、なんともシュールな家が完成。忍者屋敷みたいなカラクリが楽しい。
台風でグルグル回ったり、列車が通過してホッとする間もなく反対車線の列車に潰されてしまう
「売家」に説明書を付けてあっさり立ち去るラスト。

キートンの警官騒動
これもずっと観たかった1作。キートンが金持ちの財布を失敬して引越し中の荷物を買ったと騙されて馬車で運び、
警官パレードに紛れ込み、テロに間違われ、追われ追われ追われ追われてハシゴのシーソーもスゴイ。
ラストはフラレて警視庁に自首しちゃう。最初、檻の中と思わせる門のシーンも凝った1カット。

キートンの鍛冶屋
吹き替えのイッセー尾形さんもキートンのファンなんだ。邪魔にならないよう気を遣った控えめ弁士ぶりはイイ。
主人が暴行罪で捕まり、1人で店をきりもりするバスター。
白馬を黒い手形で汚し、尻ズレにはスプリング馬具、高級車もボロボロにしてまたまた追いかけられる。
ヒロインと出会って、突然駆け落ちしちゃう展開の早さ。乗った列車が脱線したと思いきや、
落ち着いたスイートホームのおもちゃで、茶目っ気たっぷりの表情でジ・エンドの幕。
キートンのクルクル回る体と変わる表情がとってもキュートで芸術の極み。

次回の放送は、な・なんと我らがモンティ・パイソン いやあ、ほんと、この企画の人、尊敬しちゃう!
これをキッカケにまたリバイバルしてほしいな。彼らの魅力で日本の笑いをノックアウト。
カルチャーギャップをも食らうほどのショッキングなグループなんだから。


『チャイナ・ムーン』(1991)

監督:ジョン・ベイリー 出演:マデリーン・ストウ、エド・ハリスチャールズ・ダンス ほか
久々舞台から映画に戻ってきたダンスを観ようと想ったら、ルックスは今でも美しいけどいい見どころのない
いまだに不倫するだけの男で殺されちゃうのが悲しい。
一方『アポロ13』等で登り調子のエドが鉄骨みたいな額の骨格も鋭く、
自分で自分の事件を捜査するハメになるデキる刑事役を見せている。
ストウの陶器のような美しさが満月の湖に映えるシーンは妖しいほど美しい。
タイトルは犯罪が倍増すると言われる“血の満月”のこと。
やっぱり完全犯罪なんてムリなんだよ。
ヤモメで美女にひっかかったばっかりにドツボにハマっちゃう主人公が悲しい。


『ハワーズ・エンド』(1992)
監督:ジェイムズ・アイヴォリー 出演:アンソニー・ホプキンス、エマ・トンプソン、ヘレナ・ボトム・カーター ほか
ん~~~いい話なんだけど、いまいちよく分からん。小説を基にしているみたいだが、脚本が弱いのかな。
『羊たちの沈黙』で一躍浮上したホプキンスと、今作でオスカー受賞のエマという2大俳優をたてて、中世劇にぴったりのヘレナが魅力的。
結局、英国の自然豊かな建物が主人公なら、もう少し美しい朝日を浴びたショットがあればイイのに。
階級制度のない現代の日本だとよく分からんことばかり。
「一度職を失ったら飢えるしかない」
親を亡くして身を売るしかなかったジャッキーも不幸だけど、彼女の責任感から逃れられないレナードも不幸。
唯一、彼が逃げ込める本の中の自然賛美の世界の描写は花畑がキレイ。
彼の忘れ形見となった子どもとたわむれる姉妹は結局幸せになったといえるのか?


『不法侵入』(1992)
監督:ジョナサン・カプラン 出演:カート・ラッセル、レイ・リオッタ、マデリン・ストウ ほか
「あなたもセコムしてますか?」ってゆってる場合じゃない。
セキュリティシステムに頼ってもちっとも安心じゃない現代生活を鋭く描いた一作。
リオッタの強烈な個性には頭が下がる。なんといっても守るはずの警官がサイコなんだもの。
この妙に細かい神経と強引さがますます恐い。ストウはおびえる美女にハマり役だし。
乱闘シーンは合成も入っているだろうけど、すごい迫力。
「事件が増える」といっても銃に頼らざるを得ない選択の余地ない状況にまでなってきている。
さてさて『不法侵入2』にはどうやら、先ごろ逝ってしまったジェレミー・ブレットが出ているらしいから、もちろんチェック要!
かの有名なシャーロックホームズが案外情けない汚れ役かも?


