コロンブスの偉業について 平成25年7月3日
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著者はしがきから
わたしは、1894年に極東を訪れた11人の
調査団の一員であった。
3年半にわたる極東滞在中、
ヒマラヤの大師たちに接触した。
大師は私たちが 偉大なる法則の働きを
実証されるのを実際に見るために、
大師がたの生活の中に親しく入り込む
ことを許してくれた。私のノートを今ここに、
“極東における、大師たちの生活と教え”
と題して、発表するが、そこに盛られた内容を
そのまま受け入れるか、否認するかは、
読者の自由である。
7月4日の朝、峠の頂点に着いた。
わたし達は 一日の休みを取ってよいだけの
仕事をしたし、その休みを祝うに
7月4日にまさる日はない、と
エミール師は前の晩に話しておられた。
朝食のとき、エミール師は語り始めた。
“今日は7月4日で皆さんの国の独立誕生を
祝う日です。
この日は、誠に、有意義な相応しい日であります。
皆さんはもう私たちに 大なり小なり、信頼を
寄せてくれていると思います。
だから、腹蔵なく、語らえてもらいます。
あと数日もすれば、今、私の言っていることが
事実であるか、はっきりと証明できるでしょう。
私は、皆さんの御国をアメリカと呼び、その
住民をアメリカ人と呼ぶことを好ましく
思っています。
この意義ある日に、一人の例外を除けば、
この偉大なる国に、アメリカ人として生まれた
方々と共に語り、目と目を交わすことは、喜び
であります。
実は、私たちの中には、コロンブスがあの記憶
されるべき、探検に船出する以前より、
御国を見守る特権を与えられた方々が 若干数
おります。
他にも、アメリカを発見しようという試みも
ありましたが、みな、失敗しました。
何故でしょうか?
それは、ただ、あの神の与え給う特質、即ち信念が
欠けていたからです。
ヴィジョン(未来のすがた)を見て、かつ、
成就するだけの勇気と信念の有るものは、当時
まだ、目覚めていなかった。
地球は丸く、反対側に、既知の陸地と同じような、
陸地があるに違いないという悟りに、魂が目覚めた
その瞬間、偉大なる歴史的時代が再び新しく、
展開し始めたことになります。
コロンブスの魂にあの小さな、一粒の信念を
目覚めさせることは、一切を見給う偉大なる
全能者のほかに、果たして、何人に為し得た
でしょうか?
しかし、本人は、この至高な力には気がつきません
でした。
しかし、あの日、スペイン女王の前に立った時の
彼の言葉は何だったでしょうか?
‘敬愛申し上げる、女王陛下、私は、地球の丸い
ことを確信しております。
故に船を出して、それを証明いたしとう、ございます。‘
皆さんが認めるかどうかは分らぬが、
実はこの言葉は、神からの催しだったのです。
これによって、コロンブスは、それを遂行する
だけの決断力のある者と女王から認められた
のです。
それから、次次と事件が展開し始めました。
尤も、これらの事件は、いっぺんに全部では
ないが、小分けにして、何年も前に私どもには
見せつけられていました。
勿論、私どもは、普通の人々には、殆ど
信じがたいほどの驚くべきことが短時間の
うちに、成就し記録されるものと
夢に描いてはいたが、この間を通じて、
生き抜く特権を与えられていた私どもの
同僚は、今やそれ以上の驚嘆すべきことが
偉大なる貴国の将来にあることを
十分に察知していました。
御国は、自国の本当の霊的意識に
目覚めるべき時が来ていると私は感じる
ものであり、また、その実現の時にできる
だけの援助をしたいと願っているものです。“
(*1)(106)
著者はこのエミール師の言葉を受けて、
“アメリカの国の始まりはまことに、霊的で
あり、それゆえに、アメリカは世界の霊的発達
のリーダーとなるように定められている”(107)
と感じたと感慨を述べている。
エミール師の言葉は続く。
“以上のことが、ただ一人の人間の意識に植え付け、
伸ばされた信念の小さな種子によって、
可能となったことを、よく、考えていただきたい。
さて、次には、どんなことが起こったか、
お分かりでしょうか?
当時、コロンブスは、現実離れの夢想家と
思われたものでした。
昨日の夢は、今日の現実にほかならぬことを信じ、
且つ、知るところに、私どもは来つつありは
しないでしょうか?
ひとかどの事を成し遂げた人で、夢想家呼ばわり
をされなかった者がいるでしょうか?
事実、彼のヴィジョンは、ただの夢でしか
なかったろうか?
夢とは、実は、偉大なる、普遍心、即ち、神に
よって、人の魂に植え付けられ、やがて、
現として、提示された、神の理念ではなかったか。
彼は自分の意識の中で、遥か彼方に一つの
陸地をありありと霊視し、海図にもない
海洋の上にそれを定着させたのではないか。
その土地がもたらす約束と卓越を、
コロンブスは知っていたかどうか。
或いはまた、アメリカと名付けられるか
どうかを、コロンブスが知っていたか否かは、
私には分らない。
それは、たぶん、コロンブスの後代の人々の
ためにとって置かれた問題でありましょう。
要するに、それは、夢とあるいは、ヴィジョン
であったということです。
私たちはすでに、若干の驚くべきことが実現した
のを、目のあたりに見た。
しかし、コロンブスのこの一個のヴィジョンの
結果として、いかなる驚嘆をもたらすかは、
ただ、想像に待つのみです。
このようにして、世界を住み心地よきものと
する、妨げとなった、多くのヴィジョンをここで
語り直すこともえきます。
神が一切を通じて現れたまう行き方はこんな風
ではないでしょうか?
つまり、意識的にしろ、無意識的にしろ、神
に対し、大いなる信念を持った者がヴィジョン
を実現する。
心の中の到着点だけを 確信し続けて当時の
海図にもない海、困難、試練、失意に乗り
出したあの魂を想ってみよ。
その後 次次と起こった事件は、遂にかつ、
また必然的に、自分らの流儀で、神を礼拝する
信仰の自由を求めて、わずか一握りほどの
人々がメイフラワー号に乗船する かの日
を迎えたのです。” *1
(108)
*1)コロンブスのアメリカ大陸発見には諸説がある。
例えば、
・アメリカを初めて発見したのはコロンブスじゃない
・アメリカが大陸だということさえ、コロンブスは
知らなかった
・コロンブスは、死ぬまで、自分が到達したのは
「アジア大陸」の一部だと思っていた。
・アメリカが大陸だということさえ、コロンブスは
知らなかった
・アメリカが大陸だ!と気付いたのはアメリゴ・
ヴェスプッチ
・実は、400年前にはとっくにヨーロッパ人が
渡米していた
など、多彩だ。
真偽がいかにあるにせよ、コロンブスが新しい時代の
幕開けを開いたことは、エミール師のいうとおり
かもしれない。
参考)
ヒマラヤ聖者の生活研究―自由自在への道 全5巻
S54年6月5日第五版
ベアード・T・スポールディング著 仲里誠吉訳 霞が関書房
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