コンビニの前にあるベンチ。
一人の中年男性がやや疲れた表情で太ももをマッサージしている。頭には笠を被り、柄物のシャツの上に白衣。
男性一人の歩き遍路だった。かなり疲れているのかベンチ周辺にリュックや杖を置き、コンビニで買ったと思われる清涼飲料水をゆっくりと飲んでいた。
梅雨に入ってやや少なくなったようだが、5月初旬から中旬にかけ歩き遍路の方をよくみかけた。梅雨に入ると蒸し暑く歩き遍路は倍以上の疲れが出るのだろう。
「どちらからお越しになったのですか?」
「大阪です。徳島から始めて・・・やっぱりきついですねぇ。最初、始めてから3日目に泊まった宿で二晩眠りっぱなしでした・・・ただ、無意識に水を飲んだ形跡は残っていました。安い宿で助かったのですが・・・」と白い歯を見せながらニコッと笑顔を見せた。
「なぜ歩き遍路をと思い立ったのですか?」
「親せきや知り合いが次々と亡くなってしまって、何かあるのかなと考え、事業をたたんで(止めて)一念発起です」
「お仕事はどんな関係でした?」
「コンサルティング会社を経営していました。。でももう1回は立ち上げることはしないと思います」「もう少し若かったら速く元気に回れると思いますが、還暦過ぎての歩き遍路は堪えます」
去年秋には、会社をリタイアしたばかりの男性から、釣りをしていて、道を尋ねられ、しばらく話しこんだ事があったが、やはり団塊の世代の人で四国遍路にチャレンジしている方をよく見かける。
今日会った男性は限界まで挑戦してみようという意気込みがことばに溢れていた。
電車もバスも携帯電話もコンビニもない時代、弘法大師は一人で88か寺を開設、巡拝したという。
歩き遍路のブームだ。
結願した時の爽快感、達成感を味わうのは、実際にやってみないと判らないはず。
今日会った方に、月並みだが「お疲れでしょうが、ゆっくりのんびり楽しみながらプラス志向で巡拝してくださいねっ!」と激励し、その場を後にした。