『フォー・ルームス』(1995)
監督・出演:クエンティン・タランティーノ 出演:ティム・ロス、ブルース・ウィリス ほか

Honeymoon Sweet
妙なノリだな。始まりのカートゥーンが『ピンク・パンサー』みたいだけど、
ティム・ロスがD.リンチのキャラみたくブッ飛んでて変。
『ゴッホ』のシリアス演技からガラッとイメチェンしたってワケね。
『ホットショット』のセクシーヒロインから6人もの美女が集まって魔女の儀式をする丸いバスタブがなかなかシュール。
マドンナがハマり役。

Room404 The Wrong Man
すっかり電話で間があいてしまった・・・最近このパターンが多い
夫婦が言い争ううちに抜け出して、次のカモが入るというオチ。4て外国でも縁起悪いのか?

Room309 The Misbehavers
下品な件。『デスペラード』の男優が不良っぽくて超厳しい父親役。

Penthouse The man from Hollywood
ビデオで観てよかったな。ラストにウィリスと超本人のタランティーノが出演。
ハリウッドでノリノリのリッチマンを演じて、まるで自分たち自身をあざ笑っているかのよう。
ジェニファ・ビールスはこうゆうB級映画が好きだね。
タランティーノが余ったお金で仲間と撮ったおフザケ的な作品ってところか。
ティムの株が上がって、他作品にたくさん出てくれればいいんだけど。
ちょっとデミ・ムーアとの不仲が最近噂のウィリスが、離婚危機を迎えて妻と大ゲンカする役なのが皮肉っぽい。
これだけの大スターを一挙に集められるのもタランティーノのノリの良さ。次回作も期待できそう。
今作の面白さのポイントはぶちぎれたティムと、スタイリッシュなホテルのインテリア。


『恋路』(1991)
監督:ジャン・ルー・ユベール 出演:カトリーヌ・ドヌーブ ほか
1991年作とは思えない愁いのある映像。ブルターニュ地方のナントという小さな町での2人の男と1人の女の物語。
フランスも広いね。パリとは全然違った景観。年に一度のカーニヴァルでは細い路地いっぱいに人が溢れて、
年頃の女の子の美人コンテストを開いて、山車でパレードする、なんだか美人であるこっとが大切なところみたいね。
ドヌーブが結局幸せになれなかったヒロインを丁寧に演じる。
「女王になんか選ばれなきゃよかった」なんてセリフも彼女ならイヤミじゃなくなる。
彼女のパレードシーンがなかったのは残念だけど、世界の絶世の美女ありきって貫禄あり。
4人の子持ちで20年も夫婦やってて倦怠気味だったのがライバル出現で急に男と女に戻る瞬間がスリリングでイイ。
男優2人のキャラクターの違う個性のぶつかり合いも見どころ。
赤ちゃんまでちゃんとセリフを言って演技してるのがビックリ。大抵は食事のシーンだったけどw


『不滅の恋 ベートーヴェン』(1994)

監督:バーナード・ローズ 出演:ゲイリー・オールドマン ほか
この物語が真実に基づいているならなんたる悲劇!「The comedy is over」。
「運命」による彼の死から始まり、耳に親しいのに意外に彼が書いた曲だと知られていない名曲の数々をバックに
オールドマンはもちろん、鍵を握る3人のスター女優の演技も素晴らしく、
名作曲家とその人生、そして時代を鮮やかによみがえらせた。

現代のシンガーソングライターがそうであるように、今では退屈でさえあるクラシック音楽の作曲家も
何か訴えるメッセージを持って書き、その時の状況と想いを曲に熱くこめていることが分かる。
ある程度は監督の推測によるだろうけど、恋人のもとへ急ぎ焦る嵐の中の馬車を押すシーン、
そして父から逃れ、夜の森を走りぬけ、湖にほてった体を浮かべて冷まし、
ずーーーっとカメラが引くと星雲の無数の星のひとつとなるシーンに「第九」のBGMを重ねる美しい映像は感動する。

若くして聴力を失った理由は我が子をモーツアルトのような神童にしようとして失敗した父の虐待によるものなのか?
いつの時代も幼児虐待はあったと思うと本当にやりきれない。
ラストで明かされる心の恋人、そしてあらん限りの愛情を注いだ甥カールが実子であったという衝撃的事実は
どんな小説家にも書けない世紀のドラマだ。

「Must it be?」「It must be.」

ラストにふさわしいエンディングは感動の余韻が残る。18Cの衣装やメイクも一流。
オールドマンの演技は定評があるが、細かいピアノの指使いは俳優を悩ませるだろうに素晴らしい動きに注目。
中世劇から現代の悪役まで何でもござれの彼が次にどんな演技を見せてくれるのかとても楽しみ。
コメント

notes and movies(1996.5~ part3)

2013-06-25 14:07:16 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part2からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『プレタポルテ』(1994)
監督:ロバート・アルトマン 出演:ジュリア・ロバーツ、ティム・ロビンス ほか
今人気のアルトマン監督がファッション界のお祭り騒ぎを舞台に撮り上げた作品。
よくもまあ毎回どんぶり山盛りのビッグスターたちをドッサリ出演させられるもんだな~ていうのが注目ポイント。
誰がどんな役で出演しているかが面白い群像劇。
例:マストロヤンニ、ソフィア・ローレン、スーザン・サランドン、テリー・ガー etc...

