無農薬・自然菜園(自然農法・自然農)で、持続できる自給自足Life。~自然な暮らしの豊かさの分かち合い~

信州の大地で自然農と自然農法で育てる自給農園で、日々の営みや生命を通して感じることや想うことを発信するブログ。

自給稲作の勉強会10月(その2:田んぼ用自然堆肥造り&稲ワラの還元)

2016-10-05 08:53:58 | 自然菜園スクール
本日、のちの予報。
まだったままです。

10/2にアップした給稲作の勉強会10月(その1:稲刈り&新米の竃炊き)の続きを投稿していないことをご指摘いただきました。
申し訳ございませんでした。

今日はその続きで田んぼ用自然堆肥造り&稲ワラの還元についてアップしようと思います。




稲ワラを友人のワラカッターをお借りして、裁断し、集めている様子です。


稲ワラですが、たかが稲ワラ、されど稲ワラです。

稲にとって、米ぬか土に還ればオカズになり、養分たっぷりの胚芽が発芽~葉3枚まで支えてくれ、ヌカは光合成や穂の充実を支えてくれます。
ワラは、2~3年かけて分解され、稲の根を育て、稲の体をつくるゴハンになります。

そこで、稲ワラを上手に土に還してあげると、長期間にわたり稲の生育を促進してくれるので是非とも田んぼの土に還したい優良有機資材ともいえます。

ところが、上手に土に還してあげる、と書いたのは春までに60%以下の分解(つまり未分解のまま残ると)コナギの発芽を促進するという実験結果も出ております。
つまり、ワラを下手に投入すると、コナギの発芽が促進され、コナギ(草)だらけになってしまうということです。

しかも、未分解のワラが初夏にかけて田んぼで発酵すると、ガスなどが湧き、稲の根の生育を抑制してしまいます。

結論から言うと、
「稲ワラを上手に田んぼの土に還すことができると、稲は育ちが良くなり、収量は増収します。
ところが、稲ワラが田植えまでに分解できていないと、草が増え、稲の生育が悪くなるので、収量は減収し、翌年も草が優勢になりがちです」


除草剤を使わない、農薬・化学肥料不使用の自給稲作では、稲ワラの土への戻し方次第で、是非が分かれるといっても過言ではありません。

つまり、上手に田んぼに稲ワラを戻す工夫を昨日のブログ、今回のブログで考察してみましょう!

1)まずは田んぼ用の堆肥造りです。

一輪車でしっかり計量しながら、


もみ殻:2杯


稲ワラ:2杯


米ぬか半分、鶏床半分で、合わせて1杯


混ぜながら重ねていきます。

つまり、炭素資材(稲ワラ+もみ殻):チッソ資材(米ぬか+鶏床)=4:1になるように混ぜながら重ねていきます。

鶏床というのは、平飼いの半年以上鶏小屋の床になっていた鶏糞と混ぜられたもみ殻床のことです。

もみ殻の割合が大きくなるにつれて、炭素率が高くなるので、今回は米ぬかにカロリーの高いチッソ資材鶏床を半分の割合にした次第です。

鶏床がない場合は、遺伝子組み換えでない油かすか、オカラ、発酵ボカシでも代用できます。




今回は、田んぼに生えているマコモを裁断して加えました。

青いフレッシュな草(種のない)などを入れると発酵が促進するので、半~1杯入れるとさらに良いでしょう。

材料が全部良く混ざったら、






水を加えて、全体が水分量が60~70%になるようによく混ぜながら隣に、富士さん型に重ねていきます。


その後、1500番以下の薄地のブルーシートで覆うと、
材料比率と水分量、そして積み方がよければ3日以内に40℃以上になります。




本日4日目ですが、65℃に達しているので、大成功というわけです。

つまり、ワラを上手に田んぼの土に戻す方法として、
田んぼの周辺で集まる稲由来の有機物で、田んぼに入れる前にある程度分解しておくということです。

堆肥に積み上げてから1週間後に(水などを加え)切り返し、2週間後、3週間後、4週間後と切り返すことで、約2~3カ月間かけて60~70℃を維持し、病気・種子などを焼き切り、
発酵を促した後、来年の稲刈りまでに、2~3カ月に一度切り返し、完熟堆肥化させて、

