虫の音が野分とばかり耳を打つ
望月やアオマツムシの今太閤
虫の音に動かぬままの夜半の月
婚活へ涼夜に熱き虫時雨
虫の音に開けてうるさき残暑かな
居間の窓際に設えた療養ベッドは二階の寝室より自然が身近だ。最近までアオマツムシの独演会みたいだったけれど、この頃は他の虫の音が主流になっている。
その中に「ボコッ」とか「ドスッ」とか無粋な音が混じるが、多くの虫の音は中断することもない。小生の聴覚だけが雑音?としているだけのようである。それはリンゴの落下音なのだ。
童謡に「おせどに木の実の落ちる夜は…」の一節があるけれど、ドングリや栗の落下音の「コトッ」とか「ポトッ」に比べれば、歌に情感を添える落下音でもない。「青リンゴだったのに・・・」と長いベッド生活を思い知らされる。
例年に比して吸虫害が多いので落ちるがままではあるが、暇にあかして手の届くところだけ集めてみた。丁寧に処理すればジャムの1リットル程度は出来そうだけど、三食とも家で食べている日々では、あえてパンは食べたくない。フイールドの栗も、そろそろ落下が始まる頃だろうが、この落ちる音が懐かしい。患足荷重が体重の3割程度ではフイールドはまだ遠い。