穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

Key Ideas, Supplement and Difference

2016-04-27 08:12:30 | 哲学書評

 今回は三題噺と行こう。前回訳者の「鍵観念」という妙な訳語はkey conceptsじゃないかと推測したが、あるいはこの業界日本支部の公用語かなと思って調べたがそうでもないらしい。その時インターネットを浚ったことをご報告する。「おかしい」はむかしは「可笑しい」とあてた。今はこの可笑的、つまり笑うべきという意味合いで私は使っている。

アマゾンの紹介がある。そこに目次の紹介がある。そこで第二章の原題は

Key Ideas

とあった。conceptsと似たような物だ。この場合も前に書いた様に基本的な概念、アイデアと訳すのが正常な神経だろう。「鍵観念」という訳は不適切きわまりない。可笑的である。そういえば昔、三遊亭可笑という噺家がいなかったかな。さすがにこの訳語がデリダ業界日本支部の公用語かどうかは分からなかった。

デリダ教日本支部には妙な言葉が沢山ある。私等愚昧なものにとっては、躓きの石となるのである。この際だから目次だけでも相互対照してみた。ありましたぜ、

第五章 代補 <<< Supplement

第七章 差延 <<< Difference

私ども愚民にとっても、右側の言葉なら分かる。

しかもこの二つは「鍵観念」と違い公用語らしい。ハイデガーを評して精神病者といったユングにいわせれば日本支部はおかしな連中のクラブということになろう。日本語を使って欲しいな。

これなら、英語の原書を読んだ方が良い。しかももっと驚くことがある。価格である。金のこと等取り上げるのは下賎なことであると承知しているが、行きがかり上ついでに紹介しておこう。

青土社版 2400円プラス税しめて2549円

Routeledge版(アマゾン価格)2276円プラス税しめて2460円

なんと原書の方が百円近く安い。

笑うべく、悲しむべし。嗚呼!!