20年前だっただろうか、千葉へ行ったとき住宅街の一角で見かけて、その前で心を奪われたように立ちすくした想い出があったのが、「ホオベニエニシダ」だった。この華やかさの見事さをぜひバタフライガーデンで実現したいと昨年定植したものだった。なかなか入手ができなかったがやっと植えつけることができ、しかも今年には見事な花を見せてくれた。遠くから見ても鮮やかに目立つ。
花の形からして、マメ科であるのはわかる。ヨーロッパ原産で江戸時代にオランダ経由でやってきた「エニシダ」の園芸品種だ。オランダ語で「ヘニシタ」「ゲニシタ」と呼んだことから、「エニシダ」と命名するようになったというのが名前の由来らしい。
樹形が箒型だが、この枝を束ねて実際箒にしていたらしい。伝説では魔女がこれにまたがって飛行したという。この箒にちなんで、花言葉は「清楚」「清潔」。
また、フランスでの伝説は。王である兄を殺した弟が、城を出て悔恨(カイコン)の旅をする。そのとき、エニシダに懺悔を繰り返していたという。そこから、花言葉は「謙遜」「卑下」ということにもなった。花にまつわる物語があるのは楽しい。いつもながらだが、専門家は植物の緻密な特徴を並べるもののどうもそういう幅がないのが残念だ。