ラストはなんとファッションモデルが全員裸で登場。モデルは商品を見せるマネキンでしかないのね。
「何を着るかでなく、どう着るかがファッションだ」
「女性デザイナーは着やすい服を作り、男性デザイナーは理想の女性に着てほしい服を作る」
これほど女性解放と言われながらも、ファッション界もまた男女の考えの違いを投影しているんだ。
映倫は、果してどっち側の人間なのか???


『ショーシャンクの空に』(1994)

原作:スティーヴン・キング 監督:フランク・ダラボン 出演:ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン ほか
Redemption=(キリストの犠牲による)人間の罪のあがない。救済。
早速、地図のメキシコを調べたけど2人が逃げたパラダイスの名はなかった。とても小さな町なのか?
先日観た『黙秘』の母が罵倒するセリフにも「ショーシャンクの刑務所がお似合いだ」というのがあった。
今作はキング原作にしてミステリーでもホラーでもない。無実で20年間も刑務所暮らしをしてもなお
「希望」を失わず自由を得た男をじっくりと描いた人間ドラマ。
人物描写の丁寧さは誰かモデルがいるのか? 捧げられた名は誰か?
キングは今作でホラー作家以上の腕を見せ、まさに現代の天才作家であると証明してみせた。

「希望は誰にも奪えない」「檻の中にいる俺たちには危険な言葉だ」
「更生とは国が作り上げた言葉だ。罪に後悔しなかった日は1日もない。
 殺した男と話したい。今どうしているかとか。しかし彼はいない。おいぼれが1人残っただけだ」

状況証拠と弁護士の上手い話し方ひとつで無実の人間を20年もの刑に処する陪審員制度と、
罪人とはいえ暴力でおさえつけ、死んだら事故として片付けられる悪化の一途をたどる刑務所事情は空恐ろしい。
キングもそうとう取材をしたことだろう。罪人の多くは読み書きもできない者たちだ。
「はじめは高い壁を恐れ、憎しみ、そのうち慣れ、いつしか頼るようになる。終身刑は陰湿な刑だ」


『レイト・フォー・ディナー』(1991)
監督:W・D・リクター 出演:ブライアン・ウィマー、ピーター・バーグ ほか
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の湿っぽい版みたい。これが初登場全米第2位?!
よっぽど盛大なCMを流したか? コメディでもなしSFでもなし、ミステリーでもない。
「時を越えても愛は変わらないんだぜ」ってやつ。まあ、どのみちこの男は他に行くあてもないんだからってゆうのもあるし。
もうちょっとカルチャーギャップのギャグでも入れたら良かったのに。
でもこの冷凍保存の話も月の上を歩くのと同様に全く夢の話でもなさそう。
そしたら現代で不治の病と言われてるエイズ患者を治療薬のある未来まで冷凍保存することだって可能になる。
家族や友人との別れが辛くなければの話。


『幸福の条件』(1993)
監督:エイドリアン・ライン 出演:デミ・ムーア、ロバート・レッドフォード ほか
映画のための映画といった完成度の高い脚本とキャスティング。
珍しく悪役を演じるレッドフォードが正義の味方そのものルックスで許せてしまうからやっかい。
リッチなレッドフォードタイプの提案をあっさり断れるハズがない

"Have I ever said I love you?" "No" "I do" "Still?" "Always"

このキーワードが『ゴースト』を思い出させる。愛をとるか金をとるかの究極の選択。
この2人ほど強く愛し合っているうちならまだ間に合うんだろうね。
バリバリのグッドボディなデミなら誰でも大金積んででも一緒にいたいと願うだろう。
カジュアルとフォーマル。金のかけ方次第で人間変わるものね。スーツ1着でも。偉くなったり、劣って見えたりもする。


『激流』(1994)

監督:カーティス・ハンソン 出演:メリル・ストリープケビン・ベーコン ほか
初夏の暑さを一時忘れるほどヒヤヒヤ連続の川下りシーンは、
ディズニーランドのアトラクションどころじゃない本物の大自然の脅威!
まったくどうやってこの難しい撮影に成功したのか、裏側も覗いてみたい。
メリルをはじめ、ベーコンらの体当たり演技に役者魂を見た。
ロックンロール青年役が多いベーコンの凄みある悪役もなかなか。
そして数メートルもの岩から河へジャンプするすごいアクション演技を各所で見せた名犬マギーも愛らしい
静かな渓谷を流れていくなら川下りも面白そう。


