メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1996.7~ part1)

2013-07-26 11:14:27 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
今回は赤いノートからご紹介。見応えある名画が多かった!

  

photo1:開いて1ページ目に大きなダリの顔写真!
photo2:X-FILESシリーズもまだまだつづきます。
photo3:この頃の字好きだな。字の書き方は自分の中の流行によってけっこう変遷がある。

若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『the best of SATURDAY NIGHT LIVE hosted by ROBIN WILLIAMS』(1992)
製作総指揮:ローン・マイケルズ 監督:ポール・ミラー
出演:ロビン・ウィリアムズ、ダナ・カーヴィ、ケビン・ニーロン、サイモン&ガーファンクル ほか
こんなに力入ってMCが長い人もいない 彼もSNL出身なのね。今じゃ自分のプロダクションを持って映画も好調ってさすが。

ギャグメモ:
P.サイモンがコンサートに来た女性の髪型やアンコールまで覚えているのに相方のA.ガーファンクルを思い出せない
ポールとロビンのAlone Againもイイ。
地図を舐めまくって広げ、適当に指して「今ここで、ここへ行きたいんだが」物差しもなく指で測るとスーパーまでも1万マイルにもなるw


『さすらいの青春』(1966)
監督:ジャン=ガブリエル・アルビコッコ 出演:ブリジット・フォッセー ほか
悪夢みたい。長いことあらすじも展開も分からずに観せられて、何のディテイルもないから説明のしようもない。
最初からよく分からん。どこが「さすらいの青春」なんだ!?
中世と現代のタイムトリップストーリーで、森が時間を行き来する扉とかって話ならもっと面白いのに。
せっかく夢みたいなユラユラした映像や白黒にしたりする工夫があるのに。
なんか有名な小説の映画化? ヒロインが今作で再び脚光を浴びたらしい。


『テレーズ』(1991)
監督:アラン・カヴァリエ 出演:カトリーヌ・ムシェ ほか
仏の実話を基にした尼僧の話。ヒロインの純真無垢なキャラクターはピッタリ。
いったん真っ暗になって、再びライトアップされる手法が面白い。
そうとう信仰心の篤い家庭に育ったんじゃないかな、この姉妹らは。
でも私が思うに、本当の試練はこの俗世間で雄々しく生き続けることでは?
檻の中では精神修行にはなるけど、「神は愛しているけど、罰など当たらない」って言ったリュシ-みたく
信仰心を持ちつつ、周りの人を助けることに努力したほうがよっぽど神の道に近いんじゃないか。
閉じこもってるだけじゃ何も生まれないもの。
病身のテレーズが十字架を踏むシーンは、ちょっとした復讐心からか?
ここまで1人の男を崇めようとする気持ちって何なのか???


『ウォーカー』(1987)
監督:アレックス・コックス 出演:エド・ハリス、マーリー・マトリン ほか
エドファンになるずっと以前に記事を切り抜いていた作品(カルトって言葉に弱いから
なんともハチャメチャな軍リーダーの役をまさにカルティックに演じているハリス。他にも隠れた名作がありそう。
ウォーカーの人生は最愛の人の急死で変わったんじゃないか。死に急いだだけで他の事はどうでもいいって感じ。
1824年うまれ、'55~'57までニカラグアを支配して、処刑されるまで。
ラストはレーガン大統領本人のスピーチと「防衛のため」と殺人を続けて侵略してゆく米軍と犠牲になる現地民の実写フィルム
妙に軽快なBGMが面白い。


『ヌーヴェルヴァーグ』(1990)

監督:ジャン・リュック・ゴダール 出演:アラン・ドロン ほか
ドロンも相変わらず元気でなにより。歳はとったけどやっぱり南仏の海と日差しがよく似合う。
それにしても仏映はだんだん気難しくなる老人みたいだ。
画面いっぱいに広がる川面、太陽、木々、「フランスの美しい自然紹介」といった感じの絵は、
最も美しい瞬間ばかりをコレクションしているゴダールの鋭い目。
セリフが全て詩。一言ひと言が意味深く、聞き流すにはもったいなさすぎる。

「思い出は天国と同じだ。過去をいつまでも待っている」

オールバックでスーツでキメたドロンは最初とは別人のよう。
「自分はもう一人の他者である」いろんな格言をつぶやく庭師がイイ。
途中「芝居は終わった」などのテロップが出る。ゴダールってこうゆう手法好きだよね。
もっともっといいセリフがいっぱいあったけど、全て記憶に留められなかった。


『アメリカの夜』(1973)

監督:フランソワ・トリュフォー 出演:ジャクリーン・ビセット ほか
フェリーニも自分の撮影現場を撮った作品があった。先ごろ他界した巨匠トリュフォーの撮影風景も面白い。
分身と言われるJ.P.レオとは互いに本当に分かり合っている様子。
周りを何でも映画にとりこんでしまうところはさすが。それでセリフが生きているわけね。

ホテルにあった花瓶を使ったり、ハシゴ上の窓だけのセットで向かいの家と思わせたり、
ヒロインのスタントがカツラをかぶっただけのごっつい男だったり、大雪のシーンを泡で演出したり、映画トリックの裏側が楽しい。

「昔は女優は女優で、メイクはメイクだったわ」
「妙な仕事ね。皆集まって愛し合い、やっと慣れたと思ったらみんな分散する」

監督の少年時代だろうか、映画館の「市民ケーン」のポスターを盗むモノクロシーンもイイ。
監督って楽天家で、精力家で、1分1秒も映画に捧げてる人じゃなきゃ務まらない仕事だね。
レオがいつも「映画を観に行こう」って言ってるのもイイ。彼も根っからの映画人だ。


『愛の嵐』(1973)

監督:リリアナ・カヴァーニ 出演:ダーック・ボガード、シャーロット・ランプリング ほか
女監督?これが噂の作品かあ! '57にウィーンで再会する元ナチ指揮官と囚人の禁断の愛って話。
ボガードってこうゆう変態臭いジメっとした役が多いよね。A.パーキンス系の。
ランプリングは退廃的マイナーの女王だし、もろデカダンス。ルキノ・ヴィスコンティを思わせる。
過去と現在の映像の組み合わせ方が心憎い。

「聖書の話だ。サロメが頭に浮かんだんだ」「狂ってるわ」「正気と狂気の違いとは何だ?」

上半身裸に吊りズボン、軍帽でシャンソンを気だるく歌うランプリングが印象的。
骨董品屋で少女の頃に着せられたドレスと似た服を買って死ぬまで着てる。こんな細かい演出は女性監督ならでは。
戦犯でありながら「ネズミのように生きたくない。今でも地位を取り戻したい。生まれ変われたら同じことをするだろう」と敬礼する姿は怖い。


『コレット 水瓶座の女』(1991)

監督:ダニー・ヒューストン 出演:クラウス・マリア・ブランダワー、マチルダ・メイ、ヴァージニア・マドセン ほか
81歳で亡くなった実在の人物。'58に『GIGI』というミュージカルでオスカーをとった。
こちらもぜひ要チェック。娼婦の話じゃなかったかな?
生前にこれだけ成功を味わえるなんて幸福。「愛人」の作者同様、自分の人生が映画や舞台劇にされたのを観る気持ちってどんなかな?
M.メイとV.マドセンの共演は華やか。

こんな運命的な出会いって本当にあるのね。
'30~'40代のファッション、パリの夜街の様子なんかも華やかに妖しく描かれているのも興味深い。
フレンチカンカンのダンスはロートレックの描いたとおり。
コルセット、レースの下着やらでゴテゴテ締め付けて、昔の女性は大変だね
性の解放と、キャリアで成功する女性、まさにシンデレラ・ストーリー。
でもやっぱり女が成功するには男のパトロンの存在が必要なんだ。
主演のブランダワー(妙な名前)がイイ味出してる。


『乙女の祈り』(1994)
監督:ピーター・ジャクソン 出演:メラニー・リンスキー、サラ・ピアース ほか
キョーレツ。こんな実話があったなんて。肉親殺しほど悲惨な罪はないけど、
そこに至るまでの重い話を、よくここまで美しく荘厳かつシュールに描いた、と絶賛もの。
特別にクレジット紹介のあるこの若い特異な女優2人にも拍手。

死刑にはまだ早い2人は、別々の刑務所で無期懲役。それぞれ'60代に釈放されたけど、絶対会わないことが条件
それなら檻の中でも同じこと。それでも年月が少しは変えたかしら?
女の子の成長過程は複雑で、思い込む時期があるものだけど、
無学で17歳で内縁となった過去が娘に厳しすぎる結果となったのか。母親は浮かばれないね。最愛の娘に殺されるなんて。


『狂えるメサイア』(1972)

監督:ケン・ラッセル 出演:ドロシー・テュティン、スコット・アントニー ほか
アンリ・ゴーディエ・ブレシュカ。まさに野生児。宝石の原石といった感じの若き天才芸術家(天才は自らが天才だと知っている!
をK.ラッセルらしく奔放に描いた作品。「マーラー」「チャイコフスキー」他、天才アーティストの激しい生涯を描くのが好きみたい。
通じ合うものがあるのかも。時代が目覚める前の19世紀はじめをよくぞここまでエキサイティングに撮った!

