桜の木にいたやや太っちょのアオムシくんはスズメガではなかった。一見した感じからスズメガと思いきやしっぽの突起が違うようだった。スズメガの幼虫だと「尾角」が針のような角だが、これはトンガリコーン型だった。改めて調べなおしたら、1996年に新種としてオオシマカラスヨトウから独立したばかりの「ナンカイカラスヨトウ」(ヤガ科)であると判明。
体の脇の白線にある呼吸器官・「気門」の中心が白で回りが黒であるのが決め手だ。南方系の蛾なので、「南海・烏夜盗蛾」というわけだ。雑食の大食漢なので、あっという間に食害されるので注意が必要だ。桜のバラ科をはじめグミや果樹も好きなようだ。
今年もやってきた「シロシタホタルガ」の幼虫。相変わらずポップなスタイリストだ。外敵に毒を持っていることを知らせている警告色をしているため隠れることはしない。それに、食樹の「クロミノニシゴリ」だけに来るというのが面白い。葉が柔らかいからか。近くのヒサカキも食べるらしいが見たことはない。クロミノニシゴリの成長が遅れたりするとシロシタホタルガは生存できなくなる事例もあったようだ。お互いに寄生的な関係があるのだろうか。わが畑の隣にクロミノニシゴリがたまたまあったというのが貴重だ。里山の多様性の存在を持続しなくてはならないとあらためて思う。