『侵入者』(1994)
監督:アンソニー・ヒコックス 出演:C.トーマス・ハウエル ほか
いってみれば今作は『侵入者2』のジェレミー・ブレットが見たいがための予習みたいなものなんだけど、
なるほど、あのまだベビーフェイスが抜けないハウエルがハードポルノともいえる絡みを見せる。
いかにも女があやしくて、失明の元刑務所官が分かっているってのがミエミエ。ラストのドンデン返しは効いてる。
崖から落ちたのに2でどう蘇るのか? ジェイソンじゃあるまいし
大金はロクなことを運んでこないって教訓だね。
その後、金と女と黒人がどーなったのか、気になるところだけど、2はまったく違った話みたい。
とにかく女嫌いのホームズが濡れ場を演じているんだから見物。
きっと2がラストの出演作じゃないかと思うし。楽しみ。


『王妃マルゴ』(1994)

監督:パトリス・シェロー 出演:イザベル・アジャーニ、ダニエル・オートゥイユ、ジャン・ユーグ・アングラード ほか
人類の歴史はそのまま殺戮、憎しみと悲しみの歴史。そう思うとやりきれなくなる。
信仰心が人と人が殺しあう理由になるなんて神が望むとでも思っているのか?
宗教の歴史ほど血塗られた悲劇に彩られたものはない。
15Cの歴史を豪華な衣装、舞台セット、キャストで見事に復活させてみせた超歴史物大作。

男を狂わせる妖女マルゴは、まさにアジャーニの得意とする役。
透き通るほど白い肌、黒髪、ノーメイクに近いナチュラルな美しさは目を見張るばかり。
愛に溺れる女を演じていても冷たいあざむきの雰囲気が漂うのが持ち味。
V.ペレーズはオールヌードじゃ王妃に負けない美形スター。
オールヌードで定評の?アングラードは、最近汚れ役や悪役等にも幅を広げて、悲運の若き国王役もハマリ役といえるほど演じきっている。
圧倒の殺戮シーンは『乱』を思わせる。

剣やら銃、あらゆる毒による暗殺。西欧も日本と変わらぬ野蛮でどうしようもない時代があったんだな。
家族の間でさえも信じられる者が1人もいないなんて、王族の世界は毎日の裕福な暮らしを存続させるためだけの
冷たく狂ったものだというのは、世界中いつの世も同じみたい。
男子継承にこだわる習わしがそもそもの誤りかも。


『インドシナ』(1992)
監督:レジス・バルニエ 出演:カトリーヌ・ドヌーブ、バンサン・ペレーズ ほか
映画も歴史を学ぶのに役立つと思うけど、歴史の先生に説明してほしい。
ベトナム戦争やらの舞台としてもよく取り上げられるインドシナ半島が南北ベトナムとしてフランスから独立する前の話らしい。
なぜまたフランスは、こんなはずれの貧しいアジアの国まで植民地支配したのか? ゴムの産出だけじゃないでしょーに。
図らずもペレーズ特集みたくなっちゃって、前回はI.アジャーニ、今作はC.ドゥヌーヴ、
はたまた次回作はS.マルソーと、フランスの大スターかつベテラン女優ばかりを相手に大活躍。
しかし彼も冷たい顔で笑顔が似合わないキャラだね。
今作も広大なアジアそのものの当時の風景を、細かく再現している超大作。
物語としては母子もののスタンダードだけど、国、政治、時代激変のさなかにいた者としての面白味がある。
コミュニストが話に出てくると、どうして考えはまっとうなのにそれほど軽蔑されなきゃならないのか分からなくなる。
『1900』の時も、何か政治的に大切なメッセージが込められているのに意味が通じないのはとても残念なことだ。


『恋人たちのアパルトマン』(1993)
監督:アレクサンドル・ジャルダン 出演:ソフィー・マルソー、バンサン・ペレーズ ほか
ペレーズが今度は現代のフツーの青年役でやわらかいラヴロマンスに挑戦。よく笑う男はやっぱり似合わない。
30歳を向かえても変わらずもぎたてのフルーツみたいな健康美のマルソーに注目。
結婚案内状をあんな風にドブに流されちゃうなんてヒドイ!
10日の旅に出たファンファンに買ったアパルトマンの隣りを借りて壁をマジックミラーに替えて覗き魔じゃないと言える
これを見て「よし、やってみよう」って思う人もいるかもよ。盗聴器が流行っている時代なんだから。
どのみちあんな壁一面鏡の部屋じゃ落ち着けないけど
一緒にチャールストンを踊ったりもするシーンは楽しい。でも騒音問題にならないのか?
自由奔放な女の子らしいサーカス衣装みたいなソフィーのファッションも面白い。
「子どもの頃、母親が次々と違う男を連れ込んでたのを見てショックで不能になった」というのが男の言い分。
そういう記憶ってやっぱり癒えにくいものなのかしらね。