「名作は自分の部屋に飾るべきだ」に納得。1915年6月戦死した。23歳という若さで!
作品はダイナミックながら、芸術家の人生は作品からははかりきれないものだ。ミケランジェロを尊敬していた。
「アーティストには観客が不可欠だ。観客を必要としないなら、それは聖人だ」
誓いをたて名を与え合い、結婚で結ばれる前に永遠の別れとなったソフィはその後どうしたのかしら?
止まることのない青年アーティストのエネルギーが全編に溢れている。

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notes and movies(1996.7~ part2)

2013-07-26 11:14:26 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part1からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ブラック・レインボウ』(1990)
監督・脚本:マイク・ホッジ 出演:ロザンヌ・アークエット、トム・ハルス ほか
始めと終わりを飾るゴスペルと刺激的なタンバリンのリズムがイイ
近年じゃあまりお目にかかれなくなったオカルトサスペンスの秀作。現実と死の世界の境界が交じり合う『X-FILES』系。
アークエットが妖しげな魅力。『アフター・アワーズ』を思わせる役所。
彼女は死の世界に足を踏み入れ、そこに同化してしまったのか? いまだ信じない人も多い死後の世界はあるのか?
確かに不慮の死で肉親を失った人には、その人が何の苦しみもなく幸せに天国にいると聞けば安心するという効果はある。
「未知の世界を知ることができるのは神のみ」濃密な映像と早い展開で見応えあり。
彼女が見える未知の映像もフラシュバックで見せてくれたらいいのに『デッド・ゾーン』みたいに。


『イナゴの日』(1974)
 
原作:ナサニエル・ウエスト 監督:ジョン・シュレンジャー
出演:ドナルド・サザーランド、カレン・ブラック・ウィリアム・アザートン ほか
今回借りた10本はなかなか特選ばかり。『ミスター・グッドバーを探して』で注目したW.アザートンがこんな大作の主役張ってたなんて。
最初ウスノロな役で、ラストにやはり美味しいところをもってくサザランドと、寄り目っぽい美女カレンの豪華キャスト。
タイトルは、イナゴが満月に群れて飛ぶごとく、ハリウッドスターに群がり、正気を失う群衆を意味してか?
重いテーマにサッチモの軽快なJEEPERS CREEPERS が空虚に響く。同監督の他作品もチェックしたい。

「ときどき全てを破壊したくなるんです、神よ」

興奮した人々は彼をまつりあげて運んでゆく。まるで処刑場に連れていかれるキリストのように。
狂った群衆がまるで自ら描いた壁画の眼のない叫んだ顔に見えて、突然サイコホラー化する。
とても観念的。美術監督が「僕らは紙芝居の裏方みたいだ。時々空しくなるよ」と言いながら
勝ち得た屋敷は気に入り「妻はオマケだ」。それを羨ましそうに見るトッド。こうゆう細かいシーンもイイ。
昔ほどスターが天上の人みたいに崇められなくなったけど、ハリウッド“映画の都”はまだ健在。


『怪物の花嫁』(1955)
製作・監督・原案:エド・ウッド 出演:ベラ・ルゴシ、トー・ジョンソン ほか
映画のサイテーさって予算の大小じゃなくて、のめりこめる話と絵があるかどうかじゃないかな?
確かにタコの造り物は思いっきりバレバレだけど、この当時のB級ホラーにはこの程度のは結構ある。
それより、怪物もの、バイセクシャルもの、目の付け所がイイし、俳優も大ベテランほか揃っているのに
パンチがないのが落ち度かも。おかげで途中思い切り寝ちゃったから、仕切りなおし。

いかにも鼻にかけた向こう見ず、でも結局男に頼る'50タイプのヒロイン。
入り口で口ゲンカする金髪はエドの愛人で、この2人本当にライバル同士だったんじゃなかったっけ?
映画『エド・ウッド』と重ねて観ると面白い。しかしあの男優、本人とそっくり。

ルゴシの見せ場のスピーチ
「昔は天才と言われたが人造人間研究で狂人扱いだ。故郷などない。追われ、さげすまれて、獣のように生きてきた。
 ジャングルこそ私の故郷だ。世界を支配するのだ。ア、ア、ア、ア」この笑い方、セサミのカウントそのもの
大ダコや、ワニに襲われそうになるシーンもスゴイ別撮り。もうちょっと超人らしさが欲しい。

これが1年かかって撮り上げたらしい。予算を使い果たしたり、いろいろたてこんだのよね。
タコの造り物を他から盗んだり。撮りようによっちゃ、このタコも本当のモンスターになるんだもんね。
他のアンゴラセーターをモチーフにした自伝的作品とかも見たい気がする。
ハリウッドの何十億円もかけたセットにも飽きて、こうゆう作品も楽しめるほどファンも余裕ができたってことだね。


『鏡』(1975)
監督・脚本:アンドレイ・タルコフスキー 出演:マルガリータ・テレホク、オレーグ・ヤンコフスキー ほか
相変わらず話の展開は難解だが、子どもの頃の記憶がテーマか? 映像がとにかく美しい。
モノクロとカラーでロシアの大自然を撮り上げた夢と現実が融合(とけあ)ってなんとも懐かしい感じ。
確かタルコフスキーを研究した本があったな。もっと深く理解したい。

草原が波の如く風に吹かれるシーンは絶景。時間経過が分からない。
戦争で親子が離される記録フィルム。子どもの表情が悲しい。
赤ん坊が眠りから覚めるシーンは微笑んでしまう。目覚めたとたん満面の笑みで、まさに神からの贈り物。奇跡だ
主演のテレホワが美しい。作品中、子どもがめくる中世の絵とダブるように。

 「人の体は独房のようだ 角膜を抜けて飛べ 天空へ 氷の車輪の上 小鳥の馬車の上に聞こえるは 7つの海の歌
  魂に肉体なければ 思考する力も 意思も 文字もない 解けない謎のようだ
  誰も踊らぬ広場で 踊りかえってきたのは誰? もう一つの魂を夢に見る 燃えながら 希望に向かって走り去る
  酒の如く 燃え 影もなく 地上を去ってゆく 記念にリラの花束を机に残して
  子等よ悲しむな 胴の輪を廻して遊べ わずか聞こえる足音 陽気に乾いた音を」


『ピエラ 愛の遍歴』(1983)
監督:マルコ・フェレーリ 出演:マルチェロ・マストロヤンニ ほか
マストロヤンニがおさえた演技で脇を固めている。彼もいろんな映画に出てるね。
ソフトな近親相姦というか、奔放な女の挫折を描いている。
女優2人が本当の母娘みたくソックリで熱演。
裸になって抱き合う母娘。よくいえば心から分かり合えてる母娘ってことだね。
娘はとかく母に憧れ、嫉妬する複雑なものだから。母も娘を愛する反面、若さに嫉妬する。まさに心理学の世界。
ラストのワイドに広がる静かで白い波のシーンがキレイ。
ピエラ役の女優もメイクによってだいぶ印象が代わるけど、イタリアらしくないクールビューティだし。
これを母娘で観てたらちょっとキツい(母は10分も見ないでまたうたた寝してたけど


『マージョリーの告白』(1992)
監督:カール・ライナー 出演:カースティ・アレイ、ビル・プルマン ほか
ま、こんなB級ラヴコメディもたまにはあるわな。『ベイビー・トーク』シリーズで顔が売れた女優が主演。
彼女の過剰な演技は、コミカルでちょっと大柄なルックスは魅力的だけど話が邦題そのまんま。


『BLOOD SIMPLE』(1987)
監督:ジョエル・コーエン 出演:ジョン・ゲッツ、フランシス・マクドナルド ほか
なんか観た気がしないでもないんだけど、ヒッチコックの名文句といい、この血生臭い撮り方といい、コーエン兄弟。
確かに一人殺すのもハリウッド調のBANG!で終わるのとは訳が違う。
It's the same old song をBGMに、よくある話だけど実際どれほど苦しみに満ちたものか描いている。
殺人にはいつも女がからんでるってのが基本的。男女関係のもつれによる殺人事件は年間、割合でそうとう占めてるよね。
そこに大金とくれば完璧。夜の暗いシーンが多くて湿っぽいリアルで胸の悪くなる作品リストベスト10に入る。


『アーバン・ハーベスト』(1994)
原作:スティーヴン・キング 監督:ジェイムズ・J.R.ヒコックス
出演:ダニエル・クレニー、ロン・メレンデス ほか
こちらもグチャグチャ系。映画化3度目らしい。1作から観ないと続きものなのかも。
クリアな映像で意表を突く死に方のSFXがスゴイ。S.キングのちょい出演はあったの?分かんなかった。
自然破壊、その他悪の源は大人だ!って定義で、19歳以下を統率して他を抹殺していく。
いい人まで殺さなくてもいいのに。ラストはモンスターになって、逃げ方がウルトラマンのノリ。
合唱団の歌のBGMは'70代サイコホラーがよみがえった感じで好き。
まだまだシリーズは続きそう。


『メフィストの誘い』(1995)
監督:マノエル・デ・オリベイラ 出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジョン・マルコビッチ ほか
とっても宗教的、観念的、哲学的。いまだ魅力が衰えるところを知らないドヌーヴとマルコビッチの共演ならそうならざるを得ない。
ヨーロッパの雰囲気漂う「ファウスト」は有名だよね。こうして抜粋を聞くとなんかおもしろそう。
思想のお話と考えればそう難しくないかも。純粋さの追求。

