■Batdance/Prince
from「バットマン/Batman」(1989年・アメリカ)
(プリンス殿下篇 前半はこちら)
殿下は映画で再びその才能を爆発される。それが大作「バットマン」だった。エンターテイメントのために書き下ろされた楽曲は、どれもインパクトの強いものばかり。プリンス自身もコミック「バットマン」のファンだったらしい。そういえば私生活に謎を秘めたブルース・ウェインと、当時のインタビュー嫌いで自宅スタジオにこもって次々に楽曲を生み出すプリンスには、どこか共通するものを感じさせる。Party Man をバックにジャック・ニコルソン扮するジョーカーが登場する場面は実にカッコよかった。The Future や Electric Chair といったパワーあるナンバーの一方で、Scandalous のような美しいバラード。
そしてシングルとして成功した Batdance は、殿下が楽しんでやっているような余裕すら感じさせる。しかし、「バットマン」本編での楽曲の使われ方は、ダニー・エルフマンのスコアと比べて印象に残るか?と言われれば、それは今ひとつ。映画自体は、ティム・バートンとプリンスという、二大オタク系アーティストのコラボレーション。次の「リターンズ」を観てもおわかりのように、ティム・バートンの作風に後付のポップミュージックは無用、エルフマンのスコアで十分なのだ。ティム・バートンにとって初の大作だけに、製作陣が派手な効果を狙ったものなのだろう。
90年代に入って、お名前を変な記号に変えられた殿下(The Artist Formerly Known As Prince)は、その後突然の結婚、そして父親になるという「人間宣言」をなされた。現在、ネット上を主な活動の場として作品を発表している。でもそのうちまた大きなことをしでかしてくれる。殿下は気まぐれだから・・・きっと。そして殿下は2005年に大復活を遂げるのだった。
※Prince関連の曲が流れる80年代の主な映画
1983年・「卒業白書」 = ♪D.M.S.R.
1984年・「アメリカ万才」 = ♪I Feel For You
1984年・「ワイルド・ライフ」 = ♪Dirty Mind
1984年・「パープル・レイン」 = ♪When Doves Cry ♪Let's Go Crazy 他
1986年・「禁じられた恋」 = ♪Computer Blue
1986年・「アンダー・ザ・チェリー・ムーン」 = ♪Christopher Tracy's Parade ♪Under The Cherry Moon 他
1987年・「サイン・オブ・ザ・タイムス」 = ♪Sign O The Times ♪U Got The Look 他
1988年・「再会の街 ブライトライツ・ビッグシティ」 = ♪Good Love
1988年・「花嫁はエイリアン」 = ♪Kiss (Tom Jonesによるカヴァー)
1989年・「バットマン」 = ♪The Future ♪Electric Chair 他
Prince - Batdance (Official Music Video)