

目の前に広がる工場夜景 明け方の工場
地上の一戸建てにしか住んだことのない我が身にとって、高層マンションは一種興味の対象ではある。
常に見上げる目線の生活しかない地上の生活から脱出。ときに見下ろすというか、遙か遠くを見渡せる眺望に憧れることもある。
そんなささやかな夢をしばし叶えてくれるのがセガレの住むマンションだ。
購入して3年になるが、泊まり込みで邪魔をしたのは今回が初めて。
南・東・北に広がるベランダに囲まれた地上10階の眺望。
南側に広がる瀬戸の海。入江に面して広がる工場群。どの方面の夜景も素敵だが、朝の静けさにたたずむ工場・立ち上る煙の力強さも、またひと味違ったおもむきがある。


北側に広がる街並み 船だまり
小さいながらも庭があって、土いじりが出来、季節の花もこの手で咲かせられる一戸建て。
悪かろうはずがない。が、近代設備の完備したマンション住まいも悪くない。
この若さでこれほどの贅沢を…と、セガレの今の生活がちょっとだけ羨ましく思う一方で、身に余る大きなローンを抱えた不安定さも同居している。
そこで「家を買うのは誰にも出来る。それを一生持ち堪えることが男の一つの甲斐性だよ…」と、言わぬでもいいかなと思いながらも、一言言ってしまう。
その代わり、悩みも愚痴も不安も夢も、なんでも聞いてやるよお前のオヤジなんだから…。
のど自慢の一曲も、お前に聞かせたくて選んだんだよ「父子じゃないか…」な~んてね。