「思想は言葉遊びで無意味だ。ジョークは好きだ。悪魔を騙せる」
「あなたを強く愛する反面、時々とても憎くなる」
「それは最も強い愛情の形だ」

英語のセリフは作品をオカルト映画にするけど、フランス語になると文芸作品になるから不思議。
なんか音楽の効果音がわざとらしく使われているのが気にかかるけど。


『溝の中の月』(1983)

原作:デヴィッド・クーディス 監督:ジャン・ジャック・ベネックス
出演:ナスターシャ・キンスキージェラール・ドパルデュー、ヴィクトリア・アブリル ほか
もう午前1時。でも観てよかった。ドパルデューはたくさんのイイ作品に恵まれて、イイ演技してるね。
アラン・ドロンのマスクとは大違いだけど、若い美しさがある。キンスキーとの豪華共演。
象徴的な役が多いんだよね。存在そのものが全てを語るから彼女は。

「別世界へ出よ」の看板が窓から何度も見えるのが幻想的。
今この瞬間にも起こっていそうなレイプ事件にも、忘れられない肉親らがいる。港での仕事は危険みたいね。
最下層の暮らしがリアルに描かれる。満月やモノクロに赤い血だけが浮かぶシーン等、幻想的イメージが美しい。
悲しい脚本。全体的に冷たい青と黒い暗闇を基調にした美しい映像があふれてる。

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notes and movies(1996.7~ part3)

2013-07-26 11:14:25 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part2からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『X-FILES SECOND SEASON』
監督:クリス・カーターほか 出演:デイヴィッド・ドゥカヴニー、ジリアン・アンダーソン ほか


【FILE No.215 Fresh Bones】
さて再び捜査開始。後半から泣いても笑っても最終回の13巻まで。このノートつけるのも久しぶりでちょっと戸惑っちゃう。
2人の顔を見るのも再放送の吹き替え以来。9月にはベストビデオが1本3000円の安価で売り出す予定で要チェック。
8巻の最初はゾンビ伝説から。構成、ストーリー、映像、すべてテンション下降は見られず、まあまあミステリーを極めてる。
この少年がなかなかイイ。スカリーもこれからどんどん超自然現象の渦中に巻き込まれていくワケね。おもしろくなりそう。


【FILE No.216 Colony】
どんどんハマっていくぞ。2人が被害者となり、同時に加害者にまで!
ついにモルダーと妹が再会するし! のっぴきならない状態になった。
ラストのドゥキャブニーの表情がなんとも嬉しそう。そろそろ悪役にまわりたがってたんじゃないかしら?
普段スーツでキメてるスカリーのジョギングウェア姿(ちょっとダサい)も必見。
医師らの実験所にあった、まだ生きてる胎児も気になる。こんなに深くハマっちゃっていいの?
スカリー「Trust no one の信念はどうしたの? いつからそんなに人を信じるようになったの?」
モルダー「信じるさ、言わなかったかい?」
妹の出現は度肝を抜かれたね! モルダーの両親も初見だし。マサチューセッツにいるのね。
さて、9巻の展開はいかに? 殺人鬼エイリアンがシュワちゃんの『ターミネーター』ばり。


【FILE No.217 End Game】
ここまできてエイリアンの存在は分かったのにまたスタート地点に戻った感じ。
次のケースにうつるために2人の回復は必要だけど。
やるじゃんスキナー。今まで見て見ぬフリの傍観者を気取ってたけど、やるときゃやる。
超自然現象の存在を疑いながらも信じつつあるスカリー。「でも彼の命を救ったのは科学の力」と科学を捨ててはいない。
彼女の冷静な目がモルダーにはやはり必要。
新型UFOみたいな潜水艦の映像は『謎の物体X』並みの迫力。


【FILE No.218 Fearful Smmetry】
Xファイルはやっぱ夜中に見るとリアルな興奮度が倍増する。ホラーミステリー系は夜の放送が鉄則だ。
いつもタイトルが難解でキマってるけど、今作も関連不明。動物のアブダクトもので宇宙人が絶滅危惧種を救う?
言語を話す猿は実在する。モルダーの結論は「そのうち人も宇宙人に救ってもらう日がくるかも」
彼らはXファイルを観ているかしら?『恐竜家族』を見るノリだろうね
でも、宇宙人はそこまでお人好しかしら?ゴリラが「人は人を救えるか?」なんて
高度な哲学思想を持っているというセリフはイイ。案外わかってないのは人間のほうなのかも。


【FILE No.219 Dod Kalm】
ジョン・サヴェージ 全然予想もしてない大俳優がこんなところに!彼だよね?!
全然老けてない。彼こそ不老のXファイルだよ。SF好きだったのかしら?
今作でまた2人は瀕死の状態に追い込まれる。でも主役を失うわけにはいかない番組は救援を送り、死の淵から救い出す。
老人メイクはスゴイ!幽霊船の不気味さもリアル。
この分だとタイムトラベルの話が出てきてもおかしくない。科学の計算で時の流れまで操れるものか?
それほど軍事力を強化したいかね。アメリカ人は、犠牲者が多いのは罪だけど、最新科学の追求心には頭が下がるよ、まったく。


【FILE No.220 Humbug】
シリーズ中最もユニークな章。2人も半分遊んでる感じ。ちょっとした芸まで見せてくれるし。
様々なフリークスが登場する中でも、『ツインピークス』仲間では代表格の小人さんが出てる。
犯人のクリーチャーもホラー調でスタッフの息抜きって感じで楽しい。
「人を外見で判断するな。君もネクタイの趣味の悪さからFBIみたいだって思ったよ」「実はFBIだ」
スカリーのお子さんは元気?お母さんには見えないけど。
「FUN HOUSE」ではブルース・リー映画みたいに鏡の迷路にハマって見失う。

シャム双生児のエピソードも印象的。
「1人が死んでるのを見たもう1人もしばらくして死んだ。1人目の死因は脳溢血だったが、もう1人は恐怖で死んだんだ。
 自分もすぐに死ぬと待っている気持ちが分かるかい?サーカスには2つのタイプがある。
 奇形を見世物にするタイプと、芸を見せるタイプ。彼らはトリックだ」
スカリーも頭柔らかくなったね。チームワークもバツグン。
彼女をほほえましく見るモルダーの表情もイイ。前作の老化でフルフルふるえる演技といいデヴィッドは芸が細かい。


【FILE No.221 The Caulusari】
こちらは完璧オカルトだ。'70代はこーゆーのでショッキングな旋風を巻き起こしたワケだね。
今じゃ現実世界の暴力のほうがよっぽどリアルで恐いけど。ルーマニアってまだ悪魔祓いとか残ってそう。ドラキュラの故郷だし。
こーゆー撮影にもお祓いが必要かも。だって、『エクソシスト』のリンダ・ブレアのその後とか、
『ポルターガイスト』の少女は亡くなっているし、この少年もこんなに迫真の演技をすると本当にとりつかれちゃうかも?

ポルターガイストや悪魔つきみたいなのは実例があるし、双子の死んだ兄弟ってのがなおのこと恐い。
オカルトはあとあとまでゾゾゾってあとをひくんだよね。スカリーもここまできたらもう否定できないでしょう。
部屋に入って窓が割れるシーンは、このまま劇場向けに放映してもいいほど凝ってる。


【FILE No.222 F.Emasculate】
またまた新顔の伝染病。ちょっと手詰まり状態?
でもスキナーとの反発は増して、回が進むごとに2人の立場は緊迫してヤバくなっていくみたい。
スキナー「友として忠告しておく。背に気をつけろ。オレは忠実に職務をこなしているだけだ」
今作を代表するXファイルの体制反発の姿勢といい、アメリカは本当に内部から病んできているのがヒシヒシ伝わってくる。
「自由の女神がシンボルだった時代は終わったんだ」
これらのメディアが人々の不信感をあおり、疑う目を育てる。
日本人も政治屋を野放しにしておくのを考えてみるべきでは?


【FILE No.223 Soft Light】
ミスターXが大活躍。
彼はどっち側の人間?ディープスロートのほうがちょっとは信用できそうだったけど、あんまり派手に動けば彼の二の舞だし。
残るはあとわずか。わざと13巻目を外してとっておいてきたんだけどね
今回はモルダーがXの存在を知らせてしまった感じ。


【FILE No.224 Our Town】
不覚にも途中で眠ってしまった 0:45って時間もあるんだけど、今作は人肉食がテーマ。
ストーリーを正確にメモれるかどうかちょっと自信なし。今回は政府もミスターXも絡んでこない全くの単独事件。
食欲減退 大量生産食品には何がどうなっているのか過程が分からないだけに不安感が常にある。そこをついてる。


【the secrets of the X-files】
これは単にファイナルへむけての今までの総まとめといったところ。

【FILE No.225 Anasazi】
Xファイルズにサードシーズンあり 12月ビデオ発売。こんな人気シリーズ、終わらせるのはもったいないもんね。
また複数章出してくれるのか? それともファイナルだけか? 最もヤバイ状況のまま冬まで待てなんて、ひどい仕打ち!
モルダーは一体どこへ!? 早くも予告編はあるらしく、さわりだけ見れたけど、
サードシーズンは、1、2よりもっと激しい展開になりそう! きっともうビデオは揃ってるんじゃないのか?

