血糖値・コレステロール薬の効能実態 平成25年9月10日
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著者の近藤誠博士は 慶応義塾大学医学部講師。
1948年生まれで患者本位の治療の実現を掲げられ、
医療の情報公開を積極的に進めてこられた。
抗がん剤の毒性、拡大手術の危険性など、癌治療に
おける先駆的意見を述べられ、その功績から
2012年に 菊池寛賞 を受賞された。
心臓病や高血圧と並んで、コレステロールへの
認識は一般的に高い。
近藤医師は、著書の中で、”世界中で売れている
コレステロース薬の病気を防ぐ確率は 宝くじ以下”
と評している。
それに関して、原著から抜粋して引用したい。
” コレステロールを下げるスタチン類は、世界中で
売れている。2009年の米国での売り上げは一兆円レベル
(145億ドル)、アメリカでは2004年に悪玉コレステ
ロールの基準値が引き下げられた。
その根拠に説得力がなく、委員9人が製薬業界から、
賄賂をもらっていたことがわかり 抗議運動がおきた。”
と、書かれている。
何故コレステロールを調整するため、薬を飲んでまで
引き下げようとするかと言えば、”数値が高いと動脈硬化を
招く”あるいは、”脳卒中や心臓病などを引き起こしやすい”
という医学的常識が良く知られているからだろう。
それではその薬がどのくらい効用があるか? というと
冒頭に述べた、宝くじ以下の確立という。
その理由は何故?
以下本分からの抜粋である。
”アメリカの新聞に スタチン薬’リピドール’の大広告が
出たとき、欄外にごく小さく ’大規模な臨床試験で
偽薬(砂糖の錠剤)を投与した患者の 3%が
心臓発作を起こしました。リピトール投与患者では
2%でした”という一文が添えられた。
製薬会社が治験者100人ずつを3年4か月にわたって
調べたら偽薬を投与した患者は3人、リピトールのほう
は2人が心臓発作を起こした。
その差は一人でほかの、各99人はリピトールを
飲んでも飲まなくても、結果は同じだった。”という。
これは 患者一人の効果が表れるまでに99人が
その薬を飲んで治療を受けたということだ。
この数値を 医学界では NNT(治療必要例数)
といいリピドールの薬の NNTは99 ということ
になる。
業界では、もし、この値が 50 を超えたら、その薬
は”最悪の場合、全員がはずれ” と みなされている
そうだ。そこで、宝くじが ”当選” があるのに対し
リピドールの薬の効用は 全部外れくじの可能性が
あるわけで 宝くじ以下の確立となる。
アメリカ政府は この スタチン開発に出資。
その効果については、
”統計的に有意な薬効は確認できなかった”という、
最終テストのコメントを出したと 近藤医師は、
著書に記している。
さらに、
カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学のJ・M・
ライト教授は臨床実験を重ねて 以下のように結論:
”年齢にかかわらず、スタチン類は女性には無効。
中年男性では、悪玉コレステロールの値が大幅に
下がったが、総死亡数は減っていない。
ほとんどの人が、効果がないどころか、健康を害する
危険すらある”と警告しているという。
近藤医師は、コレステロールの薬のみならず、
高血糖の薬にも ここで言及している。
引用する。
”高血糖の薬も同じことです。薬やインシュリン注射
で血糖値を厳格にコントロールして、延命につながった
というデータは皆無。命を縮めたというデータは
あります。”として
”だから、高血圧、高コレステロール、糖尿病などの
大部分は、治療の必要がないか、病気と考えないほう
が良いということです。”
たとえば 糖尿病の常識一つにとっても、
薬で血糖値を下げることは 時として
放置しておくより、危険性が高いという。
その根拠として、1990年代に、イギリスで行われた
試験の結果を挙げている。
抜粋すると・・
”被験者は2型糖尿病で、自覚症状がなく体重が標準
の120%未満。血糖値は、110~270mg/dLまでの
3800人。
くじ引きで2群にわけ、A群は食餌療法、血糖値が
270を超えたら薬物療法を行った。
B群は、降下剤の薬を使用。血糖値が常に110未満
にとどまるよう薬で調節。”
という状況下、10年間観察した結果が以下。
”死亡、腎不全、失明に統計的に有意差がない”
一方、低血糖の発作に関しては薬剤で調節してきた
B群が A群の3倍に上った。
そこで近藤医師は以下のように記す。
”血糖降下薬は、合併症の予防や、延命には
何の効果もないのに、副作用が大きく、過敏症状、
下痢、頭痛、耳鳴り、倦怠感、体温低下、眠気、
むくみ、視力障害、腸閉そく。
肝臓機能障害 などに悩まされやすくなります”
もし、読者の中で、薬で血糖コントロール
している方がいれば、
”いつもだるい、イライラしてきれやすい、
足元がふらつく。認知症が出てきた”症状が出た
ときは、薬害の可能性があるということだ。
血糖値が高め と言われた方は薬より、食事に
気を付けよく、散歩して歩くことを、近藤医師は
薦めている。
参考文献) ”医者に殺されない47の心得” 近藤誠著 2013、 株)アスコム