稲刈り、脱穀後に田んぼの土に還していきます。

こうして、1年かけて発酵熟成させた完熟稲ワラ堆肥を秋起こしの際に投入することで、稲ワラを分解する菌など微生物を田んぼで養います。

特に、農薬・化学肥料を使用してきた田んぼには、いきなりワラを戻しても分解する微生物の働きが弱くなっていることもあり、
ワラの分解が消化不良になりがちで上手にワラが分解してくれないこともあるので、手間でもワラを堆肥化してから田んぼに戻すことをお奨めします。


3)ワラをそのまま田んぼに戻す工夫

稲刈り後、すぐに米ぬかをうっすら撒いた田んぼに、稲ワラの全体量の3分の1の切りワラを薄く敷いていきます。

ワラは長いままよりも短く切ってあった方が分解しやすいですし、寒冷地では全体量の半分以下の方が未分解が春までに残りにくく良いと判断したからです。

暖地の場合は、分解期間が長いこともあり全量戻しても大丈夫です。
ワラの量は地域に合わせて変えていくといいと思います。




田んぼ全面に薄く広く切りワラが敷きつめられました。

この田んぼは、農薬・化学肥料を未使用にしてから3年目の稲作です。今まで3年間この田んぼには、生のワラを一度も戻していません。

というのは、寒冷地であること、土が疲弊したこと、粘土質が強く、積雪があるので、春までに生のワラを分解しずらい環境が重なったので、
まずは、この3年間は、堆肥化したものを秋に鋤き込み、米ぬかを多めにして、完全に草を抑えることに成功してお米を育ててきました。

来年4年目に入る今年は、今までの3年間の蓄積から、土に分解者が増えているだろうし、この田んぼについてもマスターしてきたので、5年目以降のことを考えて今年は3分の1の切りワラの鋤き込みに挑戦します。

予定では、あと数年で、米ぬかの散布量(回数)が減り、堆肥造りの回数も減り、切りワラを戻すだけで良く育つ田んぼになると思います。
のちのち(年をとっても)楽ができるように、若いうち苦労(工夫を重ねておき)しておきたいと思います。

ワラを撒いた翌日の朝、朝露で濡れたワラの上から米ぬかを散布して、切りワラに米ぬかを纏わせて養生し、天気を観ながら田んぼが最も乾いたときに、
もみ殻、ボカシとクン炭を加えて秋起こししようと準備中です。

堆肥造りや切りワラ撒きいずれも大変ですが、化学肥料のようにすぐに効かない有機資材の特性を活かすことと、
除草剤をつかわないので、草の生える条件をそろえないことが自給稲作の要になります。

手前味噌のように、味噌づくりは大変ですが、買った味噌にはない醍醐味があります。
田んぼも手前味噌のように、愛情と時間とタイミングを合わせていくことで、美味しいお米が育つ田んぼになってくれます。

自給稲作のテーマは、自給できること(収量の安定)、食味の向上、保存性の高い高品質のお米という三位一体の米作りです。

今年は、この4アール(400㎡)の田んぼから玄米重で4.5俵以上の収量があり、10アール(1反)あたりで、11.1俵(660kg)もの収量が収穫できました。
食味検定はまだですが、食べた感じからすると今年も美味しくて多収穫、無草が達成できそうです。有難いことです。

一人1アール(100㎡=30坪)あれば自給できる時代ですから、
大きな田んぼはプロに任せて、小さな田んぼは自給用に家族中心で仲間でできるといいなーと思います。


2016年内容充実で、
『無農薬・自然菜園入門講座』が第一水曜日長野市城山公民館で18:30~21:30までスタートしています。
城山公民館での「これならできる!自然菜園入門講座」講座が開催です。毎月の野菜と土づくりのテーマで質問時間もたっぷりあるので是非お越しください。

明日10/5(水)は、18:30~長野市城山公民館で自然菜園講座です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする