先日御年輩の女性入居者さんが退去された。
色々な事情を抱え、今から約11年前に南の県から知り合いを頼りにひとり新小岩に上京された。そしてこの度、再び戻って行かれるとのこと。
退去清算が完了し、最後に「もう東京に来られることは?」との問い掛けに、まだ方言が残る口調で「もうないですね~」と静かに答えられた。ふと「もうこの方とは二度とお会いすることはないんだ」と思った。これまでたくさんの入居者さんとお別れをして来たが、心のどこかで「またいつかお会い出来るだろう」と思っていた。実際には同じ新小岩や近隣に移転しない限り再会の可能性は低いことはもちろん知っていたが、別れの寂しさを軽減出来る魔法の言葉のようにいつも自分ではそのように思うようにしていた。
考えてみると友人・知人ですら年々再会する確率は下がっている。気が付けばすっかり会う回数が少なくなり、間隔がどんどん長くなっている友人が少なくない。気が付いている時点ではまだ良いのかも知れないが、少しずつそれが当たり前になっている場合も少なくない。同時にゴールが全く見えなかった20~30代とは違い、折り返し地点はとうに過ぎ、まだぼんやりながらではあるがゴールが見え始めている年齢でもあるから尚更だろう。膨大な時間が残されている訳ではない。だから会える人って結構大事なのである。
そんな事をふと思った真夏のお引っ越しであった。
【明日8/1(水)は定休日となります】