※「作家別」カテゴリー内「酒井駒子」に追加します
この作品は『MOE』2004年12月号〜2006年12月号に
隔月連載されたものをもとに新たに再構成して改稿したもの
2009年6月初版 11月にはもう第3刷!
B と I と R と D
全部つなげるとバード
そう言われるとどの絵にも鳥が描かれている
この原画も展覧会で見て
いろんな素材がコラージュされているのが
とても楽しくて何回も周ってみた
マスキングテープも使う人が違えば
とてもシンプルな貼り方なのに
すごくクリエイティブな雰囲気になるんだな
絵が可愛いのはもちろん
酒井さんの文章力にとても心が奪われる
9個ほどの短編を一冊にまとめていて
どれも女の子が主人公
ほとんど□(しかく)ちゃんのお話
名前が四角ちゃんてまず他で聞いたことがない発想
小さな女の子の視点から書いているから
何気ないことがとっても新鮮で
時々大人にはわからない感情で戸惑ってしまう
けれども□ちゃんにとっては
何かしら大事な気持ちの揺れがあることが分かる
他の絵本のようにシンプルな言葉で表現するというわけではなくて
言葉の使い方がまるで2歳、3歳の気持ちそのもので喋ってる感じ
私は道を歩いていたり
電車やバスに乗っている時に聞こえてくる
子供同士の会話を聞くのがとても好き
一生懸命話してるけど
急に突飛な展開になると思わず笑ってしまいそうになる
でもその根底には計り知れないほど純粋な真理があって
大人のどんな長い話よりもずっと面白いし
会話に一緒に加わりたくなる
【内容抜粋メモ】
1 昼間の蒸気機関車
これは夢の話だろうか?
汽車がものすごい勢いで走ってきて
私と6歳ぐらいの女の子が鉄橋に逃げようとするが怖くて渡れない
車掌さん風の人が走ってきて
二人を抱えてギリギリ橋を渡れて助かる
2 図書館
図書館に2歳くらいの女の子が
子供用の椅子に座って本をめくって
見えない誰かに読んであげている
本を閉じると今度は
「しー静かにいたしましょう」という歌を歌い出す
図書館の中はとても静かで女の子の声がよく響くw
子供って面白い自作の歌を急に歌い出すよね
連れているお母さんが周りを気にして
静かにって言うけれども
私は子供が歌う歌が大好き
3 お友達
□ちゃんが押している乳母車の中には
鼻の赤いうさぎ、とんがった口の熊
お腹がぐにゃぐにゃのチーターが乗っている
トイレをさせたり
目玉焼きを食べさせたり
ボールペンを口に突っ込んで歯磨きをしてあげたり!
学校では、いけませんねと言いながら
色々と教えていると
お母さんが後ろに立っていて
可愛い先生ねと言うと
□ちゃんは急に気持ちが悪くなり
目の前に三つのぬいぐるみが並んでいるのを見て
そのよそよそしさに泣き出してしまう
想像の世界にどっぷり入り込んでいたのに
急に無機質な物質に見えて怖くなったのかな?
ものすごい感覚
4 12月
朝だと思って起きたのにまだ薄暗くてびっくりしていると
お母さんが雪が降ってるのと言う
空から白いものが後から後から落ちてきて
すーっと地面に吸い込まれる
5 幼稚園
□ちゃんは一人で歩いて幼稚園に行くようになって
途中の公園でブランコを一回だけこいでから道に戻ったりする
ある朝、幼稚園に行くとしーんとして誰もいない
バラ組の先生が 今日は早いのね 一番乗りねと言いました
□ちゃんは次の日もその次の日も急いで来て
一番乗りでした
先生はおはよう□ちゃんと言うだけになりました
翌朝も□ちゃんは早くに家を出たのですが
くるりと向きを変えて泣きながら帰り
布団の中にくるまってそのまま夕方まで眠ってしまう
一番乗りって言ってくれなかったからかなあ?
6 指しゃぶり
□ちゃんは親指を口に入れてチュウチュウ吸うと落ち着きます
頭がぼんやりしてきて静かに座っているような気持ちになるから
でもお母さんは□ちゃんはもう大きいんだから指しゃぶりはやめなさいと言って
ある日親指に包帯を巻いてしまう
そのまましゃぶると全然口当たりが違くて
泣いてひどい騒ぎになったので
お母さんは包帯を外しましたが
指しゃぶりをやめない子は
どんどん口が伸びてオオカミみたいな顔になりますよと言う
その晩、□ちゃんは唇をつまんでみると少し伸びている気がする
狼みたいになったらもう幼稚園に行かれない
ウーウー泣きながら指をしゃぶっていると
いつのまにか静かに眠ってしまいました
社会的ルールを押し付けるために恐怖心を利用するのは
間違った教育だなといつも悲しくなる
7 カミナリ
幼稚園にいる時に雷が鳴って
幼稚園に落ちるかな
落ちたら黒焦げになるね
雷は街ではビルに落ちます
森では木に落ちます
畑ではリンゴに落ちます
□ちゃんがそう言うと
りんごに落ちないでしょうと言われて真っ赤になる
おじいちゃんの家にリンゴ畑あるもん
台風でりんごが全部地面に落ちちゃったんだもん
そこに雷落ちるの
そう
今のカミナリでリンゴに落ちた?
りんごは小さいから小さい雷が落ちるの
この発想がすごいよね
8 スイレン
□ちゃんは池の淵に立って黄色い水仙が欲しいなと思っていると
大きな鳥が水辺で止まったので
スイレン 欲しいなと言ってみるけれども
鳥は聞こえないみたいに立っているだけです
□ちゃんは涙が出てきました
鳥は□ちゃんの言う事が分からないのです
暗い水の上をあめんぼうがいくつも輪を作っています
※□ちゃんと親しいもの
この作品は『MOE』2004年12月号〜2006年12月号に
隔月連載されたものをもとに新たに再構成して改稿したもの
2009年6月初版 11月にはもう第3刷!
