無農薬・自然菜園(自然農法・自然農)で、持続できる自給自足Life。~自然な暮らしの豊かさの分かち合い~

信州の大地で自然農と自然農法で育てる自給農園で、日々の営みや生命を通して感じることや想うことを発信するブログ。

自然菜園の土づくり(化学肥料を使っていた畑回復編)

2012-09-07 19:23:38 | 日々の自然菜園
本日、


ついに、先日2冊目の著書『これならできる!自然菜園 耕さず草を生やして共育ち』(農文協)が発売され、
自然に野菜を育てたい方に向けて一層わかりやすくお伝え出来るようになりたいと思いました。


今回は、元々化学肥料を中心に菜園を行っていた農地100㎡を1年かけて自然菜園に切り替える一つの試みをご紹介いたします。

今まで家庭菜園を行っていたことからも、野菜が育つ畑であることはわかるのですが、自然に生えてくる草を見る限りでは、
スギナや痩せ地に生えるキク科の草が多い畑でした。

これから自然菜園を行う場合、直前まで畑をやっていたのか。全く畑でなかったのかは重要なポイントになります。

土壌分析の結果は、
pH 6.3 (適正値5.5~6.5)
EC 0.05 (適正値0.1~0.2)
CEC 26.9 (適正値20~30)
カルシウム 654 (適正値300~500)
マグネシウム 171(適正値70~120)
カリウム 140(適正値16~115)
塩基飽和度 130(適正値70~100)
有効態リン酸 50(適正値20~100)
※適正値は、全体のバランスや、土壌のタイプや栽培方法によって異なります。

まずまずです。土の養分はバランスが大切で、EC低めの、塩基(マグネシウム、カルシウムやカリウム)が多い結果となりました。

通常の栽培をしていると、
窒素系の化学肥料や苦土石灰(マグネシウム&カルシウム)やカリウムを投入するので、
流失しやすい窒素系の化学肥料が失われ、その結果EC(電気伝導度のこと)である硝酸態窒素の数値が少なくなり、
流失しにくいマグネシウム、カルシウムやカリウムが毎年蓄積して適正値を超えてしまう傾向があります。

この畑でも例外ではなく、その傾向があり、化学肥料で窒素系の養分を毎年投入すれば、他の肥料はあまり必要でなく普通に野菜が育ついい畑と言えると思います。

しかし、来年以降から低投入の無農薬・自然菜園に切り替えたいので、


4月から緑肥作物(エンバク、ソルゴー、クロタラリア、セスバニア)を投入し草と共に育て、
伸びたら、刈るを数カ月に一度行ってきました。

緑肥作物を導入した目的は、生きた有機物を育てることで腐植を多くし、生き物を増やしたかったからです。
今までは、化学肥料・農薬の漬けだったので、リハビリといった感じです。

ところが干ばつと猛暑だったせいか、土壌分析の数値とは異なり、以外にも緑肥作物たちも旺盛に育たず、
写真のように、緑肥の間にスギナが生えてくる痩せ地の傾向でした。

そこで、今回はさらなるテコ入れ(リハビリ後のトレーニング)をすることにしました。


根を残して、草刈りをしました。

根は、残しておくことで、土の中の生き物の餌になり、分解後腐植になってくれます。

今回は、刈る前に草の上から米ぬかを5kg全体に薄ら撒いてから刈りました。

刈った草に少量の米ぬかがまんべんなく混ぜるテクニックです。
米ぬかと新鮮な草が混ざることで、発酵しやすくなり土に還りやすくなります


今回は、堆肥をすき込むことにしたので、草を熊手で集め、


耕した後使うために、畑の外に山にして持ち出します。


耕す前に、クン炭を撒きます。




クン炭とは、お米の精米の際にでるモミガラを焼いた炭です。

pHは正常値の畑なので、アルカリである炭を入れ過ぎるとpH7以上になると野菜が育ちにくくなるので、
今回は、100㎡に20Lほど抑え気味に投入します。

投入する目的は、クン炭は炭なので、投入することで土壌中の生き物が増えてくれますし、
その結果土がフカフカしてくれます。


この畑は、粘土質が強い傾向があるので、クン炭が一役買ってくれればありがたいです。


クン炭を撒いてから堆肥の入った袋を配置します。


堆肥は、落ち葉を主に、モミガラ、自然鶏糞、米ぬか、壁土をいれた自家製のもので、
2年前に仕込んで、熟成させたものです。

堆肥には、肥料分を多く含んだタイプと、肥料分が少なく土壌微生物を活性化させ、団粒化や腐植を発達させてくれるタイプがあります。

今回は、落ち葉堆肥なので、後者のタイプです。


堆肥を畑に撒きます。

堆肥の撒き方にはコツがあります。


堆肥は、微生物の住処でもあり、エサでもあるので、全体にパラパラ撒くだけでなく、
ある程度固まりで配るように撒くと、効果的にすき込むことが出来ます。


今回は、小雨が時々降るような曇りの天気に堆肥を配ることが出来たので最高でした。
晴天に行うと、どうしても堆肥が乾燥したりして微生物が死んでしまうので、雨の後の曇りの日が最適です。


堆肥が乾かない内に、堆肥と土を浅くすき込みます。


今回は、管理機(ミニ耕運機)に土寄せのアタッチメントをつけて、
牛や馬に鋤を引かせる要領で、耕すというよりも鋤耕しました。


深さ10cm程度の浅く、堆肥と土をざっくり混ぜるように全面すき込みます。

浅くすき込むことで、酸素が豊富にあるため堆肥の微生物も活性化し土に馴染みやすいものです。


刈った草をすき込んだ土の上に敷き直していきます。


草を敷くことで、土が乾きにくく、微生物が活動しやすく更に堆肥と土が馴染みやすくなります。


刈った草をすべて戻すことで、一見畑全体が元の草畑に戻った感じです。

草を外で発酵させてからすき込むこともグットです。

今回は、畑の土の様子を見ながら、今後の予定を決めようと思いますが、とりあえず土と堆肥が2週間~1カ月くらいはこのまま
草を敷いておこうと思います。


土づくりは、決まったやり方が一つではありません

今回は、緑肥作物を育てながら様子を見ながらの堆肥をすき込む選択でした。
来年から自然菜園できるように、土の団粒化、腐植化を進め、結果としてECが0.1位に高くなってくれたらいいなーと思っております。

土壌分析は、人間の健康診断と似ています。
診断結果はあくまで現時点の数値的な結果で、性格まで反映されているわけではありません。

それでもとても良い指標にはなります。
最初は、簡易の土壌分析がお奨めです。簡易土壌分析は、ホームセンターなどで500~3,000円から行えます。

簡易土壌分析を2~3年行いながら、土壌改良の結果の移行を確認していくといいと思います。

今回は、化学肥料などで、生き物が少なくなり、腐植も少なく、土が硬くなりやすい畑でした。
緑肥作物の生育も芳しくなく、テコ入れも必要だと思いました。

病弱な畑で、いきなり自然菜園を行うよりも、1年間集中して土づくりを行うのも手です。
9月に入り、猛暑も和らぎ、秋に土づくりのための堆肥投入はとても有効です。
秋から土づくりを行えば、冬で土の生き物が冬眠するまえに、土づくりが進み、来年春までに充分時間があるからです。

自然に土づくりをするということは、時間をかけて、生き物の力を借り行うことです。
化学肥料のようにはいきません。その代わり、持続可能な畑になるので一生ものの食べ物が育つ畑になります。


まだまだ試験的な取り組みですが、とても面白く有意義な取り組みです。
参考にしてみてください。

コメント (11)
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