先日新宿のホテルで藤原正彦氏の講演を聴きに行った。
ご存じの通り「国家の品格」の作者で六年前に読んで、その当時何かモヤモヤしていた自分の生き方や考え方についてスーと一筋の光が差し込んだような気がしたのをよく覚えている。その後の私の生き方に多大なる影響を与えてくれた一冊である。
今回の講演のタイトルは「日本のこれから、日本人のこれから」で開演ギリギリに会場へ到着した。
初めてお見掛けする先生はまさに「教授」と言った風貌で、話はTPPやユーロ危機等の最近の世界事情からボソボソと始まった。日本の消費税値上げについは、橋本内閣が消費税を5%に値上げした時は、約4.5兆円増税したものの、所得税・法人税は7兆円もマイナスになった例を挙げ、今回の消費税値上げによる日本国民の購買意欲低下を数学者の視点から危惧されていた。
それからは話は「品格」へと移る。乏しい資源・狭い国土・火山や地震や台風等の天災に見舞われる「異常な国」日本において、「圧倒的な国柄」だけが取り柄であると説く。日本における文学・芸術・数学・物理や書道・華道・茶道に始まる美的感受性や誠実・忍耐・勤勉・約束遵守・惻隠・慈悲や礼節を弁え、金銭崇拝主義では無い、富より徳を重んじる他国には決して真似出来ない日本人特有の「無形の力」の素晴らしさを述べる共に、寺子屋時代から続く「初等教育」から江戸中期の和算家・関孝和の例を挙げつつ、「一に国語、二に国語、三四が無くて、五に算数の大切さ」を語っていた。また昔は風見鶏と呼ばれている人が現在では利口と言われる真のリーダー不在の時代を嘆きつつ、昨年の震災で日本には「まだまだ生きている」と感じたそうだ。
すべてにおいて同感・共感するものばかりであったが、中でもいじめ問題の解決方法には「命の尊厳」を教えるのではなく、親が「卑怯」「駄目なものは駄目」だと言語道断で徹底的に躾けなければならないと言われていたのには、「そう、そうなんだよね~先生ぇ~」とついつい演壇まで歩み寄って肩を叩きたくなった。
何だか改めて日本が好きになり、日本人としての自信や誇りを取り戻せるような、とても元気いっぱいになる90分だった。
【明日2/1(水)は定休日となります】