■八重山ヒルギ
海の水と川の水が混じり合う汽水域。その難しい場所に育つ植物の総称が、マングローブです。ヒルギという植物は、亜熱帯で、塩に負けずに生きる術をもって生き抜く、不思議な木で、ぜひ深く知りたいと思っていました。
石垣からのフェリーのついた、大原港からマングローブ観察船にのり、仲間川を遡ります。
新月の翌日、大潮のこの日、島の干満差は大きくなり、海水は10kmも、仲間川を上流に遡ります。その潮にのって、船は川を上るのです。
アマゾンのポロロッカと同じ現象です。
船長さんが、ネイチャー・ガイドを兼ねてくれる他に、船の天井には、ヒルギの説明や、特徴的な生物の説明もありました。
西表島には7種のヒルギが育つそう。ヒルギの林は、潮の満ち干きを得て、ガザミや大蜆、さまざまな生き物の揺り篭なのです。
汽水にほぼ浸かっている、樹高の群落もあれば、最初にあげたような、陸生のような高木の群落もあります。
台風で倒れながらも、支柱根の回りに気根が大きく広がり、ヒルギらしい特徴がわかる場所もありました。
後方の熱帯雨林のジャングルとは違う、マングローブの緑の濃さ!
何故、汽水域=海水のある場所で、ヒルギは生きられるのか?
緑の葉の中に、一定の比率で見える黄色の葉が、その答です。
ヒルギは、根から吸い上げた塩を、全部で負担せず、一部の葉に蓄積させていくのです。その葉は黄色く染まり、限界を越えると、落葉します。
故に木の根本に漂う葉は、すべて黄色い。木を守るために、塩を集中して蓄積し、一定の間隔で存在する工夫。その葉が落ちると、その代わりをする葉が、また一枚、定まるのだそう。
この仕組みがあるから、ヒルギは汽水域に生き続けていけるのです。
一体誰が! こんな恐ろしいような工夫を、ヒルギの木に教えたのでしょう……。
命の不思議さに、ドキドキした時間でした。(ニッコリ)
■仲間川マングローブ観察船、西表島
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