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notes and movies(1996.7~ part4)

2013-07-26 11:14:24 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part3からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『STRANGE DAYS』(1995)

監督:ジェームズ・キャメロン 出演:ラルフ・フェエネス、アンジェラ・バセット、ジュリエット・ルイス ほか
さすがSFを取らせたらキャメロン。戸田奈津子さんの翻訳!
たっぷり2H超えるドラマが全て2000年を迎える1晩前の話って設定も面白い。
そう遠くない今から4年後だから超近未来、現在の姿といってもいくらいで、これだけ毒されている。
みんな武器を所持していないと何が起こるか分かんないって世界。

暴動シーンでは、よくこれだけのエキストラ集めて撮影したね/驚
ちゃんとキャストをモノクロ写真で紹介する方法もイイ。音楽もマッチ。パンク系やラップも
これから空手でも習っておいたほうがイイかも。防犯スプレーを犬にかけるのはNG
ラストはまるで『イナゴの日』の混乱ぶり。世界は一体どーしちゃったわけ?
アンジェラの紙ふぶきにうずもれるストップモーション。
でも警察が一応片を付けてくれてホッとした。アテにならない国もいっぱいあるからね。


『ブルー・イン・ザ・フェイス』(1995)

監督:ウェイン・ワン 出演:ハーベイ・カイテル、ルー・リード、マイケル・J.フォックス、ジム・ジャームッシュ、マドンナ ほか
これこそ娯楽を追求した映画そのもの。ハイセンスなユーモアと情感でブルックリンを称える賛歌。
カイテルの魅力が最大限に生かされている。出演者みんな素晴らしい!

ルー・リードから始まる「ニューヨーカーってのは、ズルズル住みついてる連中だ。オレもそろそろ35年、出てもいい頃だ。
子どもの思い出は悪いことばかりで忘れた。眼鏡のフレームはオレの未来だ」
ラストのキメもカッコイイロックは新曲? ますます元気で、こんなジョークをいえるほど丸くなったのね。

マイケルのブっ飛んだ天才青年はサイコー!くだらん質問が次から次へ飛び出す。楽しんでいるのがイイ。
高枝切りバサミみたいなものにハマってるおじさんもサイコー!
いろんな人種が寄り集まって何でもありの界隈。だけど皆この町を愛してる。油断もスキもない親友って感じに。
ラストは温かい。店を継ぐ話も現代のおとぎ話風で心がほんわか温まる。


『9か月』(1995)
監督:クリス・コロンバス 出演:ヒュー・グラント、ジュリアン・ムーア、ロビン・ウィリアムズ ほか
音楽:♪The time of your life、♪These are the days(V.モリソン)、♪Let's get it on、
♪Baby I love you(ザ・ロネッツ)、♪Turn back the hands of time(タイロン・デヴィッド)、♪19th nervous breakdown(ストーンズ)

『モーリス』のイメージに留まらず『フォー・ウェディング』以来コメディ演技で一躍ハリウッドスターの仲間入りのグラント。
スノッブな英国人タイプを利用してつっかかる早口な喋りとハンサムなルックスのアンバランスさがスタイル。
ルーティンのドタバタ喜劇でロシア人産婦人科医のロビンが笑わせる。

サントラもイイ
♪Be My Baby とほぼ同じノリのロネッツの曲もwall of sound が効いてる。
V.モリソンのバラードは暖炉の炎と寄り添うカップルのダンスタイムにピッタリだね。
『N.Y.の迷子たち』のジョン・キューザックほか助演もイイ。

「親になる試験はない」誰でもなれるからこそ、本当はとっても責任あるドタバタの出来事なんだね。
ラストに流れるたくさんの赤ん坊時代の写真
彼らも反抗期には「親なんかクソッタレだ」って一度は思ったに違いない。親の心子知らずか。


『テキサスの風』(1992)
監督:マイケル・リンジー・ホッグ 出演:フレデリック・フォレスト、ブラッド・デイヴィス ほか
今までフシギな映画はいろいろあったけど、今作の独特の雰囲気はまた違ってる。
このテクノロジーの時代から一気に'35に飛んで、まるで観客を必要とせず本当にタイムトリップしたよう。
舞台向き、文学的、フォレストが久々演技の見せどころで、全然変わらぬ姿にファンとしは嬉しいかぎり。
テキサスって土地柄もあるけど、とにかくストレートだったのね。何もかも。
くさいドラマを地でやったようなもの。今じゃテレビの世界。でもこの不幸のどん底な状況はノンストップで追いつけないくらい。
難解なのは原作か?監督の仕業か? んーーーやっぱりフシギだ。原作読めば合点するかも?
ハートンって作家? ジュニアが出演しているみたいだけど子どもかしら?共演陣もしっかり固めている。


『キャリントン』(1995)

原作:マイケル・ハロイド『LYTTON STRACHEY』
監督:クリストファー・ハンプトン 出演:エマ・トンプソン、ジョナサン・プライス ほか
なんて切ない話だ。本気で誰かを愛するって大きな喜びと悲痛な苦しみの背中合わせ。
J.プライスには驚いた。『未来世紀ブラジル』とは180度の転換。
だんなと別れてフリーになったらしい新しいエマの体当たり演技とともに今年のベスト10入り。
ラスト、作品中にも出てくる本当の絵が紹介される。自伝そのもののテーマばかり。
こんな画家もいたのかと制作者ほかスタッフに感謝。


『セブン』(1995)

監督:デビッド・フィンチャー 出演:ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン、グウィネス・パルトロウ ほか
結構おもしろいじゃん。噂で『羊たちの沈黙』のほうがイイとか、ブラピのファンは期待ハズレだとか、
猟奇殺人ものがどんどんエスカレートして、観る客もちょっとじゃ驚かなくなってる。
Why the world gone wrong so? D.ボウイの乾いたラジオみたいな音楽とコラージュ的な最初の映像が凝ってる。
「日常の狂気」か。ラストの啓示のセリフが効いてる。
「ヘミングウェイいわく“この世は素晴らしい。戦う価値がある”後の行に賛成だ」
「オレは選ばれた。仕事を楽しむのは普通だ。人々は永遠に教訓とするだろう」
「ワイドショーにネタを提供して2週間で忘れられるさ」のほうが信じられるね。
しかし神さまはこんなこと望みやしないよ。


『ショウ・ガール』(1995)
監督:ポール・バーボーベン 出演:エリザベス・バークレー、カイル・マクラクラン ほか
ここまでくるとソフトポルノ。特別コーナーにいってもよさそうだけど、
ヴェガスのショービジネスの裏側を描いたんだからそうはならない。一応R指定。
裸が氾濫しててあまり過激に誇張されるとイヤらしさよりやっぱショーなんだな。
この男社会に野望を抱いて成功し、一発ケリを入れるまで。色、欲、野心、イジメ、ドタバタな世界。
ノエミことバークレーの激演に注目。

玄米と野菜の食事、犬の缶詰めまで食べて、モデル業界とかみんなイッちゃってるよ
コカイン吸いまくりだし。『ツイン・ピークス』で人気爆発したカイル。その後も順調。
『Xファイル』が完了したらドゥキャブニーもこんな過激な作品に出るかね。
整形手術の技か否か、とにかく完璧、美の俳優らのレズっぽいシーンもとにかく美しい!のひと言。


『ルナティック・ラブ』(1992)
監督:アンドリュー・バーキン 出演:シャルロット・ゲンズブール、アンドリュー・ロバートソン ほか
近親相姦というショッキングなテーマだけど、薄暗い湿り気は全くないむしろとってもピュアで自然そのものの美しさをたたえた作品。
永遠のロリータ、J.バーキンファミリーが総結集。シャルロットも20代とは思えない純真な魅力を失っていない。
オーディションによる初出演のロバートンは『ヴェニスの商人』の少年に似た、女性的美しさ。
親がいないと保護するものがなくなり不安と寂しさがあるけど、
子どもだけの自然体な世界はより自由で平和で美しいものになり得る。
無知であっても互いに補える関係。罪悪感を感じるのはいつも罪を犯す大人から教え込まれるものだ。
トムが大きくなったら「遠い声 遠い部屋」の主人公みたくなるのかしら? ま、それもひとつの生き方。


『無伴奏「シャコンヌ」』(1994)
監督:シャルリー・ヴァン・ダム 出演:リシャール・ベリ ほか
このこだわりよう、タルコフスキーを思わせる。ここまでつきつめると音楽もひとつの“生きる糧”。
音色を魂の叫び、相手の魂へ響かせる究極のものにするのに彼がメトロを選んだのはなぜか?
うなだれた人々はその魂の音色に勇気を得て、地上へと上がってゆく。このライトの使い方が感動的。
船でトンネルを行くイメージ映像、自然のありのままの美しさ、この曲聴き覚えがあるけど、なんて曲かな?
クラシックは難解なイメージがあるけど、昔の作曲家はなんてことない生きる根本的な愛だの、
自然の美しさや哀しみだのを音符につづっていたんだよね。
彼はこのあとどうしたのかな? ストリートパフォーマーにでもなったかしら?とにかく演奏シーンに力入っている。

こんな時になんだけど「エースをねらえ」でコーチを失って、どん底から這い上がろうとするヒロインと僧になった親友のことを思い出した。
「テニスなんて、なんてことないものだ。しかし時にそのなんでもないものが生きてゆく理由になる」この境地だよね。
メトロには生きたアーティストが隠れてるんだな。アコーディオンの音も温かい

「彼は無心で弾いているのよ」
批評に高められる名プレーヤーと観客の関係は時に金と名声、
プレッシャーがからんで真に音楽を楽しむことのない無機質なものになるってメッセージ。


『ネメシス』(1992)
監督:アルバート・ビュン 出演:オリバー・グラナー ほか
なぜ近未来ものはどれも無機質でこんなに乾いてるのかな。
アクションものはどれも個がなくて、一人ひとりの人格もなければ命の価値もないに等しい。
今作はとにかくgun, gun, gun!!! やっぱ『ターミネーター』は越えられない。あれには愛が通ってたもの。
妙に中途半端なラストで続編に続くワケで、この先2人がどう世直しにとりかかったか、サイボーグ界のドンが誰かは気になる。
女性が機械の体を得て、よりパワフルに、男同様、それ以上の強さを持ったってアイデアは気に入ったけど、売春や立場はちっとも変わってないじゃん。
あとは延々の追いかけっこ。野を越え、川越え、こんなシーン、環境保護団体が黙っちゃいないよ。
いつも木をドンパチ傷つけ倒してたら2027年には森と川なんかないぞ
オリバーほか本当に機械じみた俳優総出演で、クールなマッチョぶりを披露。
その前のアクション映画の長々とした宣伝でも分かるとおり、アクションフリークのための1本って感じ。

コメント

notes and movies(1996.7~ part5)

2013-07-26 11:14:23 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part4からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『リアリティ・バイツ』(1994)
監督:ベン・スティラー 出演:ウィノナ・ライダー ほか
ま、ストレートな恋愛ものだね。
ジェネレーションX世代でこんなフツーの恋ができない女の子の話を今度撮ってくれないかな。ハッピーエンドなしで。
ウィノナみたくキュートならBFに困らない。バサバサの髪に、ヨレヨレシャツ、ダボダボパンツでいても
白く透き通った肌とパッチリ眼は女優そのもの。ドドダダドッダダってこの音楽確かあのバンドの。じっくり聴いてみたい。

戦争の厳しさも知らず、自由を謳歌したビート世代でもなく、全て揃ってても、うかつに他人を信用できない、
危険でハイテクな世界に生まれた私たちの世代。
ボーーーーーーーっとしてても生活には困らないし、そうそう頭を使わなくても生きていける。
目標を立てようにも、みんな道を究めちゃってる人たちがすでにいて「さあ、あなたは何ができる?」
大人たちだって、この年代はそうそうたいしたこともせずに、ただ年を重ねてただろうに、少し物知りになって世渡りが上手くなっただけ。
この波長の狂った世界でこれ以降の世代は一体どーなるのかしら? MTVスタイルの撮り方。


『マチネー』(1993)

監督:ジョー・ダンテ 出演:ジョン・グッドマン ほか
サイコー 蟻と男が合体した、その名もズバリ“MANT”はエド・ウッドのノリだけど、クラシックホラーファンにはたまらない。
「彼らは未来の予告編を見たのさ」まだ時間が穏やかだった'60前半、嵐の前の時代。
やっぱりグッドマンのキャラクターあっての快作。イイ俳優だねえ!
「ロシア人も人間。差別はよくない。頭を抱えてても爆弾は避けられない」

“Keep your eyes open, in scary scenes”
ラストのセリフが『ホテル・ニューハンプシャー』を思わせる。

彼のたとえ話もイイ。
「古代の人間は戦ったマンモスを壁に描いて怖いだろ~~~、これがホラー映画の始まりだ。皆が出てきてホッとした顔がイイ」
「大人は子どもと同じくらいにしか分かっちゃいないのさ。それが分かったらお前の人生は順調だ」

ヒッチコックばりに葉巻をくわえて渋いスピーチをする、この雰囲気はグッドマンならでは。
美しい海岸に少年と少女がたわむれる上でごっついヘリが編隊で飛んでいくシーンは比喩的。
Lion sleeps tonight でほっとさせる効果もバツグン!


『いとこ同志』(1959)
監督:クロード・シャブロル 出演:ジェラール・ブラン ほか
「金熊賞」て名はすごい。熊のブロンズでもくれるのかな。私は今作に今年度の“あっけないで賞”をあげよう。
「銃をおもちゃにしない」という訓示。'50のパリの学生の等身大が描かれて、あまり日本と違わない。
人を呪わば穴ふたつってところか? とことんママっ子で、道を外すのが怖く、罪悪感が強く、自信がない。
こーゆータイプが思いつめる先は「破滅」。ブランが繊細で心優しい悩める青年役で表情がジミー・ディーンに似てる。
一方アクの強いブリアリも味のあるキャラクター。ワーグナーが全編に流れる。


『FORMULA FOR DEATH LEVEL 4』(1995)
原作:ロビン・クック『アウトブレイク』 監督:アーマンド・マストロヤンニ
出演:ウィリアム・ディヴァイン、ウィリアム・アザートン ほか
そういや「エボラ出血熱」はどこにいったんだろ? 「O-157」は夏の暑さとともに消えたのかしら?
エイズが史上最強のウイルスかと思いきや「密林には数千種類の凶悪なウイルスが存在し、自然の防衛手段として人間から守っている」
なるほど自然界にゃ勝てないよ。解明を重ねても相手が自然じゃ。

しかしウイルスで殺人とは、Xファイル系の犯罪。あの管理を見れば決して不可能じゃない。
から感染って筋がイメージとして強いね、エイズも。
ロビン・ウィリアムスがスタンンダップコメディのジョークで
「キミたちは街で楽しんでこいよ、オレはここでいいから!」てやつを思い出しちゃう。
2週間で死んじゃうなんてエイズより容赦ないウイルスに感染してるなんて言われたら冗談どころじゃないけど。
今作よりヒットしたD.ホフマン主演の『アウトブレイク』もあり、今作のほうがより原作に忠実らしい。
W.アザートンがちょっと太ったけど元気でなにより。


『南京の基督』(1995)

原作:芥川龍之介 監督:トニー・オウ 出演:レオン・カーフェイ、富田靖子 ほか
期待通りの秀作。1つは狂気漂う芥川の原作の素晴らしさ、もう1つは今をときめくレオンを岡川役、
若手演技派の富田靖子と合わせたキャストの勝利。
途中スローモーションとストップをかけ、映像美に酔わせる効果もイイ。
全ては貧困が要因だ。親が娘を生計のために喜んで娼館に売るなんてここまで心をすさませるのは!
キリストと張り合おうとする男なんて悲劇。自叙伝的な要素ありか?

「春がくればいいのに。日本は暖かい? ここは寒いわ」

「人生の戦いに敗れたら自殺するべし、が父のように他人を苦しめることを避けよ」て遺書は究極の哲学だね。
レンタル屋には日本語吹き替えのみ。富田は自分の声をやり、カーフェイの声は宮田?って苦肉の策。
カーフェイは日本語を喋っていたのかしら? 富田はセリフにそうとう苦心したらしい。
オールヌードでの挑戦。それだけの文学的価値があるからね。
ここにきて改めて思うのは宗教は本当に人を幸福にするかってこと。大きな疑問。
極貧でも耐え抜く力は信じる心にあるだろうけど、
「誰か知らぬ間に首を絞めて殺してくれるものはいないだろうか」という淡々とした悲痛なセリフが印象的。


『ハート・オブ・ジャスティス』(1992)
監督:ブルーノ・バレト 出演:ジェニファー・コネリー、エリック・ストルツ、デニス・ホッパー ほか
キャスティングも文句なし。宣伝コピーもすごいおもしろくできてるアイデアはイイのに、コピー以上のものがない。
コネリー、ホッパー、ストルツの3大スターを迎えたら、もっと深いものが撮れそうなのに。きっと80分じゃ描ききれなかったのね。
結局謎の女エマは男好きでしかなかったってワケ? ブレアも女好き。
そこにはなんの大きなミステリーはなく、単に記者は裁判を避けようとした女の簡単な色仕掛けにハマっただけ?
ま、とにかくこの3人の共演は楽しかった。
ジェニファーは黒の下着で挑発してセクシーなことは確かだけど、パンストの色が変わっただけで
やっぱり『ラビリンス』の頃と変わらない純粋な美しいイメージがある。
さすがモデル系。スタイル、ルックスの上品さが違うもんね。これじゃ弟でも参っちゃうよ。
しかし金持ちはモノに不自由しなくていいね。ヒマをもてあまして「遊ぶのに飽きた」って言える身分になってみたいよ。


『コンタクト・キラー』(1990)
監督:アキ・カウリスマキ 出演:ジャン・ピエール・レオ ほか
音楽:♪TIME ON MY HAND、BODY AND SOUL/BILLY HOLDAY、♪BURNINGU LIGHT/JOE STRUMMER、
♪NEED YOUR LOVE SO BAD、MY NERVOUS、YOUNG GIRL、SUFFERING WITH THE BLUES、I'M STICKING WITH YOU BABY/LITTLE WILLIE JOHN、
♪TROUBLE AT MIDNIGHT/ROY BROWN

いいねえ、こーゆー渋さ。あまり変わらず、むしろ不気味なレオが英語喋ってるし、
このスタッフも英語圏っじゃないから映画自体たどたどしくて独特の感覚。
一応撮影はロンドン。いつも渋いブルースが鳴ってる。ヒットマンも『レオン』みたく人生背負ってるところがイイ。

ホテルオーナーの「フロントは皆うすバカだと思ってるだろ?」の1カットが嬉しい。
2人組の強盗が「人生は楽しいぜ。鳥や花を美しいと思わないのか? オレたちにゃ仕事はないが結構幸せだ」なんてセリフも笑える。
始終渋くてクールな表情(前からのスタイルだけど)のレオ。トリュフォー死後より変わり者度がアップしてたみたいだけど、
今やパパ。少しは丸くなったらしいが、今でもイタズラ者って感じはやっぱ変わってなくてファンには嬉しい。

If your life is blue, don't hired a contact killer, coz maby it'll change into good.


『ヘンリエッタに降る星』(1995)
監督:ジェーウズ・キーチ 出演:ロバート・デュヴァル ほか
クリント・イーストウッドが好みそうな西部劇調の穏やかな時間が流れる作品。
終始作品を引っ張るのはベテラン中のベテラン。R.デュバルと猫
彼女がよくなついてるんだよね。それもごく自然に。
'35という大不況時代、産業もなく、仕事も、金もなく、あるのは自然の恵みの油田とそれに賭ける人々の夢。
広々とした土地に一面星の空、流れ星がいくシーンは美しい


『コンゴ』(1995)
監督:フランク・マーシャル 出演:ディラン・ウォルシュ、ローラ・リニー、ティム・カリー ほか
『インディ・ジョーンズ』ばりのジャングルへの宝探しの冒険ドラマ。
しかし機関銃にワンタッチテント、レーザー光線銃ほか近代武器・装備で固めた自然破壊しまくり。
ゴリラ1匹自然回帰させるのに同種を虐殺してるんじゃヒトはもうジャングルの仲間には戻れないね。
秘境や幽霊族の雰囲気はよく出てる。言葉を話す猿エイミーは、どうも人工っぽいけど、
動物とのコミュニケーションは夢じゃなくなる時代がきたというのはエキサイティング。

動く温体動物に自動発射する銃なんてスゴイよ、ほんと。
火山が噴火し、溶岩、地割れ、ゴリラから脱走するシーンは大迫力。気球が漂うラストシーンも美しい。
近頃はヒゲがトレードマークで男っぽいイメージ?のティム・カリー。映画出演が増えて嬉しい。
自然の破壊力に比べたらヒトの抵抗なんて及ばない。
同じ地球にこんなにヒトを寄せ付けない自然がまだ存在しているのは頼もしいかぎり。


『香港デラックス』(1993)
監督:ジャッキー・バン 出演:レオン・カーフェイ、カリーナ・ラウ ほか
香港映画ってほんとに娯楽性、エンタテイメントを知り尽くしてる。
特に最近はカンフー系の湿っぽさからハリウッド系の映像の美しさ、垢抜けたっていうか
アジアのみならず、レオンほか欧米受けするスターをひっさげて、芸術味の深みも加わり、これからも眼が離せない。

警官もカンフーを習うの? テンポの速いアクションはカンフー映画のノリ。
なぜかラストは軽いコメディのチャラチャンチャンって感じで終劇。「the end」ってちゃんと英語圏を意識した作り。
カーフェイは自信たっぷりに女性をくどくプロの詐欺師もなかなかハマってる。
監督の娘のBFで、デビュー作にして香港の賞をとったという『西太后』のエピソードにしても、
どことなく謎と危険な罠がありそうなノリにノってる注目俳優。

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notes and movies(1996.7~ part6)

2013-07-26 11:14:22 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part5からのつづきで、このノートのラスト。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『探偵 スルース』(1972)

監督:ジョセフ・L・マンキーウィッツ 出演:ローレンス・オリヴィエ、マイケル・ケイン ほか
ミステリーもイイね。秋の夜長を一人で過ごす方法に。
この完璧に張り巡らされた罠、また罠に、観客は何度も騙される。
作家のアイデアと2大俳優の実力、そして映画そのもののトリックによって。

マイロの仕掛ける「証拠品探しなぞなぞゲーム」は、クイズオタク級でおもしろい。
一晩の間にこれだけのトリックを考え出すのは困難だと思うけど、そこはフィクション。
女一人のために命を懸けたゲームは勝負なし。ここにホームズがいたら?なんて想像するとより楽しい。
彼ならスラスラと裏を読んで謎を問いて先手を打つかも。


『月夜の願い』(1993)
監督:ピーター・チャン 出演:トニー・レオンレオン・カーファイ ほか
立ち見のヒット作になったのも納得。主演2人の豪華共演と脇を固める俳優も素晴らしく、
日本の夏の風景にも似たなんとも懐かしい郷愁に包まれる。
親を敬う中国らしい温かさと、驚くアイデアがつまった感動ファンタジー。

契約書を取り戻そうと、インド人や給女に扮するシーンも笑えるw
おさげ姿のカーフェイは『ラ・マン』のイメージとは180度別! ほんとイイ役者なんだね。
ファンタジーなのに現実との境目があやふやゴチャマゼがおもしろい。
ラストのメッセージ「過去を忘れてしまった人たちへ」「今を大切にすれば10年、20年後も心配ない」
記念写真でわざとハエをたたくふりして顔を隠すシーンもイイ。
そいや今作はWレオンとして話題になったんだっけ。テレビのインタビューに出てたの見たかも。
泣けて、笑えて、感動の1作。


『ジキル博士はミス・ハイド』(1995)
監督:デビッド・F・プライス 出演:ショーン・ヤング ほか
これぞハリウッド式。ウケれば何でもOK!なコメディ。
主演はどこかで観たと思ったら、なんと『Made in Heaven』でシリアスな芸術青年を演じてたケビン・イエーガー
あの頃はもうちょっと細身でエドベリ系ハンサムだったのがシェイプアップのマッチョ型になって、しかもド派手な女装を披露。
ヒットのためならなんのその、大作大役の前にはこんな赤っ恥も必要。
ヤングのコケティッシュなセクシーさが生きてる。変身シーンは『マスク』に似てる。
社長役はD.エイクロイド風にいかにもボケ役にハマってるのがイイ。
ラストに流れる軽快ノリノリのテーマソングもナイス
時にはこーゆースッコーーーンと抜けた映画も娯楽で肩の力がぬけていいもんです。


『友だちのうちはどこ?』(1987)

監督:アッバス・キアロスタミ 出演:ババク・アハマッドプール、アハマッド・アハマドプール、ボダバフシュ・デファイ ほか
なんともいえない緊迫感。観客も一気に子どもの視点に還らせる演出?
怒られて泣くシーンは本当?「子どもは殴ってしつけるもの」と当然のごとく説く大人
貧しく教育が行き届かず、仕事もない環境が子どもに与える影響、
成長して変わらぬ大人になる深刻さ、ほかいろいろ考えさせられる、『にんじん』みたい。

「問題は大人のいうことを早くやる躾なんだ。イラン人が外国人の半分の給料なのは“2度言われないとやらない”から」
「行儀のいい子はどうする?」「理由を見つけて、週に4回は殴るんだ」

一人暮らしの老人があんなに急な坂や階段をのぼるなんて大変。
家に着いても食事もとらず、強風に開いた戸もそのまま。机もなく隙間風ピューピュー。昔は日本もきっとこうだったのね。

「ポシェカからか?」「はい」「本当に?」「いいえ」てのが可愛い。嘘つけない生き物なんだよね、子どもって。
この純粋な良心はどこに失くしちゃうのかな?
こんなにシンプルでピュアで感動的なイラン映画に拍手!
同じ茶色のズボンが他人のだったりするフェイントも悲しかった。


『新・アウター・リミッツ』(1995)
監督:スチュアート・ギラード 出演:ボー・ブリッジス ほか
『アメイジング・ストーリー』系の作品。テレビシリーズの映画版かな。
奇想天外なアイデアとなさそでありそに見せるリアルなSFX。
ちょっとアニメがまじっててチャッチイところもあったけどご愛嬌。キャラクターの不気味さで十分カバー。
火星の砂から発見された卵から知的生命体、しかもなんでも襲う怖い殺傷力を持ってるなんてXファイルな話にドキドキする。
マッドサイエンティストを演じるブリッジスが一番怖いかも。タモリより渋いナレーターの案内付き。
アマゾンの深い森の中にもこんな得体の知れないのはウヨウヨいるだろうね。
サイモンが憑かれたように受賞スピーチを繰り返して言うのがより怖さを盛り上げてる。
「家族より崇拝を求め、神の領域に侵入した者」には破滅が待ってる。とのナレーターの教訓。


『若草物語』(1994)

