2-3で中断。
カターレ富山も今年で15周年ともなると、その歴史上、試合内容以外のところでのいろいろなアクシデント、ハプニングも経験してきましたが。
ホームでJ1クラブと対戦したことは、あった。
降りしきる雨で視界が白むことも、あった。
雷雨の影響で試合が中断、後に再開ということも、あった。
けれど・・・それらを1試合で全部ひっくるめて。さらには決着を見ることなく中断され、後日あらためて続き、というのは・・・さすがに前代未聞としか言いようが無く。
19時開始で21時ごろには終了するはずだった試合。延長、PKを含めてすら22時ごろには終わっていたはずのところ。
22時40分ごろに延長の前半終了というタイミングで打ち切り。
線状降水帯によって災害級の雨が降りしきるなか、決着が後日に持ち越されることになったのでした。
カターレ史上初となる、新潟との公式戦。
新潟の規模からすれば少ないとも言われたものの、それでも多くのファン・サポーターが来場。アウェイ側スタンドをオレンジに染めることに。
天皇杯ということで主幹がJリーグではなくJFAと、いつもと違っていはいましたが。
それでもいつもと同じくらいには、平日ながらも駆け付けたカターレファン・サポーター。
ホームの意地を見せ、新潟の襲来を返り討ちとせねばなりませんでした。
先日の愛媛戦から中2日。やはり大幅なメンバー変更を伴う編成に。
GKの田川はともかくとして、連戦となる大畑は大丈夫か?とか。
林堂や神山の起用は想定内として、左SBとして安藤が起用されたことに「お?」と思わされたり。
坪川と柴田がボランチコンビを組み、右に伊藤。
愛媛戦でベンチスタートだった駿太、松岡、マテウスがスタメン起用となりました。
それまで断続的に降っていた雨が上がり、19時にキックオフ。
いつものリーグ戦の試合ならば設置しているところのスポンサーボードが無いなど、普段との差を感じながらの試合となりましたが。
差、ということで言えば。
なにか、試合展開そのものが・・・まったく、いつも通りではありませんでした。
選手個々人が高い技術を持ち、巧みなパスワークでチャンスをうかがう新潟。
そこに安易に突っ込んでいっては、軽くかわされた上に陣形を崩され、簡単にチャンスを献上してしまうことにつながるーーーそんな展開が、確証めいてあきらかに感じられました。
今シーズンここまで戦っているJ3リーグでは、まったく見たことのないシーン。
ハイプレスからガシガシと相手に向かっていくのがカターレの信条。けれど、それを考え無しにやってしまうと、相手の思うツボ。
行くべきところと我慢するところ。それらを、決して焦れることなく冷静に判断しつつ対処せねばならない。その意識無くば、手も足も出ないままにワンサイドゲームに陥ってしまっていたことでしょう。
カターレとしては、0-0のまま粘り強くプレーを続け、チャンスをうかがい続けることに徹する試合だった・・・のですが。
20分、先制ゴールを許してしまい、均衡があっさりと崩れることに。
そう、端的な印象で言うならば・・・「なんか、ヌルっと決められた」
的確なパスワークから繋がれ、なんとか田川がシュートを防いだものの、そのこぼれ球をあっさりと蹴り込まれ。
“しかるべきタイミングとシチュエーションさえ合わされば、決めてみせますがなにか?”とでも言われたかのように。
きっと、新潟にとってみれば、造作もないゴール。
勝利のために、やるべきことをやり遂げた。ただそれだけのこと。
そんなふうに見えたのでした。
1点を追いつつ、試合巧者を相手に続く、我慢のとき。
それでも。
あきらめることなく、喰らいついていったカターレ。
そう、試合は終了のホイッスルが鳴るまで、わからないのだから。
逆転を信じ、勝負の後半---だったのですが。
強まる雨脚、そして稲光。
雷雨の影響で、その気合を入れなおすはずだった後半の開始が、遅れることに。
雷を避けるために、スタンド下コンコースなどに避難を要請されることとなりました。
確かに、天気予報を確認した時点で、ある程度覚悟はしていましたが。
ただ、その懸念通りに中断、再開待ちとなって良いかと言えば、さにあらず。
フクザツな思いを抱きながらも、それでも。
カターレの同点、逆転を信じ、再開を待つことに。
すると。
中断期間で仕切り直したのが功を奏したのでしょうか。新潟のプレーぶりをリスペクトしつつも、もう1歩を踏み出し始めたカターレ。
あくまで連携や距離感に配慮をしつつ、そこからボールに向かっていく、あるいは競り合いで簡単に譲らないなど、徐々に本来の持ち味をプレーに取り戻していくと。
降りしきる雨の中、58分。
松岡のミドルシュートがネットを揺らし、同点に追いつくことに成功しました。
J1・新潟をリスペクトしつつも、萎縮などしない。持ち味の負けん気で、積極果敢に狙っていったシュートが決まったかたち。
実に松岡らしいゴール。期待に応える活躍に、沸き返るカターレ側スタンド。
ただ。
文字通り、水を差すかたちで。
同点に追いついた直後、試合を中断。再びゴール裏からコンコースに移動する羽目に。
とはいえ。やれる、という手応えを掴んだのは大きい。ならば、当然のように、ねらうは逆転勝利。
その期待に応えてみせたのは、またも松岡でした。
カウンターから反撃するも、すぐさま詰め寄り応戦する新潟選手たち。ただそこで、途中出場の吉平が、ゴール前を横切る目の覚めるようなパスを逆サイドに蹴り込むと。松岡がそれに合わせ、勝ち越し!
ずぶ濡れのファン・サポーターでしたが、それはもうお祭り騒ぎ。
降りしきる雨とかどうでもいい!J1クラブを相手に躍動するカターレ選手たちの、なんと誇らしいことか!
ただ、直後に失点し、同点とされることに。
それでも。
勝機は、我らにあり!
確かに苦しい試合展開。けれど、一方的にやられてしまっているわけじゃない。
カターレだって、やれている!
延長、PKがなんぼのもんじゃい!
勝つ!それだけだ!
延長5分、勝ち越しゴールを許してしまい、逆転されてしまったけれど。
それでも。
視界が効かず、新潟ゴール裏がぼやけるほどに降りしきる雨のなかでも。
ここまでやれたんだ。やれない道理が無い。
同点、逆転だって、やればできる!
・・・しかし。またも、水入り。
3度目の中断の頃には、22時を過ぎて。通常であれば、PKまでいったとしても終わっているはずの時間。けれど、まだまだ時間が残されている延長前半。
止まない雨のなか、再開。
気力を振り絞りつつ、必死にプレー。
なのに。
またまた、中断。
試合途中ながら、臨時直行バスの出発時刻を案内せざるを得ない事態。それでも!と残っていた人々に待っていたのは・・・試合中止の宣告でした。
この時間になって、いよいよ雨の深刻さは増して。
線状降水帯、まさに災害レベルの雨が降りしきることに。
同点、逆転だって不可能じゃない!そう思わせるだけの試合を、決着まで見たかった。それは偽らざる本音。
ただ、状況がそれを許さず。
ずぶ濡れなんてもんじゃないほどの、強烈な雨のなかで。
クラブ史上初の事態。中止から、残りの延長後半からの15分ぶんを1週間後に同会場で、という決定が下されたのでした。
普通ではありえない事態の欲張りセットとでも言いましょうか。
平日水曜日の開催ということを忘れてしまうほどの、異常事態。
ビハインド状態からの試合再開、それがいかなる結末を招くのか?
誰も見たことのない結末は、1週間後。
起こってしまった事態は、仕方がない。自然には勝てないと。
それでも。
異常事態にあっても、やることそのものが変わるわけでなし。
前代未聞を、乗り越える。
今、カターレに必要なのは、降りかかるアクシデントもものともしない強靭さ。
決着がつかなかった試合。けれど、学びがあった。
ならば。
1週間後、万感の思いを込めて、勝利に向けて打倒新潟を果たすのみ!
戦いは、来週へと続きます。