(こんな奔放な女性役が多いソフィーも、こないだ図書館巡りで自伝をちら見したら、
 全然イメージと違う苦しい女優生活だったと知って驚いた


『ハイヒール』(1991)
監督:ペドロ・アルモドバル 音楽:坂本龍一 出演:ビクトリア・アブリル ほか
なんだか意外と湿っぽい話でイタリア映画でこの監督のイメージとは程遠い。
案外騒がしいキワモノより、演歌系の女を描くほうが好きな人なのかも。
このキャッチコピーと写真も内容とかけ離れているし。
面白いのは、女装でゲイの歌手と判事と情報屋が同一の男だったこと。
なんでかってワケなどないだろうけど、自分で自分の情報屋になる奴なんていないよね。幅の広い役者だな。
「昔、ママのヒールの音が寝室に消えるまで眠れなかった。音がしていつか迎えにきてくれると信じてたの」
まさに「血は水より濃い」ってやつね。でも、こんなに簡単に釈放されたり、証拠や犯人をでっちあげられるなんて、
日本じゃとうてい考えられない。どこかのんびりしているのがイタリアだよね。

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notes and movies(1996.5~ part4)

2013-06-25 14:07:15 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part3からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ミルク・マネー』(1994)

監督:リチャード・ベンジャミン 出演:メラニー・グリフィス、エド・ハリス、マルコム・マクドウェル ほか
『ランブリング・ローズ』を思い起こさせる。
ローラ・ダン同様、メラニーも肉感的でセクシー女優だし、相手は注目度アップのハリス。
性教育も進んでませた子どもらが独身の父のために奮闘する。
「女が触られて夢中になるところ、それはハートよ
娼婦になるのは簡単だろうけど、歳して落ち着こうとした時が辛いよね。こうゆう小さな町だととくに。
父に娼婦を紹介しちゃう男の子もビックリ。
そうと分かり、Vが14で家出した事実を知ってからのパパのくどき文句はきわどくてイイ。
「愛し合いたいんだ。初めてでも痛くないよ」


『スモーク』(1995)

監督:ウェイン・ワン 出演:ハーヴェイ・カイテル、ウィリアム・ハート ほか
嫌煙者でもこの味わいには納得。ブルックリンの下町を舞台にした人情劇。なんだか懐かしく温かくオシャレで渋い。

「タバコの重さを量った男がいた。“魂の重さ”といってもいい。頭のイイそいつは最初にタバコの重さを量り、
 火をつけ吸った吸殻と残りを皿にのせて量り、その差が煙の重さということだ」

「秘密を分かちあえない友だちなど友だちじゃないな」

その後、モノクロで話の通りに展開していく件がまたイイ。
ハーヴェイの味のあるキャラと、ハートのちょっとむさい顔のラストシーン。
心が分かり合えてる友人同士がタバコをくゆらせながら見つめ合うのに余計なセリフはいらないんだ。
そしてタバコと下町とワイン、酒場にピッタリのトム・ウェイツ煙が目にしみる が最後を締めくくるっていう見事な構成。
同じブルックリンを舞台にした、カイテルが店の主人役ていう映画も公開されているらしい。
マドンナ、マイケル・J.フォックス、それにルー・リードまでいる!! そちらも見逃せない。
人それぞれいろんな人生があるけど、意外とどこかでつながり合っていて、
トラブルメーカーも他人の役に立つことがある。近頃には珍しい人情話のアメリカ映画。


『ステッピング・アウト』(1991)

監督:ルイス・ギルバート 出演:ライザ・ミネリ、ロビン・ステヴァン、ジェーン・クロコヴァスキー ほか
久々に心から素直に笑って泣ける映画を観た。変わらず100万ドルの輝きを見せるミネリの歌とダンスはもちろん、
普段はフツーのドラマに出る役者がダンスを下手でも楽しむフツーのおばちゃん&おじさんを演じている。
きっとここまで実際彼らも練習を積んだことだろう。

ミネリいわく「これは部屋から飛び出して(stepping out)誰でもステキになれるという映画」(たしかこんなこと
ネグリジェの主婦から一転して黒のラメ入りスーツに変身して歌い踊るミネリはまさにブロードウェイの女王ここにあり!って感じ
上達したメンバがステッキも使いこなして「コーラスライン」ばりのダンスをする感動のシーン。
スポットライトを浴びたミネリの輝いた表情。エンタテイナーにしか分からない究極の喜びの瞬間。
かつての美人女優S.ウィンターズが老いてもなお元気に出ているのが嬉しい。


