映画「いつか読書する日(2004年公開)」を観た。
【解説】ひとりの男性を30年以上にわたって思い続ける女性の恋を描いたラブストーリー。朝は牛乳配達、昼はスーパーで働く50歳の独身女性・大葉美奈子。毎夜の読書を楽しみに、単調ながらも穏やかな毎日を過ごしている。一方、同じ街の市役所に勤める高梨槐多は、末期がんで余命わずかな妻・容子を自宅で看病している。実は美奈子と高梨は高校時代に交際していたが、ある事情から疎遠になったのだった。それから30年、ふたりは互いへの思いをずっと胸の奥に閉じ込めてきたが、ふとしたことで容子がその事実を知ってしまう。主人公・美奈子を田中裕子、高梨を岸部一徳、高梨の妻・容子を仁科亜季子がそれぞれ好演。監督は「独立少年合唱団」の緒方明。
冒頭田中裕子が早朝長崎の坂道を駆け上がるシーンを始め彼女が走るシーンが仁科亜季子の療養する自宅の見晴らし同様実に清々しい。長崎の美しい街並みに老老介護、認知症、徘徊、育児放棄、未婚など様々出来事が静かにそして淡々と繰り広げられる。「独り身の夜は寂しくないか?」と訊ねられ「クタクタになればいいのよ」の回答は実に素敵だった。映画「PERFECT DAYS」同様に主人公が寝際に読書する作品はとても静かである。
ただ坂の街での出棺はなかなか大変である。