ホームグラウンドの釣り場でよく会う二人。
一人は69歳、釣り歴40年以上のベテランの釣り師、もう一人は波止の釣りは2年目という66歳の初老の男性。
ベテラン釣り師は小太りで優しく穏やかで几帳面な性格。
もう一人は、波止の釣りは短いがこれまで磯釣りを中心にやっていた真面目で見るからにコツコツ努力、工夫を怠らないという、自称せっかちのやや太り気味の人。
2人とも共通することは、とにかく研究熱心。特に後者は、仕掛けの研究、竿とのバランス、遠投のポイント実践に暇がない。
梅雨前線が南下し、梅雨の晴れ間が訪れた日、釣り道具は持たないで、毎日のようにここを訪れている二人を見に行く時がある。
前者はマイペースで、釣りを続け、後者は5,6回投げては浮子や仕掛けを変えてチャレンジしている。
そこに私が入ると三人三様の考えがあって、釣り場が急に賑やかになっていく。
それぞれの研究発表の時間になっているわけだが、時折議論が白熱し、釣りを忘れてしまう時がある。
その光景は童心に帰っているようなものだが、高齢者同士の会話はお互いを尊敬しあいながら、釣果アップの情報交換の話に変わっていく。
趣味に生きるトリオの話しは、まさに“ミニ釣りクラブ”のようで、私は釣りをしている錯覚に陥ってしまっていた。
健康に生きる秘訣、それは年をとっても気分は若く、常に研究、工夫を続けることのようだ。