『フォー・ウェディング』(1994)
監督:マイク・ニューウェル 出演:ヒュー・グラント、アンディ・マクダウェル ほか
「何度も友人の結婚式に出るうちに、早く自分もやりたいって思うようになるよ」って友だちが言ってたけど、
まだ一度しか出てないが、全然うらやましいと思ったことがない。
若い世代には「独身のほうが気楽」って考えが浸透しつつあるし。今作は、そんな現代の等身大のキャラ設定がウケたのかも。
ヒューがとにかくハンサムで、甘さと純粋さと、英国青年っぷりが見どころ。
オックスフォード大出なんだ。『モーリス』でハマってたのも納得。今作が転機となってコメディにも進出して大活躍。

夫婦のごとく仲が良かった男のスピーチに引用された詩は泣かせる。
「音楽も止め、お喋りも笑いも止めろ。棺が出た。今日は葬式なのだから」そんな詩。
こんな話もアリじゃないかな。その後、次々と結婚していく独身貴族の仲間のスナップが流れるけど、
イギリスじゃ王室をはじめ、離婚率が大幅に上がっているっていうし、
戸籍上の紙の関係でずっと縛られているのはナンセンスだもの。先のことは誰にも分からないからね。
マクダウェルはヒューよりずっと年上かと思いきや、1つ違いなんだ/驚


『侵入者2』(1994)
監督:ヘンリー・コール 出演:エリザベス・ハーレイ、トーマス・ハウエル、ジェレミー・ブレット ほか
なんだ、1の続編でもなんでもないんだ。単に同じハウエルを主人公にしているだけで、
といっても脇役なんだけど、1よりもっと焦点がボヤけた作品。
ブレットの悪役は興味あるけど、なぜ出演をOKしたのか分からん。
トミーなんて安い米人っぽい名のディーラーらしい役だけど、あの格調高い身のこなしと喋り方は隠せない。英国紳士そのもの。
友人に捧げているところをみると、実際作者が配達屋だった時の話かも。
本当に起きたらヒドイ話だけど、映画としては弱い脚本。警部役の俳優はいつも似た配役が多いね。
J.ブレットのラストの出演作がこれなら、そのほうが悲劇。
この邦題はインチキだ。全然内容と外れているし、1とのつながりもないんじゃねぇ。


『赤い靴を抱く女』(1993)
●Jake's Story
監督:マイケル・カーベルニコフ 出演:シェリル・リー、デイヴィッド・ドゥキャヴニー ほか
何気なし観たらドゥキャヴニーが出ていて、話には期待してなくて、まさに予想通り、なんてことない不倫の話。
おまけにR指定で『ツインピークス』以来ヒットがないリーとの絡みがある。
ファンにとっちゃ姿が見れればそれでいいワケで、今作はドゥキャヴニーの魅力がクローズアップされているのは確か。
マサイ族救済パーティってすごいパーティだね/驚 これを映画化しようって言ったのは一体誰だ?

●Bounty Hunter
監督:ピーター・ケア 出演:クレア・スタンスフィールド ほか
3話通して出てくれるんだ!またまた嬉しい。今度は金を盗んで逃げた男を追う、金で雇われた女の話。
この話を手紙で呼んでいるジェイクはなんなのかよう分からん。犬が可愛い。「犬でよかったな」と投げキッス。

●Weekend Pass
監督:テッド・コッチェフ 出演:エリー・ブジョー ほか
これ'93ならXファイル始まってから撮ったのかな?
今作はテキーラを飲むと記憶喪失になるほどハメを外す女の話。よく分からん。
ジェイクは建築家だけど小説家? 記事を出して話を集めてる。
ドゥキャヴニーはインテリな役向き。手紙を読んでいてもFBI捜査官みたい
8時台のドラマシリーズにどう? ハードすぎるか。


『赤い航路』(1992)
監督:ロマン・ポランスキー 出演:ピーター・コヨーテ、ヒュー・グラント ほか
この女優はポランスキーの娘? 娘をここまで女優に徹して使えたら本当にプロだね。
ここではヒューはヤボな英国男でしかない。観た後は少々食傷気味になる男女の究極バトル。とんだクルージング。
結婚で相手を一生縛っておくことはできない。出会いがどれほど神聖で情熱的であっても。


『ゴダールの決別』(1993)
監督:ジャン・リュック・ゴダール 出演:ジェラール・ドパルデュー ほか
予想はしてたけど、ここまで難解だと楽しむことも、考えることもできない。
美しいフランスの絵を観ながらなんとなく神の存在について思うくらいが限度。
ここまで規制を外して監督が思い描いたまま自由に撮ったら娯楽を超えてる。
無修正シーンという売りも、日本が許可したのは何だか分かんないまま一瞬だからじゃないかな。
言われなきゃ分からない映像の乱れかと思っちゃう。実際なぜかこのテープ、映像が2ヶ所も乱れてたし。
このスキャンダル記事がなかったら、はたして皆観たかな?
ゴダールって生きてるんだっけ? ヌーベルバーグはなんでもありの世界だからね。

