外に出ようと玄関の引き戸を開けようとしたら、見慣れないハチのようなものが外に出たいようでもがいていた。引き戸を開けて迂回路にしたが逃げようともしない。一途な性格だ。ハチの多くはよくあるタイプだ。2cmくらいのベッコウ色の翅がきれいだったので、とりあえず捕獲してみる。調べてみたら、「ベッコウバエ」(ベッコウバエ科)だった。翅には5個の丸い紋があり、背中には3対の黒っぽい縦条線があった。
すでに弱っていたようだが、容器の中では仰向けになって暴れていたが元に戻れなくなっていた。腹部が黒いのはメスのようだ。ベッコウバエの餌は、樹液・糞・キノコだという。そう言えば、昨日わが家のバイオトイレの糞尿を取り出し畑の隅に埋めたばかりだ。春や夏にこれをやると、作業して数分でハエが大挙してやってくる。ハエの嗅覚の速さにいつも感心する。昨日はさすがに1匹も来なかった。ひょっとすると、その近くにいたのかもと類推する。
その足で、畑に向かうとその近くに怪しい足跡があった。間違いなく、動物のものだ。これはどうも蹄のかたちなので、シカかイノシシに違いないと当局に報告する。すると、どうやらシカのようだという鑑識の頼りない回答があった。いつもだとシカの食害にやられてしまうが、もう畑にはシカが食べられる野菜や樹の葉はない。足跡から右往左往するシカの動きが見て取れる。最近、イノシシがおとなしくなったものの、今度はシカの出番かとため息をつく。
それ以上に、人間界の罪はエンドレスだ。闇バイトにしても詐欺にしてもつまらん行為にうんざりだ。武道家で思想家の内田樹は、そうした現象群は日本人が「幼児化」している「結果だ」と明快な評決を下す。そうした結果を産み出してきた「集団的な思考停止状態」に絶望的だが、それに対して自分は何ができるかを卑近な例で提起している。それらを考えると、害獣諸君の狼藉はかわいいもんだ。それも人間が生みだした結果だもんな。