前々から調子は悪かったが、なんとか続いてきて約15年が経ったバイオトイレがついに止まってしまった。糞尿とおが屑をミックスしてスクリューで回転して攪拌する。それを2~3ヵ月してからそれをかき出して畑の際に投入し、土や落葉・枝などを上にかけておく。すると、いつのまにか発酵が始まって栄養ある土・肥料になっていく。江戸から昭和30代くらいまでは、人糞が重要な肥料だった。オラが小さいころ、親父が人糞を畑にまいていたのを見たことがある。
そんな有機肥料を産むのがバイオトイレだということで、15年ほど前に導入。山小屋ではこれが有力なトイレだったが、個人では極めて少ない。おそらく、わが町ではわが家が導入の第1号だったのではないかと思う。江戸の長屋では共同便所があり、農家はその糞尿を買い付けに来たくらいだ。江戸城の糞尿は高価だったという。
さて、故障の原因かなと手元の運転スイッチを分解して接触関係を見てみる。ところが、分解するのが容易ではなかった。5X2cmほどの小さな運転スイッチだったが、けっこう緻密で何度も失敗を続け、小道具をいろいろ持って来てはチャレンジしてみるが、壊してしまいそうな恐れもあった。
なんと一日かかって点検作業を続けたが、どうも運転スイッチが原因ではなかったようだ。原因はもっと機械本体にあるようだった。きっと、ヒューズが切れたということなのかもしれない。とにかく、手のひらに乗るこの小さなメカの中には日本が得意とする手作業の粋が込められているのを感じた。生理的な事態は能登地方のように切迫している状況だったが、それよりも日本の技術力に感心させられる一日だった。トイレに行くたびにおが屑を掛ければ臭いは気にならないのが救いだった。後は業者の方の出番となる。