うんざりするほど雨が続く。畳も湿っぽくなっている。夕方、雨が止んだのをチャンスだとして急いでキュウリや甘長トウガラシやブルーベリー等を収穫する。そのとき、キュウリ畑の柵の網のなかに何かが隠れていたのを感じた。それは、裏の翅の地味な模様から蛾ではないかと思ったが、そのうちに表の翅が見えてきた。
この模様だったら、よく遊びに来る「ツマグロヒョウモン」のメスに間違いない。雨宿りしたのはいいが出られないので困惑しているようにも見えた。網が重なっている所ではあるけれど、それで雨宿りになるのかは人間としては疑問だけど。
とりあえず、網を手繰り寄せて解放してあげようとした。しかしなかなか逃げていかない。カメラを近づけても飛び立たない。「雨はいま止んでいるよ」と声を掛けたらやっと飛んでいった。じつはその裏側にも、同宿者がいた。
こちらのほうは、スズメガ科の「セスジスズメ」だった。ハングライダーのようなスマートな成虫だった。幼虫は新幹線のような魅力的なデザインだ。見つけると嬉しくなるほどだけど、大食漢なのであっというまに葉を食べられてしまう。サツマイモや里芋が好物だが、まだ被害があったかどうかはわからない。こちらもなかなか出ていかなかった。
いっぽう、雨が届かなかった軒下には、「アマガエル」がいた。足が金色に輝いていた。カメラを近づけるとこちらは逃げ出した。いつ見ても、アマガエルはかわいい。
顔もなかなかのイケメンだった。逃げて飛びついたのはビニール傘だった。まさか傘の下に行きたいのだろうか。鉱山学者の山口青邨(セイソン)が詠んだ俳句「われをひとりここにおきけり雨蛙」というのがいい。人知れず山奥を探索することが多い青邨らしい心情が伝わってくる。
雨天の続く日々から、地球が人間に逆襲するような気候変動やコロナ攻勢ではないかと思ってしまう。
今年の「日本経済新聞」元旦号には、EUを中心とする世界と日本がカーボンゼロをめざすという特集を一面に載せた。日本が世界のバスに乗り遅れまいとあわてて決定した感じは否めない。オイラは数十年前から関心を持っていたんだけど。パイプ片手にバラエティー番組で活躍した評論家・竹村健一氏の息子竹村真一氏は、自然エネルギー・NPOネットワーク・新炭素革命などを提言。人類の新しい生き方をに早くから呼びかけていた。メディアが注目していないのがおかしいと思っていた。
そういう先験的な提唱に当局は耳を傾けないで経済成長路線をやめようともしなかった。それはコロナ対策でも変わらなかった。それが世界の戦略が変わると手のひらを返すように同調する。本音ではないので手先だけの利益にしがみつくといういつもの路線だ。
そうは言っても、2050年までに世界はCO2排出をゼロにするという宣言はやっとだけど画期的だ。化石燃料で急速に発展してきた人類の歯車を逆回転させようという革命だ。民間ではかなりこの分野での試みは試行錯誤してきた。特許出願数にも明確に表れている。それらを政府が一気に後押しするという地平にあるが、中国はその点では違う意味で先行もしている。官民あげて日本もその遅れを取り戻していただきたいものだ。