和宮様の退院祝いに二女様から真空パックのウナギが献上された。故あって赤貧の生活を選択した和宮様の暮しにとっては、ウナギはほど遠い食材だった。そんなことを考慮し、また和宮様のお体の滋養を願って養殖ウナギ生産日本一の鹿児島からの宅急便だった。
鹿児島県産のウナギは、スーパーでも国内産として健闘している。安い中国産の価格に迫ろうとする勢いを感じる。というのも、養殖ウナギ生産の4割は鹿児島が占めているからでもある。それは、養殖に適した気候と自然が鹿児島にあるということでもある。火山灰の土からは殺菌力ある弱酸性とミネラル豊富な地下水を確保するという背景がある。
そうした安定した環境の中で生産が支えられてはいるが、なかには年商40億も稼いでうなぎ御殿の豪邸に住んでいたり、「総理と桜を見る会」に招待されるなどが気になる。
そうは言っても、この匂いとうまさにはかなわない。二女様の心配りに感謝したい。立派なウナギを食べたのはいつだったろうかと、考えてみるが思い出せない。それほどにほど遠い世界に住んでいたわけだ。せいぜい、200円のウナギのにぎりの回転寿司がせめてものごちそうだった。
それでも、食べるのが困っているわけではない。むしろ、畑の野菜類を食べきるのが難しいほどの飽食に追われている。この状態を格差というのか、幸せというのか、孤絶というのかはわからないが、ストレスが蓄積しないのが何よりだ。和宮様もいたくお悦びしておりましたぞ、ごちそうさま。