7/11(土)19:00 スタート【これなら聞ける!?自然菜園】竹内孝功さんの新講座『自然菜園オンラインQ&Aセミナー第1回』!
本日、。
全国で、長雨、大雨の被害が出始めている今日この頃。
うちでも毎日雨降りで、何もできず、傘を持って見回りと、水脈整備だけはして、あとは、5~6月の超農繁期で疲れている身体を養生しつつ、PC業務に勤しんでおります。
生徒さんからコムギの質問が来たので、超農繁期にアップできなかった梅雨のコムギのことを記事にしてみようと思いました。
うちの自然菜園では、元々田んぼだったので、湿田すぎて小麦が生育せず(雪の過湿と水はけの悪さで、発芽不良と越冬できず)、
緑肥作物「ようやく完了~。元田んぼの小麦畑化「セスバニアmixの裁断&鋤き込み」」で土壌改良してから、一昨年から小麦が育つようになりました。
ただ、シカの食害があり、60㎏とれるはずが、6㎏と種子分になってしまったので、鹿対策もしたお蔭で今年は、普通に育ってくれました。
現在、今までやってきた品種2種類の他に、製パン性の強い「ユメチカラ」、「南部小麦」なども導入して4種類比較実験をしてみました。
今までに、古代コムギ(カムット、マカロニ)や日本の主要小麦を20年位いろいろ育ててきましたが、
コムギによって、製パン性(グルテン量や膨らみ)、穂発芽、カビ、収穫時期、収量、甘みなど風味がどれも違います。
育てやすく、自分の用途に合っている品種と出会い事が一番大切だと思いました。
というのは、元々収穫時期に梅雨があり、雨の多く湿度が高く、ミネラル不足の日本において、製パン性の高い小麦や古代コムギはハードルが高く、
元々はオオムギで、麦飯や麦こがし「はったい粉」や麦茶が主流で、コムギは戦後のパン政策と減反政策の中で、パン食の浸透と共に発展したもので、
コムギは、うどんや、おやきなどお米がとれない地域(水はけがよく、水が来ない田んぼのできない地域)限定でした。
うどんなどは、中力粉という、グルテンが中程度の小麦が最適で、日本の土壌に合った小麦の多くは、中力粉になってしまい、
今でこそ、中強力粉が品種改良の末できてきた背景があるからです。
現在の課題は、元水田で、水はけを改良したり、明渠(水脈整備)で対策していても、梅雨と小麦の収穫時期が重なる問題はそのままなので、
品種の選定と、育て方と刈り取り時期の工夫などで、カビの生えない小麦を安定収穫することを構築しております。
それは、麦のカビは侮れず、超危険だからです。
たかがカビ、されどカビです。
中世のヨーロッパで、ペスト、ジャガイモ危機どうように、中毒が大問題だった麦のカビ「麦角菌」
麦角の中に含まれる麦角アルカロイドに分類されるアルカロイドは様々な毒性を示し、麦角中毒と呼ばれる食中毒症状をヨーロッパなどで歴史上しばしば引き起こしてきました。
麦角菌の食中毒で、顔の形が変形し、魔女のように顔がただれ、魔女狩りにも直結したほどの中毒です。
カビが生えた小麦は食べてはいけませんし、種子感染するので種にもできなくなって困りものです。
そこで、今年は、雨が入る前にどの程度で若刈りができるか、その後若刈りしたものをどうするのか、袋干しをはざがけで4種類比較してみました。
袋干しは、メッシュのハーベスタ(脱穀機)の袋に3分の1位ほど薄く少量入れたものを、ネズミ返しのついた場所(コンテナにコンパネなど載せただけ)に入れて、
風通しの良いハウスの中で、1日2回ほど天地返しする。
その後、晴天の日に、広げて干して、布団の天日干し同様、15時までには取り込み。
水分量を15%以下に調整する。
今回まだ未熟なやや晩生の南部小麦と一緒に、種をハウス内にはざがけしました。
面倒くさくても、種子さえ健全だったらもとに戻すことができるので、種子用の小麦は、必ず若刈りして天日干ししております。
ハウス内のシャインマスカットもこの雨に当たらず、順調に生育中です。
現在、道法スタイルを基本に、無農薬・家庭果樹を構築しておりますが、このシャインマスカットは、このまま完熟干しブドウになり、「
風味と味がやばすぎて」来る生徒さんを虜にしております(笑)
今回、予想以上だったのが、ユキチカラのはざがけ効果です。収穫はともに若刈りでしたが、
左が、袋(種子)乾燥、右がはざがけ(ワラつき種子)乾燥。
まったく色が違います。違う品種かと見間違えるほどの差が出ました。
右の透明で濃いガラス質は、高グルテン蓄積の証で、確実に超強力小麦の本領を発揮した状態です。
左は、千粒重までは測っておりませんが、収量(目方)もグルテン量も減収していることが明らかです。
生育後半にグルテン量が決まるとは知っておりましたが、はざがけするだけで、こんなにも違うのは驚異的でした。
若刈りは、収量性や脱穀に難があり、早すぎるとカビやすいのですが、
刈り取りが遅れると、昔の品種ほど、穂発芽といって、穂で芽が出たり、麦角菌でカビたり、倒伏したり、せっかくの小麦が台無しになりかねないので、
春まきや、移植法、土寄せ、緑肥輪作などいろいろやった結果、若刈りが一番簡単で、効果的でした。
今回のケースで、若刈り+雨の当てないはざがけは超有効だとわかったので、屋外でのはざがけも研究の余地が高いです。
ハウスへの移動や脱穀は大変なので、本来種子以外は、外にはざがけしますが、お米同様、ビニールで覆ったりして、雨でも屋外のはざがけは可能です。
お米を育てている方であれば、同じ資材でできるので、コムギと稲の両立が可能です。
高グルテン品種(製パン性の高い品種)以外であれば、袋干しなどで対応可能かと思いましたが、
収量が多く、ハウスや移動のための軽トラがない方も多いので、屋外でのはざがけも研究の余地ありだと思いました。
今年から小麦が採れ始めたので、6月末~7月上旬がとても忙しなってしまいましたが、せっかく育てた小麦が高品質で、収穫安定し、自給できたことは嬉しい限りです。
まだまだ課題は残っていますが、毎年一つずつ解消しているので、来年からは、4種類→2~3種類に減らし、身体にも負担が少なく、美味しい小麦が自給できるように改善していこうと思います。
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