B と I と R と D
全部つなげるとバード
そう言われるとどの絵にも鳥が描かれている
この原画も展覧会で見て
いろんな素材がコラージュされているのが
とても楽しくて何回も周ってみた
マスキングテープも使う人が違えば
とてもシンプルな貼り方なのに
すごくクリエイティブな雰囲気になるんだな
絵が可愛いのはもちろん
酒井さんの文章力にとても心が奪われる
9個ほどの短編を一冊にまとめていて
どれも女の子が主人公
ほとんど□(しかく)ちゃんのお話
名前が四角ちゃんてまず他で聞いたことがない発想
小さな女の子の視点から書いているから
何気ないことがとっても新鮮で
時々大人にはわからない感情で戸惑ってしまう
けれども□ちゃんにとっては
何かしら大事な気持ちの揺れがあることが分かる
他の絵本のようにシンプルな言葉で表現するというわけではなくて
言葉の使い方がまるで2歳、3歳の気持ちそのもので喋ってる感じ
私は道を歩いていたり
電車やバスに乗っている時に聞こえてくる
子供同士の会話を聞くのがとても好き
一生懸命話してるけど
急に突飛な展開になると思わず笑ってしまいそうになる
でもその根底には計り知れないほど純粋な真理があって
大人のどんな長い話よりもずっと面白いし
会話に一緒に加わりたくなる
【内容抜粋メモ】
1 昼間の蒸気機関車
これは夢の話だろうか?
汽車がものすごい勢いで走ってきて
私と6歳ぐらいの女の子が鉄橋に逃げようとするが怖くて渡れない
車掌さん風の人が走ってきて
二人を抱えてギリギリ橋を渡れて助かる
2 図書館
図書館に2歳くらいの女の子が
子供用の椅子に座って本をめくって
見えない誰かに読んであげている
本を閉じると今度は
「しー静かにいたしましょう」という歌を歌い出す
図書館の中はとても静かで女の子の声がよく響くw
子供って面白い自作の歌を急に歌い出すよね
連れているお母さんが周りを気にして
静かにって言うけれども
私は子供が歌う歌が大好き
3 お友達
□ちゃんが押している乳母車の中には
鼻の赤いうさぎ、とんがった口の熊
お腹がぐにゃぐにゃのチーターが乗っている
トイレをさせたり
目玉焼きを食べさせたり
ボールペンを口に突っ込んで歯磨きをしてあげたり!
学校では、いけませんねと言いながら
色々と教えていると
お母さんが後ろに立っていて
可愛い先生ねと言うと
□ちゃんは急に気持ちが悪くなり
目の前に三つのぬいぐるみが並んでいるのを見て
そのよそよそしさに泣き出してしまう
想像の世界にどっぷり入り込んでいたのに
急に無機質な物質に見えて怖くなったのかな?
ものすごい感覚
4 12月
朝だと思って起きたのにまだ薄暗くてびっくりしていると
お母さんが雪が降ってるのと言う
空から白いものが後から後から落ちてきて
すーっと地面に吸い込まれる
5 幼稚園
□ちゃんは一人で歩いて幼稚園に行くようになって
途中の公園でブランコを一回だけこいでから道に戻ったりする
ある朝、幼稚園に行くとしーんとして誰もいない
バラ組の先生が 今日は早いのね 一番乗りねと言いました
□ちゃんは次の日もその次の日も急いで来て
一番乗りでした
先生はおはよう□ちゃんと言うだけになりました
翌朝も□ちゃんは早くに家を出たのですが
くるりと向きを変えて泣きながら帰り
布団の中にくるまってそのまま夕方まで眠ってしまう
一番乗りって言ってくれなかったからかなあ?
6 指しゃぶり
□ちゃんは親指を口に入れてチュウチュウ吸うと落ち着きます
頭がぼんやりしてきて静かに座っているような気持ちになるから
でもお母さんは□ちゃんはもう大きいんだから指しゃぶりはやめなさいと言って
ある日親指に包帯を巻いてしまう
そのまましゃぶると全然口当たりが違くて
泣いてひどい騒ぎになったので
お母さんは包帯を外しましたが
指しゃぶりをやめない子は
どんどん口が伸びてオオカミみたいな顔になりますよと言う
その晩、□ちゃんは唇をつまんでみると少し伸びている気がする
狼みたいになったらもう幼稚園に行かれない
ウーウー泣きながら指をしゃぶっていると
いつのまにか静かに眠ってしまいました
社会的ルールを押し付けるために恐怖心を利用するのは
間違った教育だなといつも悲しくなる
7 カミナリ
幼稚園にいる時に雷が鳴って
幼稚園に落ちるかな
落ちたら黒焦げになるね
雷は街ではビルに落ちます
森では木に落ちます
畑ではリンゴに落ちます
□ちゃんがそう言うと
りんごに落ちないでしょうと言われて真っ赤になる
おじいちゃんの家にリンゴ畑あるもん
台風でりんごが全部地面に落ちちゃったんだもん
そこに雷落ちるの
そう
今のカミナリでリンゴに落ちた?
りんごは小さいから小さい雷が落ちるの
この発想がすごいよね
8 スイレン
□ちゃんは池の淵に立って黄色い水仙が欲しいなと思っていると
大きな鳥が水辺で止まったので
スイレン 欲しいなと言ってみるけれども
鳥は聞こえないみたいに立っているだけです
□ちゃんは涙が出てきました
鳥は□ちゃんの言う事が分からないのです
暗い水の上をあめんぼうがいくつも輪を作っています
※□ちゃんと親しいもの