「映画の中のセリフは常にイカサマに聞こえる」

宗教観念を映画化したってところ。ここまで深入りしちゃうのはどうも無宗教国の人間には理解しがたい。
話の筋もあらかじめ読んだからかろうじてついていけたものの、知らずに観てたら筋を掴むのさえ危うかったろう。
でも2人のいいオヤジが線路で「すべてに石を投げつけるべきだ」と叫んで本当に石をつかんで
一生懸命投げるシーンとか、ここにしか出演しないたった10秒のことになんだか愛らしさも感じてしまう。
♪Everybody must get stone っていうディランの歌が聴こえるよう。

題名の直訳は「なんてひどいことだ」という劇中に出てくるモノローグの文字と同じ。
天地創造の物語もギリシャ神話と同じ、太古の小説家の思い描いたお話しでしょ。
地球という惑星ができて、人類誕生は確かに偉大な奇跡的偶然だけど。1時間20分が果てしなく感じられる。


『ラブ・キルズ』(1991)
監督:ブライアン・グラント 出演:ヴァージニア・マドセン、アレック・ボールドウィン ほか
大して期待はしてなかったけど、命を狙われた妻がはたして誰に狙われているのかで最後まで引っ張るシンプルなミステリー。
マドセンの完璧な美しさが唯一の見どころかな。A.ボールドウィンがなんだかクサイ演技で変。
マドセンを捨てるなんて男は、きっとこの世にいないと思うよ。
豊かで絹糸のような髪、赤いドレスを着るとマドンナに似てる。
犯罪心理学に詳しい割に殺し屋を雇うなんてシンプルな方法を選んだものだね。


『ギルバート・グレイプ』(1993)

監督:ラッセ・ハルストレム 出演:ジョニー・デップ、レオナルド・デカプリオ、ジュリエット・ルイス ほか
面白いタイトルだ。「何を食べてるの、G.グレイプ?」
名もない田舎町で奇異な家族を養って、自分を見失っている青年の物語。
爽やかで温かい感動をもたらす1作。ジョニデ、ルイスら若手スターが素顔に近い等身大の役を好演。
障害をもつ子ども役のデカプリオにはとにかく驚いた

黒煙と炎に包まれる家のシーンは荘厳で美しくさえある。
「さよならはどこかに行くときに使うんだ。僕はどこにも行きやしない」という言葉が伏線となり、
"We can go enywhere"(僕らはどこにでも行けるのさ)

時として人は変わるものだけど、1年もあれば、この先2人の兄弟と1人の女の子が
どんな楽しく辛い旅をしたのかを思わず空想させる未来あるエンディングがイイ。
母親役の女性はたぶんその巨体がきっかけで出演したあまりキャリアのない人だと思うが
作品の重要なキーパーソンとして他の俳優を引き立てている。
生まれた小さな町を出ても、外の世界にとくに何かいいことがあるわけじゃないけど、やっぱり若者には旅が必要なんじゃないかな。

コメント

notes and movies(1996.5~ part5)

2013-06-25 14:07:14 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part4からのつづきで、薄いベージュ色のノートのラスト。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『彼と彼女の第2章』(1995)
監督・出演:ビリー・クリスタル 出演:デブラ・ウィンガー ほか
パリのモノクロスナップショット、ビリー・ホリデーの曲ではじまるオシャレなオープニングは、
ウディ・アレンの『マンハッタン』を思わせる。
クリスタルが監督・主演だから、映画のハウツーは勿論、とにかく笑わせ、楽しませようとするギャグたっぷり。
友人がやるジョークもそのまま彼のスタイルや味が出るから本当にハンドメイキング。
友人らが次第に集まり2人の話をつないでいく構成が楽しい。本気でハマって泣いたり笑ったりの女性。
そして噂の2人がやってきて、今までの話を知らずに話しだすロマンティックなラスト。
その先の話なんて皮肉屋のクリスタルが考えそうな話だね。ウィンガーがすごく素敵な大人の女性を好演


『ドラゴン ブルース・リー物語』(1993)

監督:ロブ・コーエン 出演:ジェイソン・スコット・リー、ローレン・ホリー ほか
リーが火をつけた'70代のカンフー映画ブームはすごった
小学校の同級生もカンフーシューズを自慢して見せてくれたっけ。
ストーリーは、必ず師か父が殺されて敵をとるって人情話だったけど、
肉体ひとつで見せる格闘技、鍛え上げられた体と技の正確さ、速さ、意外性は芸術的。
やっぱりスコットは西洋系のつくりで針金のようなブルースとは似てないけど、
違う畑ながらカンフーシーンは驚く身のこなしには、つい本人とダブってくる。
今作はヒーロー伝だけでなく、チャンスの国アメリカに疎外されているアジア系への差別問題も描かれる。
「中国人にはチャンスはない。人間以下の扱いだ」

