『小学校入学前に読み書きを習得する子どもは多い。その風潮に警鐘を
鳴らす研究が報告されている。本質的な学力を決めるのは親子関係だという。── 都内に住む30代の母親は最近、4歳の女の子が図書館で読んでいる本を見て驚いた。絵はなく、漢字まじりの文字ばかり並ぶ小学校中学年用の読み物だ。自分の小学1年生の子どもは、入学してようやくひらがなを習ったばかりだというのに。思わず「すごいね」と声をかけると、女の子は「漢字も書けるよ」と言って、スラスラと漢字を書いた。女の子の母親と話すと、通っている有名私立幼稚園では珍しくない光景だという。
■所得よりも養育態度
最近、地方都市から東京に転居してきた40代の母親の長男が通った保育園は、外遊びを重視し、幼児の読み書きなど早期教育には批判的な方針だった。長男は文字をほとんど書けないまま小学校に入学した。入学後、近所の5歳の女の子が持っていた「お勉強ノート」を見て圧倒された。画数の多い小学校中学年向けの漢字がびっしりとノートのマスを埋めていた。入学後も、わが子がカタカナに四苦八苦する傍らで「5年生の漢字が書けるよ」「九九できるよ」と豪語する級友の存在を知り、長男が勉強についていけるか心配になった。 しかし、お茶の水女子大学http:// www.ocha.ac.jp の内田伸子教授(発達心理学)は、文字の読み書きなどの早期教育に批判的だ。内田教授は昨年秋の東アジア学術交流会議で「幼児のリテラシー習得に及ぼす社会文化的要因の影響」調査を発表した。 ちょうどその2カ月ほど前、文部科学省は全国学力テストの結果を分析し、親の所得が高いほど子どもの学力が高いという調査を発表していた。親の年収が1200万円以上では国語、算数の正答率が全体の平均より8~10ポイント高く、200万円未満では逆に10ポイント以上低かった。 だが、内田教授の調査では、子どもの学力格差は親の所得格差ではなく、親子のかかわり方が大きく影響していた。たしかに「読み・書き」能力だけみれば、3歳では親の所得や教育投資額が多いほど高かった。しかし、その差は子どもの年齢が上がるにつれて縮まり、小学校入学前に消滅した。文字などの早期教育の効果はわずか、数年しか続かないのだ。 すでに内田教授は20年以上前に実施した調査で、3、4歳で文字を習得している子と、習得していない子との差は、小学校入学後に急速に縮まり、1年生の9月には両者の差は消えてしまうということを指摘してきた。また、別の研究でも、漢字の習得では、早期教育を受けなかった子どもとの差は小学校2年生ごろに消滅し、むしろ国語嫌いは早期教育を受けた子に多かったということもわかっている(黒田実郎、「保育研究」)。
■想像力豊かな子は…
一方、幼児の語彙力については、親の所得や教育投資額が多いほど高かった。しかし、詳細な分析をした結果、語彙の成績を左右するのは所得や教育投資額ではなく、親の養育態度であるとわかった。
内田教授は、こう話す。
「語彙力というのは自律的思考力を支えるものです。所得が低い家庭であっても、子どもとのふれあいを大事にして、楽しい経験を共有するような『共有型』の養育スタイルの家庭の子どもの語彙得点は高いのですが、所得が高くても大人の思いを押しつけ、トップダウンで禁止や命令、体罰などを多用する場合は子どもの語彙の成績は低いのです。他の子どもとの比較や勝ち負けの言葉を多用するとか、子ども中心で親が犠牲となる教育も、学力基盤を育むのに効果はありません」
つまり親の「人間力」こそ、子どもの語彙力の発達には重要だということだ。しかも、この語彙力こそ学童期以降の子どもの学力と関連があると話す。
また内田教授が文字を習得している幼児と習得していない幼児に、それぞれ空想でお話をつくってもらったところ、文字を習得していない子どもの方が想像力豊かな内容だったという。こうした研究を通じて、過熱する一方の早期教育に警鐘を鳴らしてきた内田教授は、こう話す。「幼児期には五感を使って親子で体験を共有することが大切です。親子のコミュニケーションや会話のやりとりを通じて、子ども自身が考えて判断し、親子の絆が深まっていく中で子どもの語彙力は豊かになる。お金をかけなくても子どもは伸びるのです」
■鈍る昼間の活動
研究者の間では以前から「早期教育」の効果に懐疑的な声は多かった。小児科医でもある、お茶の水女子大学の榊原洋一教授は、著書『子どもの脳の発達臨界期・敏感期』の中で、脳神経学的に胎児期や乳幼児期の早期教育の有効性を正当化する科学的根拠はないとしている。 むしろ、早期教育の弊害として一番心配されるのは、子どものストレスだ。東北生活文化大学の土井豊教授らが、1997年に幼稚園児の尿を採取してストレス値を比較したところ、早期教育を受けている幼児は、受けていない幼児に比べてストレスが高かった。さらに早期教育を受けている幼児は、昼間の幼稚園での活動が鈍くなっていた。幼稚園後の「お勉強」に備え、日中は活動を休止して子どもなりに心と体のバランスをとっているのだろう。日中の活動の低下は子どもの発育にとってよくはない。ほかにも早期教育を受けた子どもがストレスで情緒障害を引き起こしたケースや、親子の愛着関係に悪影響を及ぼした事例も報告されている。
都内に住むAさんは、長女の妊娠中からクラシック音楽や絵本の読み聞かせで胎教した。乳児期からは水泳、リトミックのほか、有名幼児教室にも電車で通った。自宅では幼児教室の教材やパズル、フラッシュカードで毎日1時間以上の早期教育を実践した。友達と自由に遊ぶ時間は少なかったが、長女に嫌がる様子も見えなかった。どんどん子どもが吸収していくのが嬉しかったし、何よりも子どものためと信じていた。
早期教育熱はやがて中学受験熱に変わる。Aさんの長女は、過酷な競争を勝ち抜き都内の難関の中高一貫進学校への入学を果たしたが、その後勉強熱が急速に冷めてしまった。競争の激しい進学校で成績は伸びず、大学受験は苦労した。
有名中学に合格し、張り詰めていた緊張の糸がプツンと切れてしまったかのように、その後の成績が伸び悩む例は多い。子どものストレスは早期教育で終わらない。小学校に入れば塾通い、中学受験、それが終わっても大学受験と、常に急き立てられていく。
■のしかかるストレス
先の榊原教授は、こうした塾や学習教室での先取り学習も逆の効果を生む危険性があると話す。日本には飛び級制度はないし、習熟度別クラスも少ない。塾などで勉強したことを学校で「復習」する状態が常に続くと、学校での勉強がつまらなくなる。 先の40代の母親の長男が通う小学校では「(学校の勉強は)簡単すぎてばからしい」と言う子どももいる。こうした子どもたちは、結果として学校の勉強に対するモチベーションが低下し、集中力も低下する。それこそが中学校以降の学力低下につながりかねないのだ。
だが、榊原教授は早期教育や中学受験に熱心な親たちを一概には非難できないと話す。格差が広がるばかりの社会で、親が子どもの幸せのためにできることといえば、よりよい教育を受けさせることと思いつめるのも無理からぬことだからだ。フラッシュカードで天才児が育つかのような、教育産業のマニュアル化した教材は魅力的に見える。 榊原教授はこう話す。
「早期教育が子どものストレスにならず『親子のふれあい』に寄与する程度なら使っても良いでしょう」 フラッシュカードは、知能開発のためではなく、親子のコミュニケーションのために使えばよい。 Aさんの長女は、大学入学後に幼い頃の塾通いについて、「辛かった。お母さんにはいやだとは言えずに我慢していた。幼稚園の友達と、もっと遊びたかった。中学受験なんて必要なかった」 と涙を溢れさせながら訴えた。 Aさんは「頭にガツンとパンチをもらった感じ」だった。今まで注ぎ込んだお金と時間と苦労を思うと「間違いだった」とは認めたくない気持ちも残る。でも、「ごめんね」と、長女に心の底から詫びた。 早期教育の効果はわずか数年足らず。だが、子どものストレスは成長した後も心に長く重くのしかかる。内田教授は、「子どもはお母さんが大好きだから嫌とは言わない。だからこそ、親は子どものストレスのサインを見逃してはいけない」 と話している。』AERA4月19日(月) 11時31分配信 / 国内 - 社会
「読書き、そろばん」は、昔から大事な教育と言われていますが。親御さんが押し付けないで。お子さんの目線に立って焦らずに、他のお子さんと比較対象しないで、無理強いをしないことが大切なのではないでしょうか。家庭でのお母さんとお子さんとの心の触れ合いになるお互いの話し合いや対話が、国語教育、日本語の教育の基本になるのでは有りませんか。家庭で、硯で墨を刷り、書道をしたほうが姿勢も良くなり。心も落ち着くかも分かりませんね。高学歴で、教養の有る頭の良いお母さんが増えても、子供の立場、子供の視線に立つことを家庭教育の中で忘れ、自信を失われているのでは有りませんか。昔から言われていますように小さい子供の内は、良く遊び、良く学び、よく食べて、良く睡眠を取ることが大切なのでしないでしょうか。0歳児教育や幼児教育も大切ですが。「0歳児教育 」の大切さを唱えられた大手電器メーカーS社の創業者のお一人のお子さんは、金持ちで勉強の出来ない兵庫県で言われているA私立大学に入られました。何か矛盾を感じます。幼児教育も大切かも分かりませんが。小さい子供の時から幼児教育で、勉強を教え込むと勉強嫌いになる可能性も有るとも言えます。幼稚園で漢文を教えたりしている幼稚園もあるらしいですが。論語読みの論語知らずにならないようなして欲しいと思います。親の競争心と見栄で、親戚の子供より早く九九を教え早く覚えられて漢字も書けると自分の息子は頭が良いと言っていましたが。結局は本人も自分は頭が良いと過信し大学に行けずに工業高校に進学しました。小さい時から、勉強を強制したり、勉強ばかり教え込まずに好きなことに熱中させたり、熱しやすく覚めやすくても良いと思います。小さい時から熱中し打ち込んだ経験が、将来に渡り生きて来るのではないでしょうか。小さい時から外で十分遊び、その子供のしたいことを愛情を持って見守っていれば、子供達の天賦の才能がきっと花開くのではないでしょうか。小さい時から子供に親御さんが自分の教育方針や理想、将来の目的を押し付けず、子供さんが思っていることを思う存分やらせて上げることがことが小さい時は必要ではないでしょうか。お母さんは、子供さんの気持やお子さんのしたいことが身近で1番分かり、見極められる良きお子さんの本当の理解者で、アドバイザーと思います。 幼児教育や早期教育を受けて勉強嫌いになり、学校嫌いになった子供達も現実には沢山います。親子さんは、自分の子供さんの気持を理解することが1番大切で、心の負担や精神的ストレスにさいなまれない様な家庭で教育、小さいお子さんを持つお母さん方は考えて下さい。難関私立中高一貫校に入る為に国立大学附属小学校や私立小学校に合格する為に有名幼稚園に入り、小学校3年生から難関中学校に合格実績の入る進学塾に入り、伸べ10年間有名進学塾で勉強しても勉強嫌いになり落ちこぼれたり、難関国立大学に合格した後、目標を失い燃え尽き症候群になり大學を留年し困っている親御さんもいるのです。試験試験の詰め込み教育、注入主義教育でお子さんの持っている天賦の才能や素質を壊さないように身近で日常生活の中で毎日子供さんを見ているお母さんは、他の子供さんと自分のお子さんを見比べたり、比較しないで御自分のお子さん適性と素質を見出して上げて下さい。お子さんが好きなことを見出し、自分の将来の道を決めたら親御さんの望む進路ではなくても頑固に絶対反対しないで愛情を持って見守り、応援して上げて下さい。記憶術の達人のお子さんや有名進学塾の塾長さんの息子さんが難関国立大学合格されていない事実にも伺えます。どう説明出来るのでしょうか。お子さんが、自分の持って生まれた才能を開花させ、自分のそれぞれの道歩めるかどうかがお子さんの人生を決めるのではないでしょうか。有名私立小学校に不合格になったからと落ち込んで友人のお母さんのお子さんを殺害した事件も有りました。有名私立小学校に不合格になり、人生が決まってしまったのなら全部の子供達の将来性は無いことになります。有名私立小学校に合格し、難関私立中高一貫校に合格しても高校3年の時どんけつで、難関私立中高一貫校とは似ても似付かない私立大学に推薦入学で合格し授業料が勿体無いと予備校の先生に言われている生徒もいるのも厳然たる事実です。12年目の姿を誰が予測出来る出来るでしょうか。お子さんの勉強へのやる気を失わせないようにすることも大事ではないでしょうか。近視眼的に見ずに長い目で見るのが教育ではないでしょうか。学校に競争原理を持ち込んでも勉強嫌いで、不登校の子供達を生むことになるのではないでしょうか。本当に勉強すると言うこと子供同士が競争し学校で成績を争うことではないと思います。小さい時は、良く遊び、良い友達を作り、良く食べて、良く寝ることが、健康と体力を作り、頭の良い子供に育つ日本の子供達の必須条件ではないでしょうか。以前亡くなられる直前まで私立高校で体育指導をされた最長老のO先生は、長年の体育指導経験から「運動」と「学習」の能率の関係を研究されて、運動をした後勉強すれば能率が上がると実証されました。大脳の生理機能として、脳に酸素が行くからだそうですが。小さい時から外でよく遊んだ子供達は、18歳以降頭が良くなっていると言う研究成果も出ています。健全な精神に健全な肉体が宿る通り、健全な学力や能力が宿る基礎、源かも分かりません。学力の元は、心身の健康と体力と言うことを忘れてしまっている今日の日本です。