監督:ジリアン・アームストロング 出演:ウィノナ・ライダー、ガブリエル・バーン ほか
この原作を読んで感動したのはいつだったか。どんなに感動しても、いつか記憶は薄れてしまう。
でもやっぱり人の心をつかむのは、書く側も精魂込めてなきゃ他人を感動させることはできない。
今作は原作を新鮮によみがえらせただけじゃやなく、マーチ家のその後の物語りもハッピーエンディングで飾り、
懐かしさと温かい感動で締めくくっている。
それぞれ個性の違うキャラクターを演じるキャスティングはピッタリ。
『秘密の花園』ほか名作を現代に生き返らせる映像で読む文学、絵画というのも映画ならでは。


『グスコーブドリの伝記』(1994)

原作:宮沢賢治 監督:中村隆太郎
生誕百周年を記念した多数の催し、映画が公開されている中での今作。
原作は数ページものだが、よりリアルにイメージをふくらませてアニメーションでの素朴なタッチの絵と
幻想的シーンを加え、まさに賢治のエッセンスが詰め込まれた感動の一作に仕上がっている。

個人より皆の幸せのために命を捧げるという仏教の信念を反映していると同時に、
妹との別れは自伝にも通じるものがあって涙を誘わずにはいられない。
今の便利で平穏な暮らしがあるのは、人々のために研究や改良に苦心した人たちのおかげだと改めて感謝。


『プリシラ』(1994)

監督:ステファン・エリオット 出演:テレンス・スタンプ、ガイ・ピアース ほか
ドラッグ・クイーン3人の運試しロードムーヴィ。こんな作品が東の果ての日本でも特別驚かずに
公平な評価を受けているのも牛歩の歩みながら、性は解放されつつあるってことだね。
でも改めてオカマさんって女性の味方か敵か分からない。その区別さえ越えたハイソサエティな存在かも。
この3人の俳優が演技か否か、やっぱり気になっちゃう。個性はあるけど、やっぱティム・カリーにはかなわないでしょ!

「女のほうがよっぽど対応が柔軟で強い」って言ってたけど、言えてるかも。忍耐力ってゆう強さなら。
I've been to Paradice~て歌、歌詞を初めて知ってこんなヘヴィな歌だったのね
その他のナンバーをド派手なコスチュームでパフォーマンスし、しばし非現実的な世界へトリップさせてくれるショーはとってもキレイ。
ラストの黒人歌手は女?男? 分かんなくなっちゃう。
クイーンが求めているのは、もしかして以前の古風な女性像じゃないかな。
力強い紳士を待って、結婚して、子どもを持つのが夢なら、女性の社会的自立には逆行してる。
中性化って意味なら喜んで受け入れるけど。単に自由選択ってことかな?


『スカーレット・レター』(1995)

監督:ローランド・ジョフイ 出演:デミ・ムーア、ゲイリー・オールドマンロバート・デュヴァル ほか
最初『風と共に去りぬ』の関連と間違えたりしてピンとこなかったけど、『緋文字』の映画化。
短大で勧めるのもうなづける、これはストーリーといい、女性自立のテーマといい、素晴らしい名作。原作も読みたい。
結婚・出産を超えて、自由な女性役にデミは適役。G.オールドマン、R.デュヴァル等、個性ある役者が揃った。
またひとつ文芸超大作が映像美によってよみがえった。

口のきけぬ女中が密通の間に湯を浴びるシーンが官能的で美しい。
「愛と憎しみは紙一重ね。飼い慣らされる前に新しい世界へ行くわ」
「神の眼には誰が罪と映るかそうでないか、誰にも分からない」
「神のご加護を。あなたはすでに守られている」
女が考えを言うことが魔女として迫害された時代。吊し首はなくても、現代も女性の向上、進歩の歩みは遅く、難しい。


『サイバー・コンパニオン』(1994)

監督:ブルース・フェルダー 出演:キャスリン・ハロルド ほか
これは単なるB級SFというより、眉村卓さんの「わがセクサロイド」なみに奥が深い。
このままハイテク化とロボット技術が進歩したら、人の夢はやはり人ソックリに動いて喋り、
命令できるサイボーグ、そして愛情まで注いでくれたら・・・

そんな心の隅間に入り込み、それに限りなく近いもの~自ら学び、選択するようになったけれども、
結局、感情は人間のもので、機械に過信し、溺れた人の負けってことかな?
完璧な幸福観がとんでもない恐怖に変わる演出は見事。
ブルースの熱いロボット演技は鬼気迫る!

統制のきかないロボットは懲りたろうけど、永遠に裏切らず、いつも優しく愉しませてくれる人なんて、生身では難しい。
自分も傷ついて、それでも互いに努力して、それなりに妥協するしかないんだな。
完璧ハッピーエンディングなのはロマンス小説の中の恋人たちだけ。
でも、なんでもありの世の中でロボットとの交際、市民権を得る運動がおきる時代もきたりして。
エネルギーが切れちゃった時が悲しいな。すでに機械としか交流できない人はいるもの
すると『ネメシス』状態になっちゃうか。主従関係は保たなきゃ。そりゃ難題だ。て、まだSFの話。


【読書感想メモ】
「ぼくの伯父さんの休暇」原案・映画:JACQUES TATI 著:JEAN-CLAUDE CARRIERE


「ゾマーさんのこと」パトリック・ジュースキント著


【イベントメモ】
「入笠山登山、清里スキー場」with みーちゃん、家族
「鎌倉ハイキング」建長寺、瑞泉寺庭園

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『ぼくの伯父さんは、のんきな郵便屋さん』(平凡社)

2013-07-26 10:48:52 | 
『ぼくの伯父さんは、のんきな郵便屋さん』(平凡社)
ジャック・タチ/原作 沼田元氣/訳

大好きなタチの本を図書館巡りで見つけて、早速借りてみた
まず、物語りに合わせて切手をデザインした表紙がステキ。まえがきには、エアメールの模様がついてるし。
とぼけた叔父さんフランソワは映画の中のタチそっくり。
カラフルで楽しい色使いのイラストも映画の絵コンテを見ているよう。
実際、これは映画化されているから、もしかしたら観たかなあ???
どのみち思い出せないから、こんど探して観てみたい!



【内容抜粋メモ】

▼まえがき
少し前までは、私たちの生活には、ケータイやメールはありませんでした。
50年ほど前までは各家に電話すらありませんでした。
郵便局は、情報のない村にとってのひとつのメディアでもありました。

いまやスピードを要求され、郵便というシステムも経済のためだけにあるべきと云っているかのようです。
しかしぼくは、ある種、郵便は、芸術や哲学、宗教の一分野として発達してほしいと思うのです。

▼あらすじ
サン・セヴェールというフランスの小さな村に待ちに待ったお祭りの移動遊園地がやって来た!
郵便配達人のフランソワは、とてものんびり屋だが、小さなテント小屋で上映されているアメリカの郵便配達の記録映画を観てビックリ!
小型回転翼飛行機で飛び回り、パラシュートで飛び降り、オートバイで燃えさかる炎を通り抜けて配達している(どこだよ!?
観客はフランソワを見て笑い「おまえさんは、いつからアメリカ式の配達をやるんだい?」と言ったことにとても傷つく。
彼には急いで配達することが“いいこと”だなんて考えもしなかったから。

 

翌日、フランソワはお祭りの興行師に言われた通り曲芸のような乗り方で自慢の自転車に乗って、
ハイスピードで配達に出かける。


トラックの後ろに自転車を付けて、荷台を机にして消印を押したりw


馬の尾に手紙を挟んでいったりw

「受取証!早くちょうだいシブムクレ!」と催促したり(ほんとはシルブプレ/爆


坂道を勝手に走っていってしまった自転車を慌てて追いかけたり、
白ヤギさんに電報を食べられちゃったり!


眼をつむって配達して、マダム・ピンソンに別の人の手紙を渡したり、


道路工事の雑草を燃やしている炎の上を走ったり

 
筋肉ムキムキな自転車競走レースの選手と張り合って、自転車ごと踏切棒に持ち上げられたり、

 
そんなフランソワを見て、村の人々はあっけにとられるやら、声援を送る人たちもいる。

“なにしろフランス人は、人生を楽しむ天才です。
 たとえ目的を忘れても、目的を失ったとしても、生きていること自体を楽しみ、
 今を生きることが一番大事だというラテン的な考えなのです。”


とうとうフランソワは、川へとドブン
年老いた農夫が、年老いた馬にまかせてゆっくりと通り過ぎながら
「おい、おまえさん、ダイジョウブかい? もしわしの荷馬車に乗りたきゃ、早くそこから上がっておいで」と声をかけた

フランソワは夢から醒め、自分の失敗にちょっと可笑しくなった。
アクロバティックな芸当はアメリカ人にまかせて、自分はまたフランスの田舎のリズムで仕事をしよう。
静かで、穏やかで、のんびりとした平和な配達。
これこそ、アメリカ人のマネできないフランソワ式の郵便配達じゃあないかって。

「祭りの日」は、どんな人のもとにも興奮とともにやってきて、興奮がさめた後には、
必ずや何か切なさをともなった幸運を置いていってくれるといいます。
郵便配達は、もう二度と失敗しないだろう。そしてずっと、のんびりと暮らすだろう。