ところでリーの死因はいまだ不明なのだろうか?
あれだけ命を賭けた決闘シーンをしていれば消耗度も激しく、思わぬ故障があったのかもしれない。
鉄兜の悪魔が出る幻想シーンもフシギ。本当にあんな白日夢を見ていたのか。それとも映画の脚色か?
「迷信は無知の人間の、無知な考えだ」といえど、マリリンをはじめ世界的なヒーロー、ヒロインが
突然亡くなってしまうのは、やはり神や悪魔が欲しがっていたからだとも思いたくなる。

少し前「リー家の悲劇」って本が出版された噂を聞いた。
息子まで撮影中に亡くなったのは偶然にしてはとても奇異だ。妻と娘は存命か?
「死の謎より、どう生きたかを思い出してほしい」
アメリカへ単身で渡り、大学に通い、カンフー教室を開き、そして映画ヒーローとなった。
世界的名声を勝ち取る前、撮影終了3週間前に亡くなったのは残念この上ないが、
この自信とアクティヴな生き方は本当に素晴らしい。「一芸は身を助ける」ってやつだね。
カリフォルニア・ドリーミング 等の音楽や、ファッションに'70の息吹きを感じる。

「恐怖は自分の心の中にある。いくら相手に勝っても、自分と闘わなくてはダメだ」


『女と男の危機』(1992)
監督:コリーヌ・セロー 出演:ヴァンンサン・ランドン ほか
「愛しているけど、汚い靴下洗ったり、偉そうに“夕食何?”なんて聞かれるのはまっぴら、別に住んで会うからいいのよ」
世の中どこでも離婚、離婚。朝起きたら仕事も妻もいなくなっていた男の話。
タイトル通り、前半はあらゆるところで次々と別れ話が持ち上がる喧騒の真っ只中、超特急並みの早口ケンカ大会、
そして後半は静かにそれぞれ解決の道へと収まってゆく。
フランスのダニー・デヴィッドといった感じの小太りな男優も好演。


『探偵ポーグ わたし、忘れてます。』(1994)
監督:ミック・ジャクソン 出演:ダナ・カービー ほか
『ウェインズ・ワールド』のもう1人はいまどこに?
私たちもよくやる思い出せない久しい知人に「元気?」なんて調子を合わせる、その連続なのがこのモーリス。
でも実際にこうしてすぐに記憶を失ってしまうシリアスな病気を抱えている人たちはいるから笑えない。
ハリウッドって時々、こうゆうモラルを無視したギャグ映画をつくるから怖い。
芸達者な犬も可愛いけど、方向音痴なのは片目を覆われているからってひと目で分かる。動物虐待に近いよ


『ジム・キャリーはMr.ダマー』(1994)
監督:ピーター・ファレリー 出演:ジム・キャリー、ジェフ・ダニエルズ ほか
『エース・ベンチェラ』と『マスク』の快挙で大スター一直線のジム・キャリー。
でも期待のわりに上の2作で見せた大爆笑できる超パントマイムがない。
今作はタイトル通り、ギャグより"Dumb"~馬鹿さ加減でウケを狙ってる。
オ○ラやゲロとかは小学生級の笑いだよね。J.ダニエルズも付き合ってるのがちょっと苦しい。
ブルース・リーの変テコ版のマネは笑える。ああゆマジにブッ飛んだ動きが持ち味でしょ?
もうちょっとマシな映画に出てほしい。単なるおふざけじゃなくて。


『L.A.ストーリー』(1991)
監督:ミック・ジャクソン 出演:スティーブ・マーティン、リック・モラリス、チェビー・チェイス ほか
“アメリカの吉本興業”?のSNLからは毎年何本もコメディ映画が作られているが、
その中心にいるのが、このS.マーティン。同僚も参加させて撮った今作。
ロマンスの行方もさることながら田舎者が今作を信じてL.A.ってみょーな街だと誤解しないように。これが彼のカラーですw

嘘っぱち天気予報キャスター役で、いつでも快晴なL.A.で
「今日は400mの突風が吹き、気温は72度です。この次の予報は4日後です」
"How do your daddy doing?"のなぞなぞの答えは、ディ・ドゥルドゥを歌おうとラストのノー天気な歌がイイ。
S.マーティン映画って音楽センスがとってもイイんだよね、いつも
バーでもファッツのAin't that a shame がかかってたり、数々の'50~'60ナンバーあり。
クルマの中でやるなぞなぞも「グルーチョ・マルクスの秘密の友だちは誰だ」「アヒル」なんてのがあって笑っちゃう


【イベントメモ】
「ニューヨーク近代美術館展」@上野の森美術館
「シルクロード大美術展」@東京都美術館
「ファンタージャ」@有明南地区イベント広場
「アンディ・ウォーホル展」@東京都美術館
「人形の美術館」「伊豆オルゴール館」「ねこの博物館」@伊豆高原

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