金沢ひとり旅で公開中の映画「風よ あらしよ 劇場版」を観た。
【解説】大正時代に結婚制度や社会道徳に真正面から異議を申し立てた女性解放運動家・伊藤野枝を描き、2022年にNHK BS4K・8Kで放送された吉高由里子主演のドラマ「風よ あらしよ」を劇場版としてスクリーン上映。原作は村山由佳による同名の評伝小説。福岡の田舎の貧しい家で育った伊藤野枝は、家族を支えるための結婚を断り、単身上京する。「元始、女性は太陽だった」と宣言し、男尊女卑の風潮が色濃い社会に異を唱えた平塚らいてうに感銘を受けた野枝は、らいてうらによる女流文学集団・青鞜社に参加。青鞜社は野枝が中心になり婦人解放を唱えていく。第一の夫であるダダイスト・辻潤との別れ、生涯をともにする無政府主義者・大杉栄との出会い、そして関東大震災による混乱のなかで彼女を襲った悲劇など、野枝の波乱に満ちた人生を描いていく。野枝役を吉高、平塚らいてう役を松下奈緒、辻潤役を稲垣吾郎、大杉栄役を永山瑛太がそれぞれ演じる。演出は吉高主演のNHK朝の連続テレビ小説「花子とアン」も手がけた柳川強。
冒頭で女性は家族、夫婦において召使のような従の精神に驚かされる。当時はまだ女性に選挙権が与えられていなかったことも含め現代では考えられない不遇の数々が続く。現代においてもまだまだ男尊女卑の傾向は色濃く残っている面もあるが、主人公を始め、先人たちの活動の賜物である現代だということを痛感する。当時そのような状況の中で女性解放について共感してくれる数少ない人物たちとの出会いと交流は野枝自身心の拠り所だったのだろうと思う。永山瑛太演ずる大杉栄の吃音がやたら印象的だった。
しかしながら次第にどこか主張が偏ってしまう部分や彼女自身の生き方や選択、愛人ゲームを楽しむ大杉栄を含め同感も共感も出来なくなりつつ、もやもやしたままエンディングを迎えた。