********************************


まさに「優劣」を気にして無用な「競争」をして無理をしている様子が可笑しみを生んでいる。
タチの映画には、こうゆう「お祭り」的要素があるな、たしかに。で、映画が終わるとちょっと切なくなる。



解説メモ
日本での今作のタイトルは「のんき大将・脱線の巻」でした。
タチは、ミュージックホール出身の喜劇役者で、映画監督

本作でタチは、けして「道徳」や「教訓」ではなく、
ある種のものの見方、それを面白がることを伝えたかったのだと思う。

人生を愉しむためにのんびり暮らすフランス式も、
お金持ちになるため、成功するために忙しく働くアメリカ式も、時間を浪費していません
けれども、アメリカ人の「成功=幸福」というスローガンで、堕落しかかったことを危惧した。

アメリカ式の価値観は、「貧乏は悪」で、成功物語がもてはやされた。
アメリカ式の「能率」は「生産を高めること」「お金持ちになること」に関係するが、
「人生を高めること」「幸福」とは全く関係ない。

映画のロケ地、サン・セヴェール村では1年もの間滞在した。村人も大勢出演した。
村人にはお金がなかったが、欲しがりもしなかった。必要なものは全て揃っていたからかもしれない。

タチの映画の原点となる「すでにそこにあるユーモア=幸福」を発見し、長編第一作が完成した。
人をバカにしたり、こき下ろしたようなテレビ的下品さではなく、
すべてがクールな「お遊び時間(プレイタイム)=人生」につながっている。
たとえ他人が自分のことを笑っても、自分にあるささやかなユーモアに他人が気づいただけだと思うと腹が立たない。

「映画が撮影された村」というくくりをはずしたら、中世からそのまま残された場所ということで誰も気に留めない場所。
でも逆に、村という存在の中から映画が生まれたといえる。

幸せは作り出すものじゃない、すでに、いつもそこにあるものだと云っているかのようだ。


訳者略歴メモ/沼田元氣
メールアーティスト タチの親友・共同脚本家のJ.ラグランジュ氏や、
タチの映画ポスターのデザイナー・イラストレーターのP.エテックス氏()に会って話を聞き、
タチの娘・映像作家のソフィー・タチシェフさんに村を案内してもらった。
著書『ぼくの伯父さんの喫茶店学入門』ほかも面白そう!

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名著複刻日本児童文学館 第1集 『一房の葡萄』(ほるぷ出版)

2013-07-26 10:30:15 | 
名著複刻日本児童文学館 第1集 『一房の葡萄』(ほるぷ出版)
有島武郎/著

図書館巡りで見つけた1冊。
ネットで探すと、この名著複刻シリーズはなかなかヒットしないところを見ると、
こうゆう名前の新刊じゃないのかな? いまいち経緯が分からない。
かといって、ほんとに「大正十一年発行」には見えないほど、
装丁デザインは当時のままで、本自体も損傷ないし。

有島武郎さんと言えば、長男は私の大好きな森雅之さん。
写真によっては、やはり父子とっても似てる!

一房の葡萄


【あらすじ】
横浜の外国人居留区の学校に通っている絵がうまい少年は、
同じクラスメイトのジムが持っている12色の絵の具がうらやましくて仕方ない。
あの絵の具さえあれば、海を見たまま描けるのになあ。
思いつめるうちに、夢遊病にかかったように、ある時、彼の机から絵の具の藍と洋紅の2色を盗んでしまうが、
すぐにバレてしまい、大好きな女教師のもとに連れていかれる・・・


もしかしたら、その昔、国語の授業とかで取り上げたかもしれないなあ(忘れたけど
この平易で、日常を切り取った短い物語で、読者を感動させ、泣かせ、じっくり考えさせるってやっぱりスゴイ。
それに昔の大人対子ども、教師対生徒、人対人同士には、誠意や互いを尊敬する気持ちがあった。

ところで、ジムはなぜ翌日、少年に謝らせようとせずに、逆に友情の手をさしのべたのか?
女教師は「よく分かってくれましたね」的なことを言っているけれども、
「明日、少年が来たら許してあげなさい」みたいなことは一切言わなかったはず。
ただ双方から事実を聞いて、そのまま帰しただけ。

子どもの中にもともとある“過ちを許す優しさ”を信じたんだ。
そうゆう時代だったとも言える。
いろいろ豊かになって、便利になって、結果荒んでしまった現代の子どもたちには難しいかもしれない。
一晩で解決してしまったこの話は奇跡のよう。

それでも信じるということは、教師にも勇気がいる。
2人の少年のそれぞれの一晩の内観が、
それぞれの心をもとの正直で真っ直ぐなものに変換した。

絵の具に象徴される貧富の差、ひと房の葡萄に象徴される、人がもともと持っている良心が
見事に対照的に描き出されている。
また旧漢字や旧仮名づかいがステキすぎ

旧仮名づかい
教場=教室のことかな
ポツケツト
迚も=とても
マーブル球=ビー球
取りかへしのつかない
階子段=はしごだん
委しく=くわしく
吃度=きっと


溺れかけた兄妹


土用波

【あらすじ】
兄妹と友人Mは大人の言うことを聞かずに3人だけで海に行く。
最初は波打ち際でちゃぷちゃぷと遊んでいたが、夢中になるうちに新しい遊びを思いついて、
気づいたら胸のあたりまでの深さに来ていて、波がくれば脚が浮くようになっていた。
そこに大きな波が来るのが見えて、心臓がドキンとする。

3人は大波をやりすごして、泳げばすぐ岸に戻れると思ったが、3人とも10代の上、泳ぎも覚えたばかり。
Mは最初に岸にたどり着くが、兄は遅れ、妹がどんどん沖に流されてゆくのを見ながらも
助けに行けば、2人とも流されて死んでしまうから、
いったん岸に着いたら、大人を呼んでこようとする。
Mが青年を呼んできて、妹と青年は命からがら助かる。

こないだ「あさイチ」でも波でどんどん沖に流されてしまう現象をやっていて、
そうゆう時はいったん平行に横移動してから直線に岸まで泳ぐと引き潮に流されないと言っていた。
今作がまさにそう。土用波って怖いんだなあ!
子どもならとくに気をつけなきゃ。子どもだけで海に行くのはいけないな

兄妹、M、青年のココロに深いトラウマが残ったのも事実。
兄妹の信頼関係、兄の自責の念もとれないしこりとなった。
どんどん知らぬまに逃げられない状況になってゆく様子が息もつけない描写と文章のテンポで
読んでいるほうまで息苦しくなってくる凄みがある。
どういうわけか、友人Mはその後、人に殺されて運命なのもフシギ。

旧仮名づかい
而(そ)して
めんかき(平泳ぎのことかなあ???
横のし泳ぎ
曲泳ぎ
如何(どう)しても


碁石を呑んだ八っちゃん

今度は3歳の弟・八っちゃんが碁石を飲んじゃった話。
子どもって一瞬たりとも目が離せないなあ!
さっきまで機嫌よく遊んでいても、口に入るものならなんでも食べてしまって死の恐怖に陥ってしまう
これで万一死んじゃったりしたら、兄も母も婆やも自分を責めて一生悔やむだろう。

家族でも丁寧な言葉で話しているのが気持ちいい。
今みたく母親が子どもに「うるせえ黙れ、バカ」なんて言ったりしないんだ
婆やが八っちゃんにお乳を飲ませるって、婆やっていくつ

旧仮名づかい
入用(いら)ない
先刻(さっき)
夫(それ)
だまかし船


僕の帽子のお話

僕のお気に入りは、父が東京で2円80銭で買ってきてくれた帽子。
寝ている時も握って離さないため、からかわれるがお構いなし。
でも、ある夜、手に帽子を握ってないことに気づいて焦る。

“手の平と手の甲と、指の間とをよく調べても見ました”
“僕は「泣いたって駄目だよ」と涙を叱りつけながら・・・”
家の中を探すと、帽子が勝手に外に飛び出して行くではないか。

学校まで着いて、中では先生が「1銭銅貨を何枚呑むとお腹の痛みがなほりますか」と聞いている(
とうとう帽子は月みたいにぶら下がって手が届かない
僕は、狸に騙されているのではないかと疑う。
“東京の店が狸の巣で、おとうさんがばかされていたんだ”

母は僕を探して“箪笥の引出しを一生懸命に尋ねていらつしやるし、
おとうさんは涙で曇る眼鏡を拭きながら、本棚の本を片端から取り出して見ていらつしやいます。
「どうもあれがこの本の中にいない筈はないのだがな」”

僕は父母に話しかけるが通じないばかりか、抱きつこうとすると通り抜けてしまう。
“もう帽子に化けている狸おやぢを征伐する外はない”と
「レデー・オン・ゼ・マーク・・・ゲツセツト・・・ゴー」と跳ね上がると空の帽子に届いた。

お気づきのとおり、これは夢の話。
夢ってほんとにおかしなことがたくさん起こるのに、おかしいとも思わないのが面白いよねw

旧仮名づかい
中の口
をばさん
神鳴り=雷!
びつくらして


装丁及び挿絵も有島さんなんだ/驚
それに、ほるぷ出版刊が昭和49年9月って書いてあるのを発見。
てことは復刻シリーズを出したのも随分前ということだ。
今まで見たことがなかったけど、最近特別に集めて蔵書として出したってことか???

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