映画「新しい人生のはじめかた(2008年公開)」を観た。
【解説】『主人公は僕だった』の共演で意気投合した、ダスティン・ホフマンとエマ・トンプソンが本格的な共演を果たした中高年向け恋愛物語。娘の結婚式に出るためにロンドンにやって来た男性と、なかば人生をあきらめて楽に生きることを選んだ女性の心温まる交流をしっとりと描く。監督と脚本を手掛けたのはイギリスの新星、ジョエル・ホプキンス。ロンドンの美しい秋の風景とともに、年齢を重ねてこそわかる人生の豊かさや繊細さが胸にしみる。
冒頭で娘の結婚式前夜のパーティーでの離婚した父親と、合コンで相手にされない中年女性とふたりそれぞれのアウェー感や微妙な立ち位置が何とも切なく、ダスティン・ホフマンの奏でるピアノの優しい音色がロンドンの秋の景色と非常にマッチする。
恋愛を半ば諦めた女性(エマ・トンプソン)が、彼女が通うレッスン終了を外で待つと言われ、「私、喜んじゃいそう」と振り向く表情が何とも可愛らしい。またラストシーンで背の低いダスティン・ホフマンに合わせる為、ヒールを脱いで歩くシーンも素敵である。このような中年の恋愛を題材した作品は数多くあるが、不倫ではないところがとても好感が持てる。
和訳のタイトルは「最高の人生の見つけ方」と間違えそうな程センスが無いものの、原題のLAST CHANCE HARVEYは、中年男女にまだ恋愛も捨てたもんじゃない「ラストチャンス」と思わせてくれる何とも可愛らしい作品だった。