昨日気象庁から、今冬の天候に関する報道発表がありました。発表資料の中で記録的暖冬と少雪の状況が数字で示されています。東・西日本で度々顕著な高温となり12月から2月の冬の平均気温の平年差がそれぞれ+2.2℃、+2.0℃と、冬として最も高い記録を更新(統計開始:1946/1947年の冬)、全国の気象台等153 地点のうち111 地点で最も高い記録を更新(タイを含む)、また降雪量も全国的にかなり少なく、北・東日本日本海側では平年比がそれぞれ44%、7%と最も少ない記録を更新です(統計開始:1961/1962 年の冬)。
北海道と南西諸島を除き平年より1.5℃以上高い様子がわかります。単月ではなく3カ月通しての偏差が1.5℃以上も上回るのは極めて異例です。
12月以降の気温の時系列推移です。東日本と西日本では12月上旬と2月上旬に一時的に寒くなった以外は、ずっと春の陽気が続いたことがわかります。
最深積雪の平年比は、日本海側で軒並み60%以下となっています。異常さが伝わらないので、以下に数字の比較表を引用します。
降雪量の平年差に注目すると、北日本日本海側で44%、東日本日本海側では僅か7%となっています。雪不足は深刻で、新潟県の標高の低いスキー場では実質的な営業をせずにシーズンを終えたところもあり、北陸では経営が打撃をうけて倒産に至った会社もありました。
15時のAMEDASデータを調べてみたところ、新潟県で積雪を観測しているのは津南町の31cmのみ。湯沢町や守門町では積雪ゼロとなっています。例年は1m~2m年によっては3mを超える積雪がある時期ですが、今年の異常さが伝わってきます。
関東地方の高温記録を調べてみると
観測史上1位: 宇都宮、前橋、熊谷、水戸、甲府、河口湖、秩父、館野(つくば)、銚子、三島、横浜、網代、館山、勝浦、大島、三宅島、千葉、日光、父島
観測史上3位: 東京、八丈島
ほぼ全ての観測地点で観測史上1位の高温を観測していますが、東京は3位の8.0℃となっています(1位は2007年の8.6℃)。これはヒートアイランド現象が顕著な大手町から、緑地に囲まれた北の丸公園に観測地点が移転した影響が現れており、もし大手町で観測を続けたとすれば、並行観測に基づく新旧地点の気温差0.8℃(12月 0.9℃、1月0.9℃、2月0.6℃)を加味すると8.8℃となり、2007年を抜いて史上1位となっていたところです。
3月は寒の戻りも一時的で、来週以降は雨が多く暖かさが継続する予報となっています。2月上旬の一時的な寒さで休眠打破が進んでいるとすれば、3月中旬には全国各地で一斉にソメイヨシノが開花しそうな勢いです。但し、先週末に確認した段階ではソメイヨシノの蕾はまだ固く、開花の時期は今後の天候に左右されそうです。
昨年の台風被害に続いて今回の記録的大暖冬、そして世間を騒がせているコロナウイルスの追い打ちなど、消費税10%の影響が吹っ飛ぶほどの日本経済への大打撃が続いています。今年の夏も昨年同様の巨大台風の直撃や猛暑が予想され、そして忘れてはならないのが、いつかは必ずやってくる首都圏直下型や南海トラフ大地震。コロナウイルスが収束に向かっても、東京オリンピック開催へ向けて自然災害に対する一層のリスク対策が求められます。大会組織委員会が指針案を纏めているという報道もあるので、有事に備えてしっかり対応してほしいところです。今回のCOVID-19への安倍政権の対応を見ていると、危機管理能力や国を束ねる力が予想外に欠落しているように見えてしまうので(我々に開示されない情報に翻弄されている可能性も否定できませんが)