■「ギャング・オブ・ニューヨーク/Gang Of New York」(2002年・アメリカ)
●2003年ゴールデングローブ賞 監督賞・主題歌賞
監督=マーチン・スコセッシ
主演=レオナルド・ディカプリオ ダニエル・ディ・ルイス キャメロン・ディアス
スコセッシ版「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」とでも言うべき重厚なドラマ。デビュー以来ニューヨークにこだわり続ける監督が、30年来あたためてきた企画だとか。南北戦争当時のニューヨークを舞台に、アイルランド移民と、先に新大陸に来ていて”ネイティブ”を名乗るイギリス系との戦いの歴史。今でこそ異民族同士が共存できる大都会となったが、生活をかけた血なまぐさい出来事もあったのだ。
久々の映画出演となったダニエル・ディ・ルイスの圧倒的存在感がすごい。控えのトレーラーで本当に肉切りナイフを研いでいたというから、演技に対する意気込みが違う。彼が”恐怖”について語る場面の説得力は素晴らしい。昔から”カメレオンのような俳優”と比喩されていたダニエル・ディ・ルイス。スコセッシ監督作には、デ・ニーロにしてもそうだが、なりきる演技ができる役者の存在は欠かせない。脇役だけど「E.T.」のヘンリー・トーマス、「リトル・ダンサー」の父ちゃんゲイリー・ルイス、「パーフェクト・ストーム」のジョン・C・ライリーら、一目見たら忘れられない役者たちも、熱の入った演技をみせる。
2001年の同時多発テロのために公開を延期した映画であることも記憶しておくべき事項だ(上のチラシは延長決定前のもの)。それにしても”アメリカ人とは誰なのか”ということについて考えさせられるし、安穏と暮らしている現代がいかに血の歴史の上にあるものかを痛感させられる。エンドクレジットで、アイリッシュのU2に主題歌を歌わせるってのがまた憎い人選。
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