Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

リトル・ロマンス - 80's Movie Hits ! -

2013-03-19 | 80's Movie Hits !

■Sunset Kiss/Pao
関連作品=「リトル・ロマンス/Little Romance」(1979年・米)

監督=ジョージ・ロイ・ヒル
主演=テロニウス・ベルナール ダイアン・レイン ローレンス・オリビエ

 70年代末期から80年代初めを少しでも知る方ならご存じと思う。当時、本編に全く関係のないイメージソングなる曲が、映画宣伝やエンドロールに付けられることがよくあった。最近でも、日本版だけ「007/ワールド・イズ・ノットイナフ」のエンドロールに何故かLUNA SEAが流れたり、韓国映画「TSUNAMI」ではAKB48が流れたりもした。また80年代には、ジャッキー・チェン主演作では日本独自に主題歌がつけられていたりもする。あれもその類だけど、当時のイメージソングたちは今とは違う。本編で流れないのだ。映画予告編に使われたイメージソングで、最も有名なものが「ナイル殺人事件」の Mystery Nile だろう。♪みーすてりー、なぁ~いる というそのフレーズはニーノ・ロータのスコア以上に有名で、何を間違ったか映画音楽全集みたいな企画ものレコードにも入っている程だ(無論日本だけだが)。このように強烈なインパクトで本編の音楽を食ってしまったものも多いのだ。

 ・・・前置きが長くなったが、われらがダイアン・レイン主演作「リトル・ロマンス」の宣伝にも、そうしたイメージソングが使われた。モデルとしても活躍したサビーネ金子を中心とした日本のグループ、パオが歌う Sunset Kiss なる曲である。哀愁漂うメロディは当時の僕らに強く印象づけられたものだった。本編はジョルジュ・ドリュリューのスコアとビバルディなどクラシックが使われていて、これも素晴らしい(アカデミー音楽賞受賞)。しかし、日本ではCFで大量オンエアされていたから、Sunset Kissの方が焼き付いている人、きっと多いと思うのだ。

 ベネチアの”ためいき橋”の下で夕闇の中キスをした恋人は永遠に結ばれる・・・というデマカセ(注↓)を信じた映画少年テロニウスと高IQ少女ダイアンが、ベネチアへ恋の逃避行。今にして思うとなんとも初々しい初恋映画。映画デビューだったダイアン・レインの可憐さにとにかく夢中になったもんです。監督はジョ-ジ・ロイ・ヒル。映画少年テロニウスが映画館で「明日に向かって撃て!」や「スティング」を観る場面も出てくる。「スティング」を観た後、映画館を出て彼は「ビンゴ!」と叫ぶ。いやー映画ファンとしてはものすごく共感できる場面なんだよね。僕も「リトル・ロマンス」を観てしばらくは、友達との間で「ビンゴ!」が流行した。

 その後ダイアンは「リトル・レター」(ひどい邦題)なる難病アイドル映画に出演した。「リトル」2作で美少女アイドルとしてしっかり僕らに記憶された。80年代になって「アウトサイダー」や「コットンクラブ」などフランシス・F・コッポラ監督作に出演し評価を高めた。僕は80年代のダイアン主演作では「ストリート・オブ・ファイヤー」が大のお気に入りだったなぁ。「愛は危険な香り」や「ビッグ・タウン」でみせた突然のヌードには(ファンとしては)驚いたものだ。何をさておいても、そんなダイアンが今も第一線で活躍しているのは実に嬉しい。2000年代に入ってからは「運命の女」でオスカーにノミネートされたし、出演作も次々と公開されているし。これからの活躍も楽しみ。

※注・本当の”ためいき橋”は、裁判所と牢獄を結ぶ渡り廊下のようなもの。判決を受けて囚人となる者が、最後に世間を見ることができる場所であることからそう呼ばれるのである。

A little romance - movie trailer



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ジョゼと虎と魚たち

2013-03-19 | 映画(さ行)

■「ジョゼと虎と魚たち」(2003年・日本)

●2003年キネマ旬報賞 主演男優賞

監督=犬童一心
主演=妻夫木聡 池脇千鶴 上野樹里 新井浩文

 これ程みんなが褒めている日本映画ってあろうか?・・・と思えるくらい世間では好評で、もちろんその期待感もあって観た。確かにいい映画だ。障害者をめぐる現実を描くことも忘れず、甘っちょろい恋愛映画に終わっていない。「この娘は”こわれもん”や」という祖母の言葉が痛い。孫へのいたわり・愛情と、障害者を抱えることで世間の目に留まることへの恥ずかしさ・恐れ。ノーマライゼーションの考え方も広まってきてはいるが、実際にはこうした家庭がまだまだあるのだ。また、香苗は福祉の仕事を志していながら横恋慕でジョゼを「あなたの武器がうらやましい」と見下す場面。さらに「結局逃げたのだ」という最後の別れ。互いに惹かれ合っていても存在する現実の壁。ラストの恒夫の号泣は、そんな悔しさ・情けない自分へのやりきれなさ・・・そんな思いが入り交じる名場面だ。恒夫は香苗が言うようにそんな「立派な人」ではなかったのか・・・では自分ならどうだろう。銀幕のこちら側の僕も複雑な思いで、その号泣を見ていた。

 でもこの映画に何か違和感を感じた人もいると思うのだ。それはきっと恒夫の女性関係に関すること。結局ジョゼも彼の遍歴のひとつにしかすぎないのではないか。「別れても友達でいられる種類の女の子ではない。」これ程にワン・アンド・オンリーなキャラクターであるジョゼを、「種類」という言葉でくくろうとするのは違うと思えるのだ。二人のラブシーンも自然だと感ずる人もあろうが、きっと主人公をよく思えない鑑賞者は、きっとこの場面を生々しいと感じたに違いない。僕もそのひとりだ(妬いてるだけかもしれないのだけれど・・・笑)。ジョゼの世界が今までよりも広がっていく、世間とつながる重要な場面な訳で、もっと違ったアプローチもあったように思うのだ。例えば拾ってきたSM雑誌のことを急に思い出して、恒夫を質問攻めにするとか。でもベッドインする前の恒夫の一言「あ、涙でそう。」って、何か実感こもっている気がして僕はやたら気に入ったのですが。

 池脇千鶴の関西弁だから、というのもあるかもしれないけど、台詞がきちんと耳に残る、いや心に残る映画だ。母国語の映画だから当然と言うかもしれないけれど、それはなかなかできることではないのです。それにしても思うのは、主演二人のパブリックイメージがあってこその映画。ますますキャラが固まってしまうのでは(特に妻夫木クン